世界のプラチナ需給-2021年第4四半期
更新日:2022年03月10日(木)
WPIC(World Platinum Investment Council)発表のプラチナ需給レポートによれば、2021年第4四半期のプラチナ総需要は51.6トン。前期比+20.5%、前年同期比では-12.7%となって2四半期ぶりの高水準。自動車触媒需要が回復し、投資需要の売り越し幅が縮小。
総供給量は66.4トンで前期比+5.3%、前年同期比+16.9%。需給バランスは14.8トンの供給余剰。3四半期連続の供給余剰で第3四半期の20.2トンからは縮小も2015年以降では2番めの高水準。
※2021年通年では、総供給量が256.4トンとなり、2013年以降では最大。総需要は218.0トンとなって前年比9.2%減、2013年以降では最少。需給バランスは38.3トンの供給余剰。供給余剰は3年ぶりで2013年以降では最大。
2022年見通しでは、総供給量が254.5トンで0.7%減、総需要は234.2トンで7.4%増、2年ぶり高水準。それでも20.3トンの供給余剰見込み。
地上在庫は2021年は121.6トンとなって2013年以降で最大。2022年には2年連続の増加で141.8トンの見込み。
<供給>
■鉱山産出量:52.7トン 前期比+6.4%、前年比+30.1%、2015年以降では最大。うち南アフリカは39.8トン(前期比+4.3%、前年比+46.7%)で2015年以降で最大、ロシアは5.5トン(前期比+16.3%、前年比-2.2%)。2カ国合計シェアは86.1%となり、第3四半期の86.7%に次いで2015年以降で2番めの高水準。
※2021年通年では196.5トン、前年比+26.6%の大幅増で2013年以降で最大。2022年見通しは190.3トンで3.1%減の見込み。
■リサイクル:14.3トン 前期比-0.4%、前年比-19.6%で6四半期ぶり低水準。※通年では61.7トン、前年比+3.0%で2年ぶり高水準。2022年も4.0%増見込み。
<需要>
■自動車触媒:20.4トン 前期比+12.7%、前年比-7.9%、2四半期ぶり高水準。2四半期連続の前年割れ。
※2021年通年では81.5トン、前年比+10.6%で2年ぶり高水準。2022年見通しは+19.4%で97.3トン、5年ぶり高水準に。
■宝飾品:15.5トン 前期比+3.3%、前年比-6.1%、1年ぶり高水準。2四半期連続の前年割れ。
※2021年通年では59.6トン、前年比+5.2%で7年ぶりの増加。2022年には66.3トン、-15.3%減の見込み。
■産業用:19.1トン 前期比+3.2%、前年比+17.1%。3四半期ぶり高水準。5四半期連続前年比プラス。
※2021年通年では78.3トン、+27.1%の大幅増で2013年以降で最大。2022年には-15.3%で66.3トンの見込み。ガラス関連が2020-21年には連続で+70%超の大幅増。
■投資:-3.4トン 2四半期連続の売り越し。第3四半期の-8.8トンからは縮小。地金・コイン等の現物投資需要は3.0トンで前期比-13.6%、前年比+58.3%で3四半期ぶり低水準。ETF関連は-4.8トン、取引所在庫が-1.5トン。※2021年通年でも-1.4トンの売り越し。2022年には+10.2トンで買い越し転換見込み。
★需要全体における自動車触媒需要の占める割合は39.5%。宝飾品は29.9%、産業用37.0%。
<価格と消費需要・ETF需要>
宝飾品需要と現物投資需要を合わせたプラチナ消費需要は18.4トン。前期比+0.2%、前年比+0.4%。NYプラチナの第4四半期平均価格は998.4ドル。第3四半期平均の1018.2ドルからは20ドル弱低下し、2四半期続落。下げ幅縮小でETFの売り越し幅も縮小。
※2021年通年では69.9トンとなって前年比-6.3%の反落、2013年以降では最低。2022年には73.7トンへ、+5.4%増見込み。
2022年見通しについては、ロシアのウクライナ侵攻により大きく変動することも予想されそうです。ロシアからのパラジウムの供給がストップした場合には、この代替需要も含めてプラチナの需要が増加する可能性もありそうです。
