インフレは依然高過ぎる、雇用は依然力強い、米8月雇用統計
更新日:2023年09月02日(土)
米8月雇用統計は強弱混在、強いて言えば失業率が上昇し、雇用者数の伸びも過去2ヵ月分の大幅下方修正などから第一印象は悪化。しかし、それほど悪い訳でもなく、むしろ逼迫状態緩和で程良い軟化状態、クリーブランド連銀メスター総裁の「雇用は依然、力強い」発言に象徴されるような結果でもあり、ドル売り先行の流れは巻き戻され、日足レベルでは金利上昇とドル高進行。急騰後に急反落へと乱高下のNY金は下げ渋り。
雇用者数の伸びは、8月分が市場予想を2万人弱上回る好結果となったものの、過去2ヵ月分が合計11万人の下方修正。それでも
年間平均では8月時点で前月比+23.6万人となり、異常時の2020-2022を除けば2014年(+25.0)に次いで過去2番めの高水準。
失業率は7月の3.5%から8月は3.8%へと急上昇したのは、労働参加率が62.6%から62.8%へと上昇し、2020年2月(63.3)以来、3年半ぶり高水準となった影響も。
なお3.8%という水準は、3.5%まで下げたコロナ直前の時期を除くと2000年以来、ほぼ20年ぶりの低水準。
平均時給は、8月は前年比+4.29%となり、市場予想(+4.3%)にほぼ一致、6月(+4.36%)からは低下。続落で2021年6月(3.95)以来、2年2ヵ月ぶり低水準、11ヵ月連続4%台、6ヵ月連続4.3%付近での横ばい推移。ただし過去平均+2.99%を依然、大きく上回る伸び率。依然、インフレ高止まり要因の一つ。
ただし、前月比では8月は+0.24%となり、2022年2月(0.00%)以来、1年半ぶりの低水準。過去平均0.25%も1年半ぶりに下回り、ゆっくりとインフレ鈍化が進行している一面も。
1日のNY金は+1.2ドル、0.06%の小反発。時間外は1960ドル台後半での小幅保ち合い推移、ロンドン市場では米10年債利回りの低下傾向にも連れて1970ドル台へ。NY朝の雇用統計の結果を受けては長期金利低下とドル安の反応を受けて急騰、高値では一時1980ドルまで上昇。8月7日(1981.7)以来、4週間ぶり高値をつけた後は巻き戻し、その後発表された米8月製造業PMIが上方改定され、ISM製造業景況指数も予想を上回る結果となって回復基調が意識されたことも長期金利上昇とドル高をサポートし、NY金は安値で1960ドル付近まで急落。NY午後には1960ドル台後半へと自律反発も90日移動平均線(1966.9)との攻防状態。8月後半の反発局面は短期上値目標1970ドル台到達で一服となり、次の短期トレンド形成への起点となり得た雇用統計を経て上ヒゲ十字線を形成。反落警戒感も高まる一方で追加利上げ観測は後退、方向感喪失気味にも。目先、1970ドル台の節目をしっかり上抜けることができれば2000ドルの大台付近まで上昇余地拡大へ、下方向へは引き続き1930ドル台が当面のサポート。
週間ベースでは+27.2ドル、1.40%の続伸。
NYプラチナは-5.7ドル、0.58%安で3日続落。8月25日(948.2)以来、1週間ぶりの安値。時間外の970ドル台後半からロンドン・NY朝にかけて980ドル台半ばへと反発、雇用統計後の乱高下局面では一時995ドルまで急騰、7月19日(998.0)以来1ヵ月半ぶり高値をつけて失速すると980ドル割れ、NY午後には970ドルも割り込んで自律反発も限定的に。右肩下がりの90日移動平均線(984.5)に4日連続で上値を押さえられ、8月安値(882.6)から9月高値(995.0)の23.6%戻し(968.5)を達成した状態に。目先、調整局面継続となれば38.2%戻し(952.1)近辺がサポート候補に、上方向には990ドルの抵抗水準を突破できれば大台回復と7月高値(1003.7)更新トライへ。
週間ベースでは+20.5ドル、2.16%高で3週続伸。
ドル円は74銭のドル高円安、0.51%の反発。145円半ばでの保ち合い推移となった東京・欧州時間を経て、NY朝には145円台前半へとやや軟調推移、雇用統計の結果には失業率悪化などを受けて売り先行。145円割れへと急落すると安値では144円40銭台まで下落。ただし雇用情勢としては悲観的な内容でもなく、利上げ効果による適度な軟化との見方も可能な状況から、長期金利の巻き戻しにドル安の巻き戻しも追随、ドル円も145円台へと反発。さらに米製造業PMIの上方改定、ISM製造業景況指数の上振れなども好感されて一段高。クリーブランド連銀メスター総裁の「インフレは依然高過ぎる、雇用は依然力強い」発言にもサポートされてNY午後には146円20銭台まで上昇。143円半ばを目指した流れは144円半ばまでで巻き戻されて下値トライには失敗。逆に上方向への節目146円30銭との攻防状態へ。次週、勢いが続いて節目上抜けとなれば148円台後半辺りまで上値を伸ばす流れとなる可能性も。反面、145円半ばのサポートを割れるようなら下値トライ再開へ、7月安値(137.24)から8月高値(147.37)の半値戻し(142.31)付近までが下値目安にも。
週間ベースでは-18銭、0.12%の小幅安で5週ぶりの反落。
※参考:
金プラチナ相場とドル円 NY市場9/1終値とチャート
2023年09月02日(土)時点の相場
国内金:9,930 円 9/1(金)
▼56(
0.56%)
国内プラチナ:4,914 円 9/1(金)
▼51(
1.03%)
NY金:1,967.1 ドル 9/1(金)
▲1.2(
0.06%)
NYプラチナ:968.7 ドル 9/1(金)
▼5.7(
0.58%)
ドル円:146.27 円 9/1(金)
▲0.74(
0.51%)
9/1(金)のその他主要マーケット指標
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