金プラチナ短期相場観
米金融政策正常化を日欧中でカバー、金・プラチナ市場もフォロー
更新日:2014年11月22日(土)
米国の量的緩和が終了へと向かい、政策金利の誘導目標調整という伝統的手法の復活を目指し、そう遠くない時期のゼロ金利解除も予想され、着実に金融政策正常化への道を進み始めていることに伴い、金やプラチナ、商品市場の下落が続きました。
米国の金融政策とは逆行する日銀の量的質的緩和の拡大だけでは、金やプラチナ市場をサポートするには役不足だったのかもしれません。
しかし、ECBのドラギ総裁が追加緩和の可能性に再度言及し、資産買入れの規模やペース、構成を拡大し介入手段拡大をすると語り、国債購入の可能性も高まったことでユーロ安が進行、欧州株式市場もこれを好感して大幅上昇。
さらに、中国でも突然の利下げ。中国国内の景気減速を懸念する中国人民銀行の予想しないタイミングでの2年ぶりの利下げによって、世界中の貿易相手国が好感、世界同時株高の流れとともに、金やプラチナも上昇。
金市場やプラチナ市場にとっても、その需要の多くを占める欧州や中国の景気動向には非常に敏感で、これら2大経済圏の低迷も相場下落の要因の一つとなっていました。これですぐに欧州や中国経済が復活するとは限らないものの、少なくとも復活に向けての中央銀行の姿勢は大きく評価され、低迷が続いた商品・貴金属市場へのサポート材料となります。
米国の金融政策が正常化へと向かうことによる、資源国や新興国、商品市場などに及ぶリスクを緩和するために孤軍奮闘していた日銀に、ECBと中国人民銀行という巨大な援軍が本格的に加勢しようとしています。
21日のNY金相場は0.57%の反発。ドラギECB総裁の追加緩和示唆発言を受けてユーロ売りドル買いの流れが急速に進むと同時に1,180ドル台へと10ドルほど急落。その2時間後、中国の利下げ報道を受けて1,200ドルまで急反発。その後も堅調推移が続き、一時3週間ぶりの高値水準となる1,207.6まで上昇。しかしユーロ売りドル買いも進み、ユーロドルが1週間ぶりに1.24ドルの大台割れへと下落すると、金も1,200ドル割れへと反落。結果的に1,200ドルの抵抗線を超えられず、1,190ドルをサポートラインとする小幅レンジを形成。次週、短期上昇トレンドの流れを背景に再度上値トライへ。トライ成功なら1,230ドルを目指す流れへ、反落なら1,160ドル台までの下押しも。
週間ベースでは+12.1ドル(+1.02%)の続伸。
プラチナ相場は1.8%の大幅続伸。ECBの追加緩和や中国の利下げをプラチナ市場も好感、半月ほど続いた1,190-1,220ドルのレンジ相場を大きく上抜けて約3週間ぶりの高値水準へ。鍋底状態の大底を経て反発へと向かい始めた可能性を示唆し、目先は1,250ドル近辺までの上昇が見込まれる。勢いが続けば1,300ドルも視野に。
週間ベースでは+14.2ドル(+1.17%)となり、2週続伸。
ドル円相場は0.37%安となり、7日ぶりの反落。117円30銭台の安値を2度つけて反発する底堅さを見せる反面、118円台では何度も上値を押さえられる状態。それでも118円90銭台の高値からの調整幅は、今月の急騰局面での平均的な調整幅1.6円程度に収まっており、調整幅が拡大しない限りは過熱感を伴いながらの上値トライ継続へ。117円台割れなら115円台半ばが意識されることに。
週間ベースでは+1.48円(+1.27%)で5週続伸。
※参考:金プラチナ相場とドル円 NY市場11/21終値とチャート
- 2014年11月22日(土)時点の相場
-
国内金 : 4,836 円 11/21(金) ▲34(0.71%) 国内プラチナ : 4,886 円 11/21(金) ▲65(1.35%) NY金 : 1,197.7 ドル 11/21(金) ▲6.8(0.57%) NYプラチナ : 1,227.3 ドル 11/21(金) ▲21.7(1.80%) ドル円 : 117.77 円 11/21(金) ▼0.44(0.37%)
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