上昇リスクより大きい「低インフレリスク」継続中、CPI伸び悩み
更新日:2019年11月14日(木)
パウエルFRB議長はこの日、上下両院合同経済委員会で証言し、FF金利が当面据え置き見通しであることを示唆し、インフレに関しては「低インフレリスクは上昇リスクより大きい」と長引く低インフレに懸念を示しました。
米労働省が発表した10月の消費者物価指数(CPI)は前年比+1.8%となり、市場予想を上回り、食品とネルギーを除くコアCPIは前年比+2.3%で市場予想を下回りました。小数点以下2桁で見ればCPIは9月の1.71%から10月は1.76%へとわずかに上昇、コアCPIは2.36%から2.31%へとわずかに下落。コアCPIは3カ月連続の2.3%台で伸び悩み、CPIは6カ月連続2%割れ、3カ月連続1.7%台と低迷中。
カテゴリー別の推移で見ると、CPI算出ウェイト59.92%を占めるサービス価格(エネルギー関連を除く)が前年比+3.0%となって13カ月ぶりの高水準。ウェイト19.32%を占める商品価格(食品とエネルギーを除く)は+0.3%で4カ月ぶり低水準。13.25%の食品価格は+2.1%で7カ月ぶり高水準。7.52%を占めるエネルギーは3カ月連続-4%台で低迷中。
サービス価格が比較的高水準を維持していることがCPI(特にコアCPI)を下支え、商品価格とエネルギー価格の低迷がCPIの上昇を抑制する状態となっています。
主な詳細項目別で上昇傾向にあるのは、健康保険(ウェイト1.23%)が14カ月連続上昇となって10月は前年比+20.1%。医療サービス(ウェイト7.06%)は4カ月連続上昇で+5.1%、医療用品(同1.68%)は9月の-0.3%から+1.0%へと反発で1年4カ月ぶり高水準など。
逆に低下傾向、低迷中の項目としては、中古車(ウェイト2.35%)が5カ月ぶりの反落で4カ月ぶり低水準となる前年比+1.4%。航空運賃(同0.68%)も3カ月ぶりの反落で3カ月ぶり低水準となる+1.5%、携帯電話サービス(同1.62%)は3カ月ぶり低水準となる-2.9%で14カ月連続の前年割れ。女性用アパレル(同1.23%)は5カ月ぶり低水準で-5.3%、16カ月連続の前年割れ。ガソリン(同3.92%)は4カ月ぶりの反発でも-7.3%と6カ月連続の前年割れ、今年10カ月のうち9カ月が前年割れ。
詳細項目別の推移を見ると、上昇リスクより大きい「低インフレリスク」が継続中であることを示す状況となっています。
13日のNY金相場は+9.6ドル、0.66%高となって5日ぶりの反発。11月に入って上昇したのは2日め。直近の下値目安1460ドル台を下回り、今年安値1267.3ドルから今年高値1566.2ドルまでの38.2%戻し(1452.0)に到達したことにもよる達成感から、十字線に近い足型を残していったん底打ちを示唆するような形にも。香港情勢は緊迫化し、米中通商協議には不透明感が漂い、さらにトランプ大統領の弾劾公聴会がこの日スタートしたことも市場の不安要素となり、リスク資産は伸び悩み。欧州時間には米10年債利回りが1.9%台から1.8%台へと急低下したこともあり、1460ドル近辺から1460ドル台後半へと堅調推移。ただし米株はダウとS&Pが過去最高値更新など堅調さを維持し、金の上値も限定的に。1450ドルが目先の主要レンジ下限となり、これを割り込んだ場合には8月初旬の押し目1430ドル付近までが下値目安に。上方向には90日移動平均線(1490.4)などが集中する1490ドル近辺が当面の抵抗水準に。
NYプラチナは+4.9ドル、0.56%高で5日ぶりの反発。5月安値から9月高値までの61.8%戻し(869.5)を達成し、200日移動平均線(865.3)手前で下げ止まった形に。ただし反発も控えめとなり、この日の変動値幅は10ドル程、時間外につけた高値では880ドルにわずかに届かず。今年7月と4月にも上値を押さえられた880ドル付近が目先の抵抗水準として意識される可能性も。これを上抜けると90日移動平均線(895.9)が推移する890ドル台から900ドルの大台ラインまでが次の抵抗水準候補に。下方向に200日線を割れると8月末急騰前の水準850ドル近辺が次の下値目安に。
ドル円は20銭ほどのドル安円高となって4日続落。東京朝には日経平均の下落につれて前日安値を下回る108円80銭台まで軟調推移も下げ渋り、欧州朝にかけて109円10銭台まで反発。しかし、7日連続109円台前半で上値を押さえられて戻り売り。香港情勢悪化への警戒感から株安の流れが強まった欧州時間には再び108円80銭台まで急落。戻りでは109円を回復できずにNY時間にかけて戻り売り再開、1週間ぶり安値水準となる108円60銭台まで下落。米中協議進展期待の後退なども重石となり、方向感は中立からやや軟調方向へも。目先、109円40銭台が強めの抵抗水準、上抜けできれば今年高安の76.4%戻しとなる110円半ばが上値目標に。下方向には108円ラインが当面のサポートに。
※参考:
金プラチナ相場とドル円 NY市場11/13終値とチャート
14日の国内金価格は+10円、0.18%の続伸。調整局面一服となり、いったんは下げ止まりを確認する形に。21日移動平均線をデッドクロスした9日移動平均線(5647)が当面の上値抵抗水準候補となり、これを上抜けない限りは調整局面継続、もしくは保ち合い推移の展開へ。当面のサポート水準となる可能性もある5580円台を割れると調整局面再加速の可能性、下値目安は5530円台辺り。
プラチナ価格は+4円、0.12%の小幅高で7日ぶりの反発。ゆるやかに上昇する90日移動平均線(3303)割れを回避しての小反発も、下げ止まりを確認するには心許ない状態、いったん下げ渋り、という状況のようにも。地合好転に向けては中長期節目ライン3400円超えが当面のポイントとなり、下方向には10月安値3280円台が当面のサポート候補に。
※参考:
金プラチナ国内価格11/14とチャート
2019年11月14日(木)時点の相場
国内金:5,596 円 11/14(木)
▲10(
0.18%)
国内プラチナ:3,342 円 11/14(木)
▲4(
0.12%)
NY金:1,463.3 ドル 11/13(水)
▲9.6(
0.66%)
NYプラチナ:874.8 ドル 11/13(水)
▲4.9(
0.56%)
ドル円:108.79 円 11/13(水)
▼0.20(
0.18%)
11/13(水)のその他主要マーケット指標
米PPIも3年ぶり低水準、インフレは2%から下放れへ 11/15(金)ZEW期待指数>現況指数=ドイツ景気底打ちへ 11/13(水)中国PPIのデフレが牽引する世界の低インフレ 11/12(火)ようやく調整局面入りの金価格にトランプと雲のサポート 11/11(月)
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