9日のNY金相場は-55.1ドル、2.7%の大幅安となって5日ぶりの反落。下げ幅としては今年の絶対値平均16.0ドルの3.5倍弱、昨年6月17日(-86.6ドル、4.65%)以来9ヵ月ぶりの急落。前日の急騰を帳消し、大陽線をカバーする大陰線となる包み線を構成、通常ならピークアウトを示唆する形に。時間外での2070ドル手前の高値からNY市場での安値1980ドル付近まで調整局面が進行。ウクライナのゼレンスキー大統領が一定の譲歩を示唆し、停戦期待から欧米株が大幅反発。UAEがOPECプラスに対して原油増産ペース加速を呼び掛ける考えを表明したことで原油価格も急反落。リスク回避の巻き戻しの流れが急速に進行。NY引け後の自律反発では2000ドルの大台が抵抗線となる形で戻り売りの兆しも。目先はトルコでのウクライナ・ロシアの外相会合の動向、米2月CPI結果が高値再トライ、もしくは調整局面継続かを左右することにも。2000ドルの大台ラインが抵抗線とならなければ2040ドル台までが短期上限に、もう一段の調整進行なら1月末安値(1780.6)から3月高値(2078.8)までの38.2%戻し(1964.9)辺りがサポート候補に。
NYプラチナは-45.6ドル、3.95%の大幅反落。下げ幅は今年の絶対値平均17.8ドルの2.5倍超、昨年11月23日(-50.9ドル、5.01%)以来4ヵ月ぶりの急落。ロンドン序盤につけた高値では前日高値をわずかに上回る1197ドルまで上昇、昨年6月3日(1197.7)以来、9ヵ月ぶり高値をつけての急反落。金と同様、大陽線を形成して通常ならピークアウトを示唆する形にも。目先は1150ドル台が上限となり、20日移動平均線(1070.2)近辺がサポート候補。
ドル円は19銭のドル高円安、0.16%高で3日続伸。2月10日(115.99)以来、1ヵ月ぶりのドル高円安水準に。前日までの堅調な流れを維持する形で東京朝には米10年債利回り上昇にも連れて115円70銭近辺から90銭台まで上昇。欧州・NY朝までは115円70銭から90銭台までのレンジで揉み合い推移。リスク回避の巻き戻しが進行し、ユーロ高ドル安主導でドル安が進行したNY時間にはドル円も軟調推移となって一時115円50銭台まで下落。しかし株高・円安の流れにサポートされて115円80銭台へと反発。今朝の東京市場では116円台を試す展開に、115円60銭の節目上抜けに伴う上値トライへの流れがゆっくりと進行し始めた格好にも。当面の上値目標116円半ばを目指す流れ継続へ。
※参考:
金プラチナ相場とドル円 NY市場3/9終値とチャート
10日の国内金価格は-204円、2.46%の大幅安となって5日ぶりの反落。下げ幅としては今年の絶対値平均51円の4倍、今年最大で昨年8月10日(-234円、3.36%)以来7ヵ月ぶりの急落。RSIは過熱感MAXに近い93%から74.9へと買われ過ぎ状態のなかで若干の緩和。いったんは8300円が当面の上限となる可能性が高まり、目先は高値保ち合い形成か、調整局面継続か。サポート候補は1月末安値から3月高値の23.6%戻し(8050)近辺、これを下回るようだと調整局面が一段と進行、38.2%戻し(7896)付近となる7900円前後までが意識されることにも。
プラチナ価格は-302円、6.46%の大幅反落。下げ幅としては今年の絶対値平均56円の5.4倍、コロナショック時の2020年3月17日(-328円、11.46%)以来、2年ぶりの暴落状態。短期下値サポート4530円を割り込んで一段安の目安4400円程度も下抜け、9日移動平均線(4390)も割り込んで強気相場も崩れる形に。当面の下値サポート候補としては12月安値から3月高値までの38.2%戻し(4302)近辺。
※参考:
金プラチナ国内価格3/10とチャート
2022年03月10日(木)時点の相場
国内金:8,095 円 3/10(木)
▼204(
2.46%)
国内プラチナ:4,376 円 3/10(木)
▼302(
6.46%)
NY金:1,988.2 ドル 3/9(水)
▼55.1(
2.70%)
NYプラチナ:1,107.6 ドル 3/9(水)
▼45.6(
3.95%)
ドル円:115.85 円 3/9(水)
▲0.19(
0.16%)
3/9(水)のその他主要マーケット指標
外相会談に進展なし、米CPIは40年ぶり高インフレがさらに進展 03/11(金)ウクライナ危機で買われるドルと金、逆相関に決別 03/09(水)ロシアの世界シェア37%、供給不安のパラジウムは一時3300ドル 03/08(火)ウクライナ危機で注意すべき想定可能な国内金価格の高値目安 03/07(月)
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