ドル円の61.8%戻しと20週移動平均線
更新日:2022年11月12日(土)
11月7日からの週、米10月CPI下振れを受けてドル円は週後半に急落。週間ベースでは前週末から-7.89円、5.38%の大幅安となって4週続落。4週続落となるのは2020年11月以来、2年ぶりのこと。週間下落率ではリーマンショック後、2008年10月20日からの週(-7.34円、7.22%)以来、14年ぶりの急落。下げ幅では少なくとも2005年以降では最大。
週足チャートで見ると、ドル円は7月高値をつけた後、3週間後に安値をつけて調整終了、上昇基調へと回帰しました。今回も10月高値をつけた後、3週間後に安値をつけた状態に。
ただし、7月高値からの調整局面では20週移動平均線に下値をサポートされましたが、今回は20週移動平均線(140.54)を下抜け。今年3月以降のドル高円安トレンドが進行し始めてから、20週移動平均線を割り込んで週末を迎えるのは初。次週、20週移動平均線上抜けへと反発できなければ、トレンド転換に向けた流れが進行し始めた可能性も高まりそうです。
その一方で、5月安値から7月高値まで上昇後には、その間の上昇値幅の61.8%戻し(131.34)を達成し、これを若干下回る130円39銭の安値で切り返しました。
8月安値から10月高値まで上昇後の調整局面となった今回、上昇幅の61.8%戻しは138円62銭。今週末にはこれを達成し、138円40銭台の安値をつけて138円70銭台まで小幅に切り返した状態。
一定の調整をこなした状態となり、ドル円の中期トレンドが完全に崩れた状態でなければ、いったんは反発へ、戻りを試すような展開も想定されそうです。
さらなる行き過ぎ局面が進行することになれば、76.4%戻し(135.48)近辺までが意識される可能性もあるかもしれません。しかし米国のインフレが一方的に、急速に鈍化していくことは想定し難い状況や、日本の貿易赤字が急速に減少したり、賃金インフレが急速に強まるような事態も考え難い状況からは、ドル円の巻戻しの展開が一方的に続くことも想定し難いところです。
11日のNY金相場は+15.7ドル、0.9%の続伸で8月25日(1771.4)以来、2ヵ月半ぶり高値を更新。前日の急騰からの反動安も限定的、時間外序盤に1750ドル割れを回避するとドル安の流れがコンスタントに続いたことにサポートされ、ジリ高推移の展開に。ロンドン・NY市場では1760ドル台での保ち合い推移となったなかで徐々に下値を切り上げるとNY引け後には1770ドル台半ばへと上昇。利上げペース減速への思惑は基本的に否定できないものの、単月のCPI結果を受けての巻戻しの展開としてはやや行き過ぎの感も。3月高値(2078.8)から11月安値(1618.3)の38.2%戻し(1794.2)近辺までが当面の上限候補、下げ止まりつつある90日移動平均線(1715.3)辺りまでが当面の下値サポート候補に。
週間ベースでは+92.8ドル、5.54%の続伸。2020年4月6日からの週(+107.1ドル、6.51%)以来、2年7ヵ月ぶりの急騰。
NYプラチナは-16.9ドル、1.6%の反落。前日の急騰からの反動安では1050ドル割れも、限定的にとどまって切り返すとロンドン市場にかけて一段高。高値では3月14日高値(1100.0)以来8ヵ月ぶりの水準となる1074.1ドルまで上昇して失速、NY市場では1060ドル割れ、NY午後には1050ドル割れ、安値では1035ドルまで下げてNY引け後には1040ドル台半ばへと下げ渋り。日足では上ヒゲ陰線を形成して一服感も示唆。目先は1060ドルまでがいったん上限となり、上抜けた場合でも短期的には1080ドル程度までが目安に。下値サポート候補は9月安値(796.8)から11月高値(1074.1)の23.6%戻し(1008.7)近辺。
週間ベースでは+77.6ドル、8.06%高で4週続伸。4週続伸は8月以来、3ヵ月ぶりで今年2度め。上げ幅としては2021年2月8日からの週(+126ドル、11.12%)以来、1年9ヵ月ぶりの急騰。
ドル円は219銭のドル安円高、1.55%の大幅続落で8月29日(138.72)以来、2ヵ月半ぶりのドル安円高水準。下落幅としては今年の絶対値平均66銭の3.3倍で今年5番めの急落。前日の円高急進でも下げ止まらず、2日合計では7円58銭、5.18%の急落。前日NY終盤につけた安値140円20銭台からの反発基調はこの日の東京午前の時間帯まで続き、142円40銭台まで上昇して失速。戻り売りとなった東京午後に142円を割れると欧州時間に加速、141円割れから140円割れへ、さらに139円割れへと急落後には139円台に戻しての下げ渋りも、NY午後には再び軟調推移。ベテランズ・デーで米債券市場が休場となるなか、ドル安基調がコンスタントに続き、NY終盤には138円40銭台まで下落。短期的には複数の節目を突き抜けての急落局面形成となり、売られ過ぎの過熱感も急速に高まる状況にもなり、水準的には7月高値圏にも相当、いったん下げ止まるには程良い水準のようにも。10月高値(151.94)からこの日の安値(138.46)までの23.6%戻し(141.64)近辺から90日移動平均線(141.32)辺りまでが当面の戻り目安にも。
※参考:
金プラチナ相場とドル円 NY市場11/11終値とチャート
2022年11月12日(土)時点の相場
国内金:8,705 円 11/11(金)
▼39(
0.45%)
国内プラチナ:5,076 円 11/11(金)
▲82(
1.64%)
NY金:1,769.4 ドル 11/11(金)
▲15.7(
0.90%)
NYプラチナ:1,038.1 ドル 11/11(金)
▼16.9(
1.60%)
ドル円:138.77 円 11/11(金)
▼2.19(
1.55%)
11/11(金)のその他主要マーケット指標
国内金は保合い上抜け失敗、プラチナは保合い上抜け維持 11/14(月)米CPI鈍化は予想以上、市場反応も予想以上でドル安金高急進 11/11(金)鈍化継続予想の米国CPI、欧州、OECD、G20ではインフレ加速中 11/10(木)ドルインデックスの三番天井とNY金の三番底 11/09(水)
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