金プラチナ短期相場観

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雇用統計で注目され始める「ペントアップ賃金デフレ」の動向

更新日:2014年8月29日(金)

1週間後に発表される米雇用統計では、主要指標においては順調な回復状況が確認される可能性が高そうです。非農業部門雇用者数は今年2月以降、6カ月連続で+20万人を超え、6カ月平均では+24万人台に達しています。失業率も6%割れ寸前まで低下し、リセッション前の5%に向けてのリーチとなる5%台突入も目前。市場予想よりも多少の好結果となる程度でも、ドル高進行の可能性が高まります。

しかし、市場の注目が利上げのタイミングへと移行するなか、雇用統計での注目ポイントも、主要指標以外のマイナー指標の重要度が増しつつあります。
イエレン・ダッシュボードに組み込まれる労働参加率、長期失業者の割合、広義の失業率(U6失業率)以外にも、労働市場のたるみの象徴の一つとされる、賃金上昇率の低さ。
雇用統計のなかで発表される平均時給を、前年同月比の推移で見ると、以前の+3%前後から低下し、最近は+2%付近での低迷が続きます。この状況は、労働市場の回復度合いの遅れを示すものではなく、「ペントアップ賃金デフレ」という現象である、という仮説があります。

イエレンFRB議長が先日のジャクソンホールでの講演の際に言及したもので、リセッションの時期に賃金引き下げを行わなかったことにより、景気回復が進行した現在でも賃金引き上げの必要がない、ことで抑圧された賃金デフレの状態に陥っている、ということです。
そのうち、賃金上昇率が少しづつ徐々に上昇するようなら、この仮説は誤りである可能性も高まりますが、2%近辺での低迷状態が今後も長く続けば続くほど、この仮説が正しい可能性が高まることになります。

7月分の雇用統計で発表された平均時給は24.45ドル、前年比+2.00%。抑圧された賃金デフレの状態から、突然解き放たれて、賃金インフレが急速に進行する可能性があるとされる、このペントアップ賃金デフレの動向にも、今後警戒感が高まります。

NY金・日足チャート 2014/8/1 - 8/2828日のNY金相場は0.55%の反発。ロシア軍のウクライナ侵入報道を受けて買い圧力が強まり、約1週間ぶりの1,290ドル台へ。一時1,297ドルまでの上昇後には米経済指標の好結果を受けて反落。米4-6月期GDP改定値が予想を上回る前期比年率4.2%、新規失業保険申請件数も29.8万件と改善傾向、米経済の回復基調を再確認。1,280ドルの節目を超えた状態が1週間続いたことで短期下落トレンドの勢いはかなり減速、それでも方向感はまだ下向き。1,280-90ドル近辺を中心としたレンジでの揉み合い状態への移行の可能性も高めつつ、1,250ドル近辺までの下落リスクも継続。

NYプラチナ・日足チャート 2014/8/1 - 8/28プラチナ相場は0.37%の上昇で3日続伸。最大レベルに達していた売り過熱感からの反発をウクライナ情勢と、それに伴う金の反発、ドル円の調整継続にもサポートされて1週間ぶりに一時1,430ドル台まで上昇。それでも9日移動平均線に上値を押さえられる状態で、7月上旬から続く下落トレンドも継続。1,400ドル近辺までの下落余地を抱える状況も継続。

ドル円・日足チャート 2014/8/1 - 8/28ドル円は0.15%の小幅安で続落。ウクライナ情勢悪化がなくとも調整局面が継続していた可能性は大。GDP改定値上振れなどの好結果にも上値が限定的となったことも、前日からの手仕舞い継続ムードが優勢となっていたことを示す様子。上昇トレンドが始まっていると仮定すると、適度な押し目を形成中。過熱感上昇の状態からすると103円台後半を維持しつつ、もう一段の調整か、あと数日間現状レベルでの推移も効果的。反発に転じて104円10銭のラインを超えてくると、105円台後半も視野に。
※参考:金プラチナ相場とドル円 NY市場8/28終値とチャート

29日の国内金価格は0.22%の小幅反発。4,520円台を目指す短期下落トレンドへの兆しからは逆行の流れが続き、上方向への節目4,610円も目前。ここを超えると流れは好転し、4,600円台半ばから後半にかけての水準を目指す可能性が高まることに。
週間ベースでは+27円(+0.59%)の反発。月間でも+23円(+0.5%)の小幅高で3カ月続伸。

プラチナは0.24%の小幅高で4日ぶりの反発。売られ過ぎからの反発もNYプラチナと同様に9日移動平均線がレジスタンスラインとなり、下落トレンドは継続。5,000円近辺までの下落余地。しかし、上方向への節目となる5,100円も手が届く範囲、ここを超えると5,100円台半ばまでの反発余地は見込めそう。
週間ベースでは-3円(-0.06%)とわずかにマイナス圏となり、3週続落。月間では-138円(-2.64%)で5ヶ月ぶりの反落。
※参考:金プラチナ国内価格8/29とチャート

2014年8月29日(金)時点の相場
国内金4,605 円 8/29(金) ▲10(0.22%)
国内プラチナ5,080 円 8/29(金) ▲12(0.24%)
NY金1,290.4 ドル 8/28(木) ▲7.0(0.55%)
NYプラチナ1,425.2 ドル 8/28(木) ▲5.3(0.37%)
ドル円103.72 円 8/28(木) ▼0.16(0.15%)

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