ユーロ圏PMIは年末まで下げ止まらず、ユーロ売りが金の重石に
更新日:2018年12月15日(土)
ドラギECB総裁は、前日のECB理事会後の会見でユーロ圏の成長見通し引き下げについて言及したのに続き、この日もユーロ圏の成長見通し鈍化に伴い、EU首脳に対して改革を進めるよう要請したことが伝えられています。また、合わせてECBは今年、成長見通しを3度引き下げたことも指摘しています。
この日マークイットが発表した12月ユーロ圏、ドイツ、フランスの製造業、サービス業、総合PMI速報値でも、いずれも予想を下回る低調ぶりとなりました。
そしてユーロ急落で相対的なドル高を誘発し、反発基調の金の上値を押さえる状態も続きます。
ユーロ圏製造業PMIは5カ月連続の低下で51.4となり、2016年2月(51.2)以来、2年10カ月ぶり低水準。サービス業PMIも51.4へと低下して4年1カ月ぶり低水準。総合PMIも51.3で4年1カ月ぶりの低水準。ユーロ圏のビジネス活動の成長基調はこの12月に過去4年間で最も弱まったことになります。
新規ビジネスの流入は停滞し、雇用創出も2年ぶり低水準となり、楽観見通しも悪化しています。
フランスは4カ月連続の低下で49.7。2016年9月(49.7)以来、2年3カ月ぶりの低水準とともに好不況の節目50割れ。イタリアが10月から50割れとなっているのに続き、ユーロ圏では2カ国めの50割れ。サービス業PMIも49.6と節目割れで2年10カ月ぶり低水準。
製造業生産指数は47.7と3年8カ月ぶり低水準。黄色いベスト運動による事業中断の報告も多数あった模様。ただし、製造業低迷の主要因は自動車産業の減速にあるとの指摘も。今後の見通しも3年間で最低レベルに落ち込んでいます。
ドイツも5カ月連続の低下で51.5となり、2016年3月(50.7)以来、2年9カ月ぶり低水準。サービス業PMIも52.5で7カ月ぶり低水準となり、総合PMIでは52.2で4年ぶり低水準。将来見通しも悪化し、注文も停滞、企業の信頼感はさらに軟化した状態に。
ただし、雇用は堅調なままであり、製造業生産指数が3カ月ぶり高水準へと上昇など、明るい兆しも。
ユーロ圏とドイツ、フランスの製造業PMIは昨年末のピークから伸び率鈍化が続き、結局年末まで丸1年間、ほぼ下げ止まらず、低下し続けることになりました。
今年半ばには、年後半には持ち直すだろうとの見込みが示され、秋になって第4四半期には回復が見込まれるとの見方もありながら、12月。
ユーロ圏の景況感回復見込みも今年、何度も先送りされた状態で年を超えることになります。
14日のNY金相場は-6.0ドル、0.48%の続落。欧州時間から軟調推移となり、フランス、ドイツ、ユーロ圏の12月PMIがいずれも下振れるとユーロ安ドル高が急進し、金は1240ドル台前半。NY朝には米11月小売売上高が前月比+0.2%と予想を上回り、ドルが一段高となって金は一時10日ぶりに1240ドル割れ。ただし、NYダウが500ドル弱の下落で7カ月ぶり安値水準となるなど株安の勢いも止まらず、NY午後にかけて金は1240ドル台へと値を戻す展開に。FOMC前の週末でもあり、調整の動きがやや強まる形となったものの、結果を見極めるまでは比較的底堅く推移するような展開にも。下値は1230ドル台ではサポートされやすく、FOMC後に1250ドル台の高値更新となれば一段高の展開で1270ドル台が上値目標に。
週間では-11.2ドル(0.89%)の反落。
NYプラチナ相場は-12.2ドル、1.53%の大幅続落。NY朝には米指標の好結果を受けて金が1240ドル割れへと急落した場面に連れ安となり、790ドル割れ。その後の反発力には差があり、プラチナは790ドルで上値を押さえられる形に。結果、12日の大幅上昇分を2日間で帳消しとし、大幅上昇前の水準もわずかに下回り、再び780ドルの下限ラインが意識される状況に。短期的には二番底をつけた形にもなり、ここでサポートされて反発し、810ドルの上限超えとなれば流れが変わることにも。ただし、780ドルの下限を割り込むようだと今年最安値750ドル台が意識され、中期的な二番底形成トライにも。
週間では-5.1ドル(0.65%)で6週続落。6週続落は3月、7月に続いて今年3回目。
ドル円は20銭強のドル安円高となって反落。東京市場朝から株安に連れての円高で113円60銭台から40銭台へと水準を切り下げると、ユーロ圏PMI下振れによるドル高急進でも、米小売売上高の好結果によるドル一段高にも113円40-60銭台のレンジ推移に終始。株安などで円も買われやすく、ドル高円高の綱引き状態で値動きは縮小。ただし、NY午後にかけて株安の勢いが強まると円高優勢となって一時113円20銭まで下落。目先は113円70銭台辺りまでが抵抗水準となり、超えると今年高値114円半ばを試す可能性も残され、下方向には112円半ばが比較的強めの、重要なサポート水準にもなり、下回れば三角保ち合い下方ブレイクとなり、大幅調整で110円割れを試すような展開にも。
週間では+0.69円(0.61%)の反発。
※参考:
金プラチナ相場とドル円 NY市場12/14終値とチャート
2018年12月15日(土)時点の相場
国内金:4,857 円 12/14(金)
▲1(
0.02%)
国内プラチナ:3,123 円 12/14(金)
▼22(
0.70%)
NY金:1,241.4 ドル 12/14(金)
▼6.0(
0.48%)
NYプラチナ:785.3 ドル 12/14(金)
▼12.2(
1.53%)
ドル円:113.38 円 12/14(金)
▼0.25(
0.22%)
12/14(金)のその他主要マーケット指標
週末に上昇しやすい金価格は52週移動平均線との攻防 12/17(月)ECB利上げ見通し維持もリスクバランスは下振れ方向 12/14(金)米11月CPIは鈍化もコアCPI上昇でインフレ減速懸念は緩和 12/13(木)ZEWドイツ景況感、期待指数下げ渋りも現況はほぼ4年ぶり低水準 12/12(水)
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