金プラチナ短期相場観

金プラチナ短期相場観

株高ドル高でも忍耐強くなってきた金相場

更新日:2014年12月19日(金)

忍耐強く(patient)利上げに向かうことが明示されたにも関わらず、400ドル超もの大幅上昇となったNYダウ。FOMC直後の日米欧主要株は全て2%超の大幅高となっています。少なくとも2015年3月のFOMCまでは利上げしないことが明確になったこと、利上げフェーズ開始後もかなりのスローペースが見込まれることなどが予想以上に好感された様子。
原油が一時反発後にNY時間には再び下落し、54ドル台へと安値更新となったにも関わらず、ロシア・ルーブルの急落局面が一服し、リスク回避ムードがやや緩和されたことも株式市場の大幅反発要因となったかもしれません。

ドル高基調も継続し、ドル円の調整局面終了の可能性も高まる状況となり、全体的にリスクオン傾向が強まるなか、NY金相場は意外にも底堅さを見せる状況となっています。リスクオンの度に売られ続けてきた金も1,200ドル割れの水準では、大底への警戒感も高まるのか、インドを始めアジアの実需への期待も高まるのか、11月始めにつけた1,100ドル台前半の底値トライへと向かいそうで向かわない、耐え続ける展開が続きます。

11月以降の騰落率推移を為替や株価と比較すると、プラチナの低迷が目立ち、日経平均は円安による押し上げで上方乖離傾向が強いものの、NYダウとドル円とNY金相場は比較的似通った推移となっています。9月から10月にかけての推移と比較すると、その違いはより鮮明に。

これまで逆相関関係が強かったドル円とNY金相場の関係は、現在90日の相関係数は-0.76983。-0.90台を平均的に記録していた以前からは大幅に低下、逆相関関係は弱まっています。30日の相関係数では0.66167。短期的には逆相関どころか正相関関係が強まっています。
これ以外でも、様々な組み合わせ全般で相関関係が強かった関係が弱まる傾向にあり、逆相関関係が強かった関係性が弱まる傾向にあります。

日米金利差とドル円の相関関係が既に大きく崩れているように、米国の金融政策が転換期を迎えつつある現在、日欧の金融政策やリスク回避局面などとも絡み合い、以前のような関係性が崩れ始めています。
ただ単に金相場が忍耐強くなっただけではないのかもしれません。

NY金・日足チャート 2014/11/18 - 12/1818日のNY金相場は0.03%の小幅続伸。1,190ドルをはさんでの攻防が3日連続。1,200ドル超えを何度も試しながらも維持できず、1,190ドル割れ局面では買い支えられ、サポートラインとしての1,190ドルラインの底堅さと重要度が増しつつある様子。短期上昇トレンド終了後の方向感は今のところニュートラル。1,190ドルを明確に割れた場合には下方バイアスが除々に高まり、下値目標1,150ドル台を目指す可能性。上方向には1,230ドル台がレジスタンス。

NYプラチナ・日足チャート 2014/11/18 - 12/18プラチナ相場は0.2%の小反落。11月上旬に何度もつけた終値ベースでの今年最安値圏1,190ドル台での推移が3日連続。この水準が重要なサポートラインとなって持ち堪える状態。下方ブレイクした1,210-20ドル付近がレジスタンス化の兆しもあり、流れは下方向。ゆっくりと下値を試し、目標水準1,160ドル付近を目指す可能性を維持。

ドル円・日足チャート 2014/11/19 - 12/18ドル円は0.16%の小幅続伸。好結果となった新規失業保険申請件数で米労働市場の好調を確認すると119円を突破。短期下落トレンド終了の判断はまだできないものの、118円80銭のレジスタンスラインをわずかながらも上抜けたことで、流れが変わる可能性が高まる状況。当面の上値トライ目標水準は121円台半ば。サポートラインは116円台半ば。
※参考:金プラチナ相場とドル円 NY市場12/18終値とチャート

19日の国内金価格は0.7%の続伸。NY金の底堅さと根強い円安バイアスによってサポートされる状態。4,820円台から5,010円までの大幅レンジ内での乱高下中という不安定な状況でもあり、4,900円はレジスタンスにもなりやすい水準。短期的には軟調推移かレンジ状態への移行が有力か。金とプラチナの価格逆転は2013年4月15日以来、1年8カ月ぶりのこと。
週間ベースでは-103円(-2.06%)の反落。

プラチナ価格は0.08%の小幅続伸。短期下落トレンド入り後の戻り局面の可能性が高く、モメンタムは下方向。4,840円台がサポートラインとしての重要度を高め、ここで支えられる状態が続くようなら、徐々に流れが変化する可能性も。もし、あっさりと下抜けるようなら、大幅下落へとつながる可能性。その場合のメドは4,700円割れも。
週間ベースでは-157円(-3.11%)の続落。
※参考:金プラチナ国内価格12/19とチャート

2014年12月19日(金)時点の相場
国内金4,904 円 12/19(金) ▲34(0.70%)
国内プラチナ4,897 円 12/19(金) ▲4(0.08%)
NY金1,194.8 ドル 12/18(木) ▲0.3(0.03%)
NYプラチナ1,197.1 ドル 12/18(木) ▼2.4(0.20%)
ドル円118.83 円 12/18(木) ▲0.19(0.16%)

12/18(木)のその他主要マーケット指標

年末は安く年初は上昇、金とプラチナ年末年始のアノマリー 12/20(土)

株高ドル高でも忍耐強くなってきた金相場 12/19(金)

低金利を相当な期間維持しても忍耐強く(patient)待てるFRB 12/18(木)

原油相場もロシア・ルーブルも注目するFOMC 12/17(水)

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