世界の金需要-2023年第3四半期
更新日:2023年11月07日(火)
ワールドゴールドカウンシルが先週発表した四半期レポートによれば、2023年第3四半期の世界の金需要は1147.5トン。前期比+153.8トン(15.5%)で3四半期ぶりの大幅増、前年比では-71.7トン(5.9%)で2四半期ぶり減。
中央銀行の買い越し需要と宝飾品需要が好調、合わせて需要全体の8割。
<目的別需要>
■宝飾品:578.2トン※3四半期ぶり高水準。前期比+85.4ン(17.3%)、前年比-4.4トン(0.8%)。シェア50.4%※5四半期ぶり高水準。
■産業用:75.3トン※4四半期ぶり高水準。前期比+4.9トン(7.0%)、前年比-2.0トン(2.6%)。シェア6.6%※2四半期ぶり低水準
■投資:156.9トン※4四半期ぶり低水準。前期比-98.8トン(38.6%)、前年比+56.4トン(56.2%)。シェア13.7%※4四半期ぶり低水準。
■中央銀行:337.1トン※3四半期ぶり高水準。12四半期連続買い越し、前期比+162.3トン(92.9%)、前年比-121.7トン(26.5%)。シェア29.4%※4四半期ぶり高水準。
中国、ポーランド、トルコ、インド、ウズベキスタン、チェコ、シンガポールなどで増加。カザフスタン、アゼルバイジャン、UAEなどでは減少。
<投資需要・内訳>
■現物:296.2トン※2四半期ぶり高水準。前期比+19.4トン(7.0%)、前年比-48.0トン(14.0%)
■ETF:-139.3トン※6四半期連続の売り越し。6四半期連続は2014年以来。
ETFは4四半期ぶりの大幅売り越し。価格水準は過去最高となった前期の1975.9ドルから1928.5ドルへと反落。特に9月の急落がETF売り越しに影響した可能性。
<金消費需要>現物投資需要と宝飾品需要を合わせた金消費需要は874.4トン。前期比+104.8トン(13.6%)、前年比-52.4トン(5.7%)で3四半期ぶり高水準。全需要に対するシェアは76.2%で2四半期ぶり低水準。
★1位中国、2位インドは3四半期連続。中国の宝飾品需要は153.7トンで2四半期ぶり高水準。インドの宝飾品需要は155.7トンで3四半期ぶり高水準。現物投資需要は中国が81.6トンで10四半期ぶり高水準、インドは54.5トンで3四半期ぶり高水準。2カ国合計の金消費需要の世界シェアは46.0%で7四半期ぶり高水準。
<世界の金消費大国>
世界の金消費需要上位3カ国の合計シェアは61%。1位中国は235.4トンで前期比+29.8%、2四半期ぶり高水準。2位インドは210.2トンで前期比+33.0%、3四半期ぶり高水準。3位米国は49.7トン(-25.1%)で13四半期ぶり低水準。
4位トルコは41.4トン(-28.4%)で3四半期ぶり低水準。5位イランは-5.6%で3四半期ぶり低水準。※5位まで前期から順位変動なし。6位ロシアは+9.8%で9年ぶり高水準、1ランクUP。7位サウジアラビアは+7.7%で5年ぶり高水準、3ランクUP。8位ドイツは-3.2%で2四半期ぶり低水準で過去最少(2010以降)タイ。9位タイは+70.2%で3四半期ぶり高水準、7ランクUP。10位エジプトは-25.5%で5四半期ぶり低水準、4ランクダウン。
前期9位のUAEは12位へ。日本は4.3トンで2四半期ぶり低水準、20位から22位へとダウン。
<リサイクルと供給量>
リサイクルは288.8トンとなって前期比-34.1トン(10.6%)、40四半期ぶりの低水準。鉱山産出量は971.1トンで前期比+58.4トン(6.4%)。総供給量は1267.1トンとなり、前期比+51.0トン(4.2%)で3年ぶり高水準。
<需給バランス>
需給バランスは+119.6トン、3四半期連続の供給余剰。
