2013年6月に入ってクローズアップされ始めた中国発の金融不安。チャイナ・リスクと言われる問題の根源は、不良債権の増大を招くとして懸念されるシャドーバンキング、影の銀行業務。
シャドーバンキングとは、一般金融機関以外の金融業を指すもので、いわゆるノンバンクやヘッジファンド、ETF(上場投資信託)なども含まれ、比較的規制が緩く、ハイリスクの金融商品などを扱うケースも多いようです。
中国のシャドーバンキングでは、不動産絡みの「また貸し」と理財商品の規模が急拡大し、不良債権化する懸念が高まっていることが問題視されています。
その背景には、世界第2位の中国経済を支えてきた、地方政府の大規模な都市開発などの過剰なインフラ投資があります。
各地方政府傘下に存在する、融資平台と呼ばれる投資会社では、銀行からの融資を受けた大手企業からの巨額の資金、つまり「また貸し」を受けてインフラ開発を進めます。
さらには、債券や信託などの理財商品を発行し、個人から大量の投資マネーを集めてインフラ投資で運用します。
大手企業のなかには、銀行から借りた資金を基準金利の数倍の金利で中小の不動産開発会社に「また貸し」するケースも増加している模様。
中国のシャドーバンキングの市場規模は年々拡大し、2012年末には3兆7千億ドルにも達しているとも言われますが、正確な数字は不明で、その倍との見方もあるようです。
中国の中央銀行である中国人民銀行が、シャドーバンキングへ流れる資金抑制策を進めた為に短期金利が急上昇、2-3%で推移していたSHIBOR(上海銀行間取引金利)は6月入って急騰、月末には翌日もので一時13%台まで跳ね上がりました。
金融市場での資金逼迫により一部の銀行のデフォルト懸念の噂なども浮上、不動産担保証券が発端で始まったサブプライム問題になぞらえて、中国発の世界金融危機へ、と煽り立てるような声も聞かれましたが、一方では人民銀行による自作自演、とも言われます。
少なくとも、中国のシャドーバンキングに伴う理財商品は、サブプライムローンのように世界中に拡散している訳ではないはずなので、これによる世界への影響は限定的と思われます。
ただし、今のまま健全な産業が育成されず、不健全な都市化モデルなどの失敗が続けば、破綻する地方政府も出始め、中国国内の混乱は否定できません。
景気減速が加速することで、世界中の貿易相手国は、少なからず影響を受けることになりそうです。
最終更新:2013年06月28日