金プラチナ短期相場観
とまらない円安日本株買いの流れに警戒感高まるドル高懸念
更新日:2014年12月3日(水)
円安の流れと日経平均の上昇基調が加速し、いずれも7年ぶりの高値更新が続き、ドル円の2007年高値124.13円、日経平均の2007年高値18,300.39円、それぞれ2007年の高値も意識される水準となってきました。それと同時にドル円と日経平均の相関関係も急速に強まっています。
短期的な相関関係を示す30日間の相関係数は0.97668。11月28日には0.97816まで上昇し、限りなく1.0に近づく状態まで連動性が高まり、近年でこの数値が最も高かった2013年1月14日時点の0.97991に迫る水準です。当時は第2次安倍政権発足後間もない時期で金融緩和への期待が最も高まっていた時期。そして今回は金融緩和のテコ入れによる官製相場状態、第3次安倍政権への期待も少し高まる時期。似通った背景では、同じようなペースで円安・株高の流れも進みます。
行き過ぎ論、悪い円安論が出始めて既に久しくなりますが、そろそろ本格的なドル高懸念へも警戒感が高まります。原油相場下落に代表されるエネルギー価格の下落は米国経済のサポート要因となるものの、一方では資源安や賃金低迷による低インフレ懸念、ドル高による外需産業へのダメージも懸念されます。
1日に発表された世界各国の製造業PMIでは、英国、インド、ロシアが上昇し、ユーロ圏と中国、ブラジルは低迷が続きます。同じマークイットが発表した米国の製造業PMIは54.8となり、1月以来の低水準となったにもかかわらず、英国の53.5を上回る高水準を維持しています。さらにISMの製造業景況指数は58.7と好調を維持し、米国経済の好調さと、それ以外の低調ぶりが鮮明となっています。
円安に加え、資源国や新興国、欧州、中国などの景気低迷による通貨安に対し、相対的なドルの独歩高は続きます。
2日のNY市場、金相場は1.54%の大幅反落。ドル高の流れに伴い、前日の上昇値幅42.9ドルの4割強を戻し、1,200ドルの大台を維持出来ず。直前の上値抵抗線1,200ドルが新たなサポートラインとなるか、再び抵抗線となるか。乱高下が続く原油相場と同様、不安定な状態が継続。短期的な流れは上方向で1,230ドル近辺までの上値余地を残す状況。1,170ドルのサポートラインを割れるようなことがあれば終値ベースでの今年最安値1,140ドル近辺を目指す流れへと転換も。
プラチナ相場も1.94%安となり、前日上昇値幅の80%戻しとなる大幅反落。荒っぽい上下動を繰り返しながらも下値を徐々に切り上げる緩やかな上昇トレンドを維持。1,260ドル近辺の上値目標を維持しつつも、下値サポートライン1,210ドルも意識され、ブレイクした場合には今年最安値1,170ドル台への再トライの可能性が浮上。
ドル円相場は0.69%の反発。終値ベースでの119円台は2007年8月8日以来、7年4カ月ぶり。この週末にかけての重要イベントでネガティブ・サプライズさえなければ目標水準120円近辺への到達も時間の問題か。オシレータ系指標などでは反落サイン続出中にあり、崩れだした時の値幅が大きくなることへの警戒感も。117円60銭のサポートライン割れなら2円程度の調整も。
※参考:金プラチナ相場とドル円 NY市場12/2終値とチャート
3日の国内金価格は0.06%の小幅続伸。乱高下一服で今年最高値圏を維持。円安サポート継続による堅調推移維持で上値目標4,960円近辺を目指す流れ。ただし、円安の流れも今週末辺りで達成感からの反落、期待はずれによる大幅調整の可能性への警戒感も。サポートラインは4,700円台。
プラチナ価格も0.28%の小幅続伸。9月24日以来2カ月ぶりの高値水準を回復し、前日3カ月半ぶりに上抜けた90日移動平均線を上回る状態を維持し、5,000円から5,030円辺りを目指す流れ。
※参考:金プラチナ国内価格12/3とチャート
- 2014年12月3日(水)時点の相場
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国内金 : 4,895 円 12/3(水) ▲3(0.06%) 国内プラチナ : 4,970 円 12/3(水) ▲14(0.28%) NY金 : 1,199.4 ドル 12/2(火) ▼18.7(1.54%) NYプラチナ : 1,217.5 ドル 12/2(火) ▼24.1(1.94%) ドル円 : 119.21 円 12/2(火) ▲0.81(0.69%)
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