6日のNY金は先週末から-10.6ドル、0.53%安で3日ぶりの反落。週明け時間外序盤は2000ドルの大台ラインがレジスタンスとなって失速、1990ドル付近へと水準を切り下げたロンドン市場では199ドル台半ばまでの小反発で戻り売り。NY午後には1990ドルラインでの攻防となり、NY引け後には1990ドル割れへと軟調推移。FOMC後の米長期金利低下とドル安の流れが一服となったことにも連れての反落で保合い上限を2000ドルに切り下げ、1980ドルの下限までのレンジでの保合い継続。軟調な展開が続いて1980ドルの節目を割れると保合い崩れとなって調整局面入り、200日移動平均線(1947.5)から1950ドル近辺までが短期下値目安に。2000ドル超へと切り返すことができれば一段高トライへの可能性も若干程度、その場合には2040ドル近辺を目指す流れにも。
NYプラチナは-26.7ドル、2.83%安で3日ぶりの反落。週明け時間外スタート直後に940ドルを割れるとアジア時間からロンドン序盤にかけては930ドル台での小幅保合い推移、ロンドン・NY朝にかけては940ドル台回復も一時的、NY市場では戻り売りとなって急落の展開に。930ドルの節目を割れるとNY午後には920ドル割れへ、NY引け後に910ドル台半ばで一服状態。950ドルの保合い上限手前でしっかり上値を押さえられ、930ドルのサポートを割り込んだことで調整の流れが進行。短期下値目安900ドル近辺まで、もう少しの下げ余地。
ドル円は66銭のドル高円安、0.44%高となって4日ぶりの反発。週明け東京時間朝の149円30銭近辺が安値となり、先週末安値149円20銭を下回らずに反発局面形成へ。東京午後には149円60銭台まで上昇し、欧州時間序盤には149円70銭台まで上昇。149円30銭台までの下押しも挟んでNY午前には149円80銭台へと一段高。NY午後にかけては米10年債利回りが4.6%台を回復した流れにも連れ、ドル高の流れも強まってゆるやかに堅調推移、NY終盤には150円回復トライへ。先週後半の軟調推移で調整局面進行へと傾斜した流れは149円の節目手前で下げ渋って反発、目先の下値サポートは149円30銭に切り上げ、高値保合い継続の様相に。これを維持できなくなった場合には下値トライへ、147円近辺までが短期調整目安に。
※参考:
金プラチナ相場とドル円 NY市場11/6終値とチャート
7日の国内金価格は-40円、0.38%安で3日続落。10月25日(10394)以来、2週間ぶりの安値。10460円の節目を維持し切れず、高値保合い崩れとなってダブルトップも完成し、調整局面入り。節目割れに伴う短期下値目安は10400円近辺まで。多少の行き過ぎ警戒水準として、10月安値(9512)から10月最高値(10544)の23.6%戻し(10300)も。
プラチナ価格は-80円、1.65%安で3日続落。10月30日(4722)以来1週間ぶり安値圏での一段安。10月安値(4484)から11月高値(4923)の23.6%戻し(4819)を突き抜け、10月後半の堅調局面をサポートしてきた9日移動平均線(4786)も下回り、一目均衡表の転換線(4782)も下抜けて早々と三役好転崩れ。目先、4720円の節目を割れると一段安の可能性も、4660円近辺までが短期下値目安に。
※参考:
金プラチナ国内価格11/7とチャート
2023年11月07日(火)時点の相場
国内金:10,428 円 11/7(火)
▼40(
0.38%)
国内プラチナ:4,769 円 11/7(火)
▼80(
1.65%)
NY金:1,988.6 ドル 11/6(月)
▼10.6(
0.53%)
NYプラチナ:917.6 ドル 11/6(月)
▼26.7(
2.83%)
ドル円:150.05 円 11/6(月)
▲0.66(
0.44%)
11/6(月)のその他主要マーケット指標
中国貿易黒字は8ヵ月ぶり低水準、輸出は6ヵ月連続前年割れ 11/08(水)金融政策の潮目でドル高にも変調、国内金は高止まり 11/06(月)米10月雇用統計は低調、雇用者数の伸びは平年並みへ 11/04(土)ユーロ圏製造業PMI縮小基調16ヵ月連続、拡大はギリシャだけ 11/03(金)
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