賃金上昇率<CPI=実質賃金減少→消費停滞懸念×8ヵ月
更新日:2021年12月23日(木)
米国では、賃金インフレを物価インフレが上回る高騰状態のまま年越しへと向かうことになりそうです。
最新の11月分で、消費者物価指数(CPI)は前年比+6.81%、賃金上昇率は前年比+4.80%。賃金上昇率-CPI=-2.01%。
今年4月時点で賃金上昇率をCPIが上回り、その差は-3.83%。リーマンショック直前の2008年7月(-2.59)を超え、近年最大の逆転状態となりました。-2.0%を超えるのも2008年6-8月まで以来、13年ぶり。
その後、その差は9月の-0.85%まで縮小しましたが、10-11月にかけて再拡大。
「賃金上昇率<CPI=実質賃金減少→消費停滞懸念」という状態が8ヵ月続いています。
それでもこの日発表された11月のコンファレンスボードの消費者信頼感指数は115.8。市場予想の110.8を大幅に上回り、前月の111.9からも大幅上昇、5ヵ月ぶりの高水準へと反発基調。
オミクロン株によるコロナ感染再拡大となるなかでも、米国の個人消費は力強く、来年に向けても拡大基調が続くとの見通しが、この指数を押し上げているようです。
なお、ミシガン大発表の消費者信頼感指数では、11月には10年ぶり低水準へと落ち込み、12月速報では反発の兆しとなっていました。
来年に向けては、物価のインフレ動向と賃金インフレとの関係性、とこれらが影響する個人消費の動向が注目されます。
本日は年内最後の重要インフレ指標、11月PCEとミシガン大消費者信頼感指数の12月確報値が発表予定。
22日のNY金相場は+13.5ドル、0.75%高で3日ぶりの反発。時間外は1790ドルを挟んでの小幅揉み合いから、90-200日移動平均線(1791.5-1794.9)の重要水準がレジスタンスとなる形でロンドン序盤にかけてこの日の安値1785ドルまで下落。しかし前日安値付近で下げ渋るとロンドン・NY市場にかけては米10年債利回りの低下基調とドル安の流れにサポートされて反発。NY市場では米7-9月期GDP確定値が上方修正され、12月消費者信頼感指数が予想を上回る好結果となったことなどを受けての反落局面を挟みながらも一段高。NY午後には1800ドルの大台を回復し、NY引け後にも抵抗水準1800ドル台半ばでの攻防状態。タイミングと材料不足からの一服感優勢ながら、ここを超えると1830ドル近辺までの上値余地拡大も。下方向へは下げ止まった20日移動平均線(1784.4)近辺が目先のサポート。これを割り込んでしまうと11月以降の中期安値圏1760ドル近辺までが下値目安に。
NYプラチナは+40.6ドル、4.38%の大幅続伸。上げ幅としては今年の平均騰落値幅(絶対値)16.9ドルの2.4倍、今年8番めの急騰で11月24日(975.3)以来、1ヵ月ぶりの高値。欧米株の続伸とパラジウムの100ドル程の急騰などにも連れ、ロンドン・NY市場にかけての金の急騰局面にも追随。アジア時間には前日安値を下回らず、920ドル台半ばの安値で折り返すとロンドン時間には930ドル台の節目との攻防へ、NY朝にこれを突破すると急騰局面形成へ。NY引けにかけて一時970ドルまで上昇、節目上抜けに伴う短期上値目標980ドル台に対しては少し届かず失速。9月安値(892.6)と今年安値となった12月安値(886.0)とで中期ダブルボトムを形成する可能性を残しての反発基調が進行し、11月末から12月半ばまでの保ち合いを抜け出しての短期上昇局面を形成、11月半ばの保ち合い水準に到達しての一服感も。若干の上値余地を残しながら950-60ドルが下値サポート候補にも。
ドル円はわずかに2銭程のドル高円安、0.02%の小幅続伸。11月25日(115.35)以来、ほぼ1ヵ月ぶりのドル高円安水準に。114円付近での小幅保ち合いとなった東京時間を経て、欧州時間朝には米10年債利回りの上昇にも連れて114円30銭台へと水準を切り上げるも、NY朝には114円10銭近辺まで失速。米指標の好結果を受けて114円30銭台までの再反発も一時的にとどまり、ドル安の流れが続いてNY終盤には114円付近まで軟調推移。日足では上ヒゲを残しながら、下値も上値も少しづつ切り上げる形にもなって節目の114円10銭ラインを超え始める状態となり、短期上値目標115円近辺を目指しての上値トライが進行しやすい状況にも。
※参考:
金プラチナ相場とドル円 NY市場12/22終値とチャート
23日の国内金価格は+49円、0.68%の続伸で11月26日(7236)以来、4週間ぶりの高値。7200円の節目を超えたことで、短期上値目標7240円近辺に向けた流れが進行し始めた様子。21日移動平均線(7142)も下げ止まり目前という状態にもなり、短期的には強気相場のサポート要因にも。ただしNY金は抵抗水準付近でいったん上値を押さえられた形にもなってこのままなら失速要因にも。それでも円安基調がもう一段進行することになれば若干の上昇余地も。
プラチナ価格は+97円、2.59%の大幅高で3日続伸。11月30日(3876)以来、3週間ぶりの高値。前日の9日移動平均線(3742)上抜けに続いてこの日は21日移動平均線(3784)も突破。小幅保ち合いレンジ上限3750円を大きく上抜けたことによる上値トライの展開となって、短期上値目標3800円の大台回復を達成してさらに一段高。NYプラチナが上値余地を埋めに行くような展開となれば、90日移動平均線(3912)も意識され、年末年始にかけて3900円の大台回復も視野に。
※参考:
金プラチナ国内価格12/23とチャート
2021年12月23日(木)時点の相場
国内金:7,224 円 12/23(木)
▲49(
0.68%)
国内プラチナ:3,847 円 12/23(木)
▲97(
2.59%)
NY金:1,802.2 ドル 12/22(水)
▲13.5(
0.75%)
NYプラチナ:968.4 ドル 12/22(水)
▲40.6(
4.38%)
ドル円:114.11 円 12/22(水)
▲0.02(
0.02%)
12/22(水)のその他主要マーケット指標
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