金プラチナ短期相場観
ユーロ動向に警戒感高まる金相場
更新日:2014年6月3日(火)
ここ数年、平均的に逆相関関係の強いドル円と金相場の関係は、最近めっきりとその関係性を弱め、ほぼ無関係の状態。
ドル高円安傾向となっても必ずしも金が売られる訳ではなく、ドル安円高が進んだからといって必ずしも金が買われやすくなる訳ではない状態となっています。
しかし、これまでそれほど強くもなかったユーロドルと金相場の関係は、足元では除々にその相関関係を強めています。
ユーロ売りドル買いが進行すると、金は売られる傾向が強まり、逆にユーロ買いドル売りが優勢となれば、金が買われやすくなる傾向を示します。
月初に発表された各国の製造業PMIを見ると、ユーロ圏のそれは好不況の境目となる50を11ヶ月連続で上回ってはいるものの、今年1月をピークにやや低下傾向となっています。特に5月分では前月から1.2ポイントの大幅低下となる52.2。
ユーロ圏主要国の数値では、最も影響度の高いドイツは52.3と平均並、しかしユーロ圏の数値と同様、鈍化傾向となっています。また、フランスも49.6と50割れで足を引っ張ります。一方、2年前までのユーロ危機で主役を演じたスペインは52.9へと上昇、6ヶ月連続で50以上を維持し、2010年4月以来、約4年ぶりの高水準へと回復しています。イタリアの53.2とともに、ユーロ圏の数値を上回ります。
かつての財政破綻懸念国の好調が目立ち、逆にユーロ圏を牽引してきた2大経済大国の鈍化傾向が、そのままユーロ圏の鈍化傾向となります。
本日発表予定のユーロ圏5月の消費者物価指数でも前年比0.6%程度と低インフレ状態が予想され、木曜日のECB理事会での追加緩和の可能性も高まります。
既にこれを織り込んだようにユーロは対ドルでの軟調推移が続いていますが、ドラギ総裁の会見とともにもう一段のユーロ安、もしくは急反発の可能性も。
ユーロドルの乱高下に、金相場もやや振られやすくなる可能性も高まります。
6月初日のNY市場、ダウ、S&P、DAXが史上最高値更新するなか、金相場は0.13%の小幅安で6日続落。続落としては3月末の5日続落を超えて今年最長、昨年8月上旬以来のこと。米5月ISM製造業景況指数の誤報で1,251ドルまで急騰した場面もあったものの、総じて軟調推移。2日連続での1,241ドル台までの下値トライとなり、目標水準1,230ドル近辺に近づいたことと売られ過ぎ圏に入ってきたことによる減速感も。
プラチナ相場は3営業日続落となり、1.1%の大幅安で目先の下押しリスク1,440ドル近辺へとしっかりと到達。目標水準到達と1,437ドルで水平状態の90日移動平均線にぶつかったことで一服感も出やすいところ。しばしば、大きく行き過ぎるケースに要警戒。
ドル円は0.58%高、最近にしては大幅上昇。米5月ISM製造業景況指数の発表では異例のドタバタ劇。前月の54.9から予想外の低下となる53.2と発表されると102円20銭台から102円ちょうど付近まで急落、その後1時間ほど経過後に56.0と修正されたことで急反発、さらに1時間後に再修正値55.4。結局、ほぼ事前の市場予想どおりながらもいったん悪い数値が発表されたことによるサプライズ感もあり、102円台半ばへ。米金利上昇にも連れて堅調推移となり、4月7日以来、約2ヶ月ぶりに90日移動平均線を超え、レジスタンスとなっていた102円30銭も突破したことで上値余地は拡大。目先の目標水準は103円超え、103円10銭程度。
※参考:金プラチナ相場とドル円 NY市場6/2終値とチャート
国内金価格は0.16%の小幅ながら5日ぶりの反発。長期的に見て流れが止まりやすい4,300-4,400円のレンジに入ってきたことによる減速感と円安のサポートを受けたものの4,400円の節目が抵抗線に。売られ過ぎ状態は継続中ながらもう少しの下げ余地。
プラチナは0.47%の続落。ゆるやかに上昇してきた90日移動平均線が4,965円まで水準を切り上げて水平状態へと移行し始めており、下値目標4,980円近辺到達後のサポートライン候補に。この90日移動平均線が下落し始める前にぶつかって反発できれば良いのだが。
※参考:金プラチナ国内価格6/3とチャート
- 2014年6月3日(火)時点の相場
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国内金 : 4,396 円 6/3(火) ▲7(0.16%) 国内プラチナ : 5,035 円 6/3(火) ▼24(0.47%) NY金 : 1,244.0 ドル 6/2(月) ▼1.6(0.13%) NYプラチナ : 1,436.7 ドル 6/2(月) ▼16.0(1.10%) ドル円 : 102.38 円 6/2(月) ▲0.59(0.58%)
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