米長期金利上昇とドル高急進からの巻き戻しでNY金も下げ渋り
更新日:2022年09月29日(木)
今年春以降、米10年債利回り上昇とドル高の流れが続いてきました。7月以降はFRBの大幅利上げ継続観測やスタグフレーション懸念なども交錯し、米10年債利回りは3%台後半へ、ドルインデックスも110ポイント近辺へと一段高。
足下ではトラス英政権の大型減税案によって英国債が急落。英国通貨と英株急落とともに英国債利回りは急騰。これが米国債にも波及する形となって米10年国債利回りは28日、一時2010年4月以来となる4%台まで上昇。今週、2002年以来20年ぶり高水準となる114ポイント台まで上昇したドルインデックスも114ポイント台後半へと一段高。
国債市場混乱の根源となった英国ではこの日、イングランド銀行が英長期国債の無制限購入を表明。これにより英国債相場が急騰し、国債利回りは急低下。米10年債利回りもこの日、4%台から3.75%台まで急降下。これに連れてドルインデックスも114ポイント台後半から一時112ポイント台半ばまで急落。
長期金利急低下とドル高の巻き戻しが急速に進行したことで、1620ドル台まで下落していたNY金もこの日、1670ドルまで急反発。
一時的な波乱の解消により、行き過ぎた流れが巻き戻された格好ながら、基調的には米長期金利上昇とドル高の流れが転換した訳ではありません。
短期的には下値トライ一服の様相となったNY金にも、下値警戒感はまだ残りそうです。
28日のNY金相場は+33.8ドル、2.07%の大幅続伸。上昇率では今年の絶対値平均0.74%(13.7ドル)の2.8倍、今年4番めの急騰で22日(1681.1)以来、1週間ぶりの高値水準を回復。時間外は1630ドル台半ばから軟調推移、米10年債利回りが4%台へ、ドルインデックスも114ポイント台後半へと上昇した流れを受けてロンドン序盤には1620ドル台前半まで下落。2日前の安値を下回って今年最安値を更新、2020年4月2日安値(1595.2)以来、ほぼ2年半ぶりの安値をつけて切り返すとNY市場では反発の流れが急速に進行。NY午後にかけて米10年債利回りが3.7%台へと急落し、ドルインデックスも112ポイント台へと急反落した流れに押し上げられ、高値では1670ドル台まで、50ドル弱の大幅上昇。日足レベルでは短期下値目安1640ドル到達後のやや行き過ぎ状態からの切り返しも1680ドル台の抵抗水準手前、8月高値(1824.6)から9月安値(1622.2)までの23.6%戻し(1670.0)で失速。中期ダブルトップのネックライン1670ドル台がレジスタンスに切り替わった可能性を残す格好にも。この重要水準の早期上抜けが目先の重要課題。
NYプラチナは+13.9ドル、1.64%高で6日ぶりの反発。ロンドン市場にかけて軟調局面が続き、840ドル台半ばから830ドル近辺へと下落、安値では830ドル割れも9月安値(796.8)から高値(943.5)までの76.4%戻し(831.4)近辺でなんとかいったんは下げ止まった格好に。NY市場では金の反発局面に追髄、NY午後には850ドル台を回復し、高値では一時865ドルまで上昇。前日までの2日連続上ヒゲ陰線が一段安を示唆する一方で、急落後の2日連続小動きが下げ止まりを示唆したとおり、とも言える展開に。20日移動平均線(872.7)も横たわる870円近辺が目先の抵抗線候補、突破できれば900ドルの大台回復を目指す流れにも。下方向へは840ドル台が当面の下値サポートとなりきれない場合には820ドル近辺までの安値再トライへ。
ドル円は72銭のドル安円高、0.5%安で4日ぶりの反落。前日高値144円90銭付近が上限となった東京・欧州時間は144円台後半での保合い推移、米10年債利回りが4%台から急反落となったNY時間には連れ安の展開に。NY午後につけた安値143円90銭近辺まで、ほぼ1円下落した後は144円を維持して下げ渋り。今朝の東京市場では144円40銭台まで反発の兆しも。今年高値を更新し、146円台半ばまでを短期上値目標に一段高への流れはいったん巻き戻され、144円90銭が当面の上限となって保合い状態に。現状では144円付近が下限となって小幅保ち合いからの再ブレイク待ちへ。再ブレイクできれば146円台再トライへ。144円が下値サポートとならない場合には142円30銭台まで下値余地拡大へ。
※参考:
金プラチナ相場とドル円 NY市場9/28終値とチャート
29日の国内金価格は+99円、1.19%の大幅続伸で9月22日(8432)以来、1週間ぶりの高値。中期重要水準8200円近辺手前で下げ渋って反発の兆し、からの一段高となり、急降下してきた9日移動平均線(8384)を上抜け。直近高値圏8430円台の節目を上抜けることができれば地合い回復から反発局面形成へ、90日移動平均線(8451)も突き抜けて8500円台回復を目指す流れとなる可能性も。
プラチナ価格は+60円、1.4%高で5日ぶりの反発。9月安値(4052)から高値(4603)の61.8%戻し(4262)手前で切り返すと、わずかに上昇し始めた90日移動平均線(4303)を3日ぶりに上抜け、21日移動平均線(4323)も上抜け。21日線をサポートにできれば、下落基調が続く9日移動平均線(4434)上抜けが強気相場への転換ポイントに。
※参考:
金プラチナ国内価格9/29とチャート
2022年09月29日(木)時点の相場
国内金:8,399 円 9/29(木)
▲99(
1.19%)
国内プラチナ:4,336 円 9/29(木)
▲60(
1.40%)
NY金:1,670.0 ドル 9/28(水)
▲33.8(
2.07%)
NYプラチナ:860.8 ドル 9/28(水)
▲13.9(
1.64%)
ドル円:144.13 円 9/28(水)
▼0.72(
0.50%)
9/28(水)のその他主要マーケット指標
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