金プラチナ短期相場観

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ECBの後出しQEは事前リーク報道を含むマーケット戦略でユーロ安へ

更新日:2015年1月23日(金)

米国に遅れること6年余り、日本に遅れること約2年、欧州中央銀行(ECB)も遂に量的金融緩和政策に踏み切りました。ドイツの反対を押し切り、それ相応の規模でサプライズ感も伴う内容で、口先ドラギの汚名を返上するような面目躍如の決断となったようです。
事前リーク報道では月間500億ユーロと言われた規模を、600億ユーロと表現した差額100億ユーロは既存のABS(資産担保証券)とカバードボンドの購入分であり、規模的な不足を指摘する向きもあるものの、2016年9月とした期限は実質オープンエンドで総額1兆ユーロを超える可能性も高く、株価の大幅上昇、ユーロの急落などを見る限り、後出しQE第1弾への市場の評価は上々と言えそうです。

なお、投資適格級のソブリン債を各国中銀が購入するということで、ギリシャなどは当面対象外。ユーロ圏19カ国のうち、大手格付け3社がいずれも投資適格級としているのはドイツ・ルクセンブルクの最上級から、スペイン・イタリアなどの最低ランクまでの15カ国。ギリシャ、キプロス、ポルトガル、スロベニアの4カ国が対象外候補ということなります。
ただし、ギリシャについてはSMP(Securities Markets Program:旧国債購入プログラム(OMTの旧版))償還後となる7月からは購入可能とされているようです。

また、ドラギ総裁は、国債買い入れは金融政策の手段であるということで全会一致、買い入れを今するべきとの必要性については大多数が賛成した、などと発言し、ドイツの猛反対、オランダ、オーストリア、エストニアなどの慎重姿勢を押し切る形で決断したようで、今後に遺恨を残す形となった可能性も。

さらに周辺国では、19日に政策金利を-0.05%から-0.20%へと引き下げていたデンマークが今週2度めの利下げで-0.35%へと追加引き下げに踏み切りました。
欧州界隈の金融緩和合戦が加速し、日本なども含め、米ドルを除く通貨安競争も激化の様相を呈しています。

米国の金融引締め方向への流れが金相場へのマイナス材料となるなか、日欧を中心とした金融緩和の流れがどこまで金相場をサポートするのか、この1月は波乱の1年の幕開けとなっているようです。

NY金・日足チャート 2014/12/19 - 1/2222日のNY金相場は0.54%の反発で終値ベースでは8月15日以来5カ月ぶりとなる1,300ドルの大台に到達。過熱感の高まりによる軟調推移でECBの金融政策発表直前には一時1,280ドル割れまで下落、詳細が明らかになった量的緩和を好感すると20ドル以上の反発で1,307ドルまで上昇。中長期的には2013年8月高値水準、1,400ドル近辺を目指す可能性も考えられるものの、短期的には20-30ドル程度の急落がいつ発生してもおかしくない状況。ギリシャ総選挙、米FOMC通過後の月末に要注意か。

NYプラチナ・日足チャート 2014/12/19 - 1/22プラチナ相場も0.66%の反発。一時的には上値抵抗線となる1,290ドルにタッチして上値を押さえられ、終値ベースでは2日前につけた今年高値をわずかに超えられず、高値圏での小幅揉み合い状態に。1,290ドルを超えると1,320ドル程度まで上値を伸ばす可能性、1,270ドル半ばを割れると1,250ドルまでの反落余地。

ドル円・日足チャート 2014/12/23 - 1/22ドル円は0.45%の反発。ECBの量的緩和にやや乱高下の反応後、ユーロ売りドル買い急進と株価急騰のリスクオン傾向の流れにサポートされるようにドル買い円売り優勢の流れに。年末から続いた調整局面も終盤にさしかかった可能性もあるが、三角保ち合いのレンジをさらに狭め、上下どちらかへ大きく動き出す可能性。119円超えなら120円半ばを目指し、逆に再び118円をしっかり割り込むと116円割れへと向かう可能性も。
※参考:金プラチナ相場とドル円 NY市場1/22終値とチャート

23日の国内金価格は1.26%の大幅反発。再びNY金とドル円の同時上昇パターンとなり、高値圏での揉み合い形成の可能性を無視するようにあっさりと高値を大幅更新。高値更新の場合の上値メドは5,300円台そこそこと見ていた為、既にほぼ到達。短期的には反落かレンジ形成の可能性が高まり、5,230円の節目を下抜けると5,170円近辺までの下値余地も。確率的にはかなり低めながら、パターン的には5,500円辺りを目指す可能性もあり得なくはない?
週間ベースでは+259円(+5.14%)の大幅高で4週続伸。

プラチナも0.85%の反発。短期上値目標5,200円台にかなり接近、もうひと伸びも。金の買われ過ぎがまだしばらく続くようなら5,230円辺りまで上値を伸ばす可能性も。サポートライン5,140円割れなら調整の目安は5,090円付近まで。
週間ベースでは+186円(+3.71%)の大幅反発。
※参考:金プラチナ国内価格1/23とチャート

2015年1月23日(金)時点の相場
国内金5,298 円 1/23(金) ▲66(1.26%)
国内プラチナ5,193 円 1/23(金) ▲44(0.85%)
NY金1,300.7 ドル 1/22(木) ▲7.0(0.54%)
NYプラチナ1,284.8 ドル 1/22(木) ▲8.4(0.66%)
ドル円118.49 円 1/22(木) ▲0.53(0.45%)

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