金プラチナ短期相場観
格付け見通し引き上げで米国のリスク要因は次々と解消へ
更新日:2013年7月19日(金)
ムーディーズが米国債の格付け見通しを「ネガティブ」から「安定的」へと引き上げました。最上位のトリプルA格付けの他の国々と比較しても財政改善ペースが速いことを評価したようです。これで米国のソブリン格付けは、ちょうど2年前に金融市場をパニックに陥れたS&Pだけが「AA+」。そのS&Pも先月には見通しをネガティブから安定的へ引き上げており、米国にとっての大きなリスク要因の一つが解消されつつあります。
経済指標の好結果も続き、昨日の新規失業保険申請件数も上振れとなり、2週間後の雇用統計へのサポート材料となりそうです。NYダウなどの米株は既に高値更新状態が続き、景気改善傾向を好感しています。それでも緩和縮小は年内、早くて9月からという思惑は継続し、米ドルにとっても比較的安定的な買い要因となっているようです。
経済指標が順調に改善を続けると、残る問題は低インフレ。これが解消しないことには緩和縮小も本格的には進みません。
いずれインフレ率も上昇し、やや上昇し過ぎへの懸念が出始めると金利引き上げフェーズへ。
利上げ期待はドル高要因ですが、インフレ懸念は金の買い要因。早期の緩和縮小懸念で散々売られてきた金も、そろそろ織り込み済の可能性も。そして、少し将来のインフレ懸念による買い材料にも、少し、期待が持てるのかもしれません。
米国政府の財政リスクは後退しましたが、デトロイト市が財政破綻したようです。米国では地方自治体の財政破綻は珍しくはないのだそうですが、その規模は過去最大なのだそう。米国らしさを感じます。
NY市場、金相場は0.52%反発。しかし、この日の高値は1,290ドルにも満たず、1,300ドルの壁にはトライも出来ず小動き。バーナンキFRB議長の議会証言を終え、米緩和策の早期縮小観測はやや後退したとは言え、いずれ縮小されることも既定路線であることが明確になったことにより、当面の下押し圧力は弱まったものの買い材料にも乏しい状況。上値目標1,310ドル手前での足踏み状態が続きます。
プラチナも金に連動し0.26%の小幅反発。先週末に直近目標値1,410ドルに到達して以降、この近辺での小幅推移が既に1週間。この1,410-1,420ドル台は、4月の急落局面での底値でもあり10日間ほど揉み合いを形成した価格帯。今回はこのラインが抵抗帯となってきた様子。もうしばらく揉み合いを続けることで、抵抗帯を突破する為のエネルギーを蓄積する必要ありか。
ドル円は続伸、0.84%上昇で終値ベースでは7月9日以来の100円台を回復。下方向へと傾きかけていた流れは、米新規失業保険申請件数、フィラデルフィア連銀景況指数などの好結果にも後押しされて「変化日」に好転。まずは101円程度までの上値余地はありそうです。
※参考:金プラチナ価格とドル円 NY市場7/18終値とチャート
国内、金価格は1.7%の大幅反発。NY金相場が1,300ドルの節目超えできずにもたもたしていたところを円安がカバーしてくれた形で4,300円の節目をようやく突破、1ヶ月ぶりの水準に。4,380円の上値目標地点もようやく視界に。サポートラインは4,260円。90日移動平均かい離率が今だに-7.4%と非常に大きいにも係わらず、RSIが80%を超える過熱感という、いびつな状態。いかに6月の急落幅が大きかったかを示します。いずれこの状態は是正されることに。
この1週間では+75円(+1.76%)となって3週続伸。
プラチナも国内金価格に連動して1.6%の反発。強気バイアス継続で4,710円をサポートラインに4,820円の第2目標へと向かいます。90日移動平均線との乖離率は-1.4%まで縮小、第2目標に到達できれば、6月上旬以来となる90日移動平均線付近にも到達することに。
週間では103円(2.20%)の上昇で3週続伸。
※参考:金プラチナ国内価格7/19とチャート
- 2013年7月19日(金)時点の相場
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国内金 : 4,336 円 7/19(金) ▲73(1.71%) 国内プラチナ : 4,788 円 7/19(金) ▲74(1.57%) NY金 : 1,284.2 ドル 7/18(木) ▲6.7(0.52%) NYプラチナ : 1,414.8 ドル 7/18(木) ▲3.8(0.27%) ドル円 : 100.42 円 7/18(木) ▲0.84(0.84%)
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