金プラチナ短期相場観

金プラチナ短期相場観

くすぶり続ける欧州発低リスクとあり得ない米国発テールリスク

更新日:2015年3月27日(金)

イエメンへの軍事介入で久々に高まった地政学的リスクによって、マーケットもやや揺さぶられた26日。今のところは事態もそれほど悪化せず、影響も限定的なものにとどまっている状態ですが、やはり中東情勢不安は常にくすぶり続けているようです。

同じように、影響は限定的と思われるものの、くすぶり続けるリスクが欧州にもあります。
やや色あせた感もあるギリシャ情勢に伴うリスクは数年来に及び、たびたび市場を混乱させてきましたが、2-3年前の状況と比べれば、その影響も縮小してはいます。たとえギリシャがデフォルトに陥ったとしても、その債権は民間から公共機関に移行されているため、民間の金融機関の連鎖破綻などのリスクは極めて限定的。ギリシャがユーロ圏を離脱するならすれば良い、という論調までも聞かれる状況に。

ギリシャの反緊縮政権とユーロ圏との間には確実に溝があり、ギリシャ国民との公約も守られているとも思われず、預金流出も続いているようです。2月には銀行預金残高は5%減少し、2005年3月以降で最低水準となっている模様。緊急流動性支援(ELA)でなんとかつなぎながらも、ユーロ圏からの追加融資の条件となっている改革リストの詳細提出期限は30日に迫っており、これまでのように再提出?が繰り返されるようなら、4月20日には資金が枯渇するとも言われ、緊急事態にもなりかねません。
ユーロ圏ではない英国でもギリシャの動向を懸念し、ユーロ圏離脱の可能性は高まっていると見て、もしもの場合に備えているとも言われます。

また、ほぼあり得ないとは思われるものの、万が一そうなった場合の影響が計り知れないテールリスクとしては、米国の利下げ。
モルガン・スタンレーによれば、マイナス金利導入国も複数存在する現状、ドル高による経済への悪影響などにより、利上げの前に利下げを行う可能性も「あり得なくはない」とのこと。
最短で6月利上げの可能性も残る状況で、万が一のことが起きた場合の影響は計り知れません。

NY金・日足チャート 2015/2/25 - 3/2626日のNY金相場は0.65%高で7連騰。1,200ドルの大台回復で3月2日以来の水準を回復。イエメン情勢悪化に伴うサウジアラビアなどの軍事介入により地政学リスクが高まると一時ドル売り株売りの流れが急速に進行し、金は一時1,220ドル手前まで急騰。その後は今年最高値から最安値までの下落幅に対する38.2%戻しライン1,205.1ドル付近に収束。上値抵抗水準となる1,210ドル台半ばを瞬間的に超えて反落した形となり、いったん調整も入りやすい状況に。再度上値トライでレジスタンス超えなら、上昇基調継続で1,250ドル付近を目指す可能性も。

NYプラチナ・日足チャート 2015/2/25 - 3/26プラチナ相場も0.65%の続伸で3月6日以来、20日ぶりの水準に到達。急騰局面でつけた高値1,163.9ドルは今年最高値から最安値までの下落幅に対する38.2%ライン(1,164.5ドル)に相当し、この水準が抵抗線となって反落。やはり調整局面となり易い水準ながら、ほぼ2カ月ぶりに21日移動平均線を上抜けて地合いは改善。

ドル円・日足チャート 2015/2/25 - 3/26ドル円は0.25%の続落。欧州時間の中東情勢緊迫化を受けた急落局面では、2月20日以来1カ月ぶりとなる118円30銭台まで円高ドル安が進行。下げ渋っていた感もあったなか、ようやく目標水準118円台後半をクリアし、下押し圧力をある程度吐き出した形。よほどの突発的な事象がない限り、さらに下値を試すような展開にはなり難いのではないか。119円台近辺での揉み合い状態へ。
※参考:金プラチナ相場とドル円 NY市場3/26終値とチャート

27日の国内金価格は0.51%の上昇で7連騰。リスク回避の流れで円高も限定的となったことで堅調地合いが継続し、3月6日以来3週間ぶりの水準に。右肩上がりの90日移動平均線は4,957円まで上昇し、当面の上値目標4,950円台までもう一段の上昇への抵抗線はなし。
週間ベースでは+68円(+1.4%)の続伸。

プラチナは0.57%の続伸。短期上昇トレンド中の調整局面を終えて反発に転じ、24日の価格をわずかに上抜け。このまま反発基調が続けば4,800円付近を目指す流れが強まる可能性が浮上。さらに加速すると4,850円辺りまで上値を伸ばす可能性も。ただし、単なる行き過ぎの可能性も残り、4,690円台が重要なサポートライン。下抜けの場合には4,600円台前半へと反落の可能性も。
週間ベースでは+60円(+1.28%)の反発。
※参考:金プラチナ国内価格3/27とチャート

2015年3月27日(金)時点の相場
国内金4,937 円 3/27(金) ▲25(0.51%)
国内プラチナ4,735 円 3/27(金) ▲27(0.57%)
NY金1,204.8 ドル 3/26(木) ▲7.8(0.65%)
NYプラチナ1,154.0 ドル 3/26(木) ▲7.5(0.65%)
ドル円119.18 円 3/26(木) ▼0.30(0.25%)

3/26(木)のその他主要マーケット指標

NY金相場7日続伸の歴史とその後に待ち受ける展開 3/28(土)

くすぶり続ける欧州発低リスクとあり得ない米国発テールリスク 3/27(金)

経済指標悪化に勢いを増すハト派、それでも根強い年内利上げ論 3/26(木)

明暗分かれる製造業PMI(景況感) 3/25(水)

金融政策正常化に向けて、より緩和的な利上げフェーズへ 3/24(火)


短期相場観~よく読まれた記事一覧

明日の国内金プラチナ相場価格リアルタイム予想

PIVOT指数から見るNY金相場サポート&レジスタンスライン

PIVOT指数から見るNYプラチナ相場サポート&レジスタンスライン


RSS金プラ短期相場観 RSSリーダーで金プラチナ短期相場観を購読


ページの先頭へ