金プラチナ短期相場観
経済指標悪化に勢いを増すハト派、それでも根強い年内利上げ論
更新日:2015年3月26日(木)
雇用以外の経済指標低迷が続く米国の指標は、昨日も2月の耐久財受注が前月比-1.4%と予想の+0.4%を大きく下回りました。これを受けてアトランタ連銀では、第1四半期のGDP伸び率予想を0.3%から0.2%に引き下げています。
また、今年ハト派の代表格となっているシカゴ連銀のエバンズ総裁は、来年上期まで利上げを先送りすべきと発言しています。
強いドルによるディスインフレ圧力によって、インフレ目標2%達成を一段と困難にしている可能性があると懸念し、低インフレが続く現状では、利上げを急ぎ過ぎることによる損失は利上げが遅れた場合と比べてはるかに大きい、とも主張。
さらには、(デフレ脱却を目指す)日銀と同様の課題に直面するよりは、物価上昇率が2%を超える方がマシ、とも。
米経済指標が悪化する度に勢いを増すハト派発言に対し、中立派とされるアトランタ連銀のロックハート総裁は、インフレ上昇が必要としながらも、6月から9月にFRBが利上げする可能性は100%ではないが、9月までに利上げする可能性は高い、と発言。
立場上、中立派のフィッシャー副議長も先日、ドル高や原油安が金融政策決定に影響を及ぼすとしつつも、FRBはこうした現象をさほど重要視しないようにしている、と発言していました。
ゴールドマンサックスによれば、ドル高と原油安の影響でインフレ率はまだ下落余地があるとしながらも、消費者物価指数(CPI)は今年半ばには底を打ち、下半期にはゆるやかに加速するとの見通しを示し、FRBのインフレ目標となっている個人消費支出(PCE)価格指数(目標2%)についても、第2・3四半期に1.2%となり、第4四半期にやや加速する公算大、としています。
このPCE見通しは、先日のFOMCでのPCE見通しの2015年末予想中央値である1.3-1.4%とほぼ一致します。
FRB内でも、年後半に向けてインフレ率は上昇傾向へと持ち直す可能性が高いとする見方が優勢となっているようです。
その兆しが今後、見られ始めるかどうか、そうなった時にハト派の勢いが減速するのかどうかも注目です。
25日のNY金相場は0.47%の上昇で6連騰。3月4日以来3週間ぶりの水準を回復。6連騰となるのは今年1月9日から20日までの7連騰以来。この連騰開始前、1月8日終値は1,208.5ドル。1月には1,200ドル近辺から7連騰で上値をトライし、3月には下値トライを終えて6連騰で再び1,200ドル近辺に戻って来た。90日移動平均も現在1,210.7ドルにあり、1,200ドル近辺は最近の金相場にとっては居心地の良い水準ということか。なお、現時点での今年の年間平均は1,219ドル、200日移動平均は1,239.3ドル。長期的にはもう少し水準を切り上げる余地もありそう。
プラチナ相場も0.44%の上昇。攻防が続く21日移動平均1,144.7ドルをわずかに上抜けた状態。90日移動平均は1,202ドル、今年の年間平均は1,196ドルで当面の上値抵抗水準付近。200日移動平均線は遥か先の1,303ドルで今年最高値よりも上。長期的には、まだまだ売られ過ぎの水準。
ドル円は0.2%のドル安円高。米2月の耐久財受注が予想外に減少したことを受けての急落局面でも119円20銭台で下げ止まり、この水準が連日のサポート水準に。軟調推移途中で119円台での小幅レンジを形成中。118円台後半までの下値余地は継続。
※参考:金プラチナ相場とドル円 NY市場3/25終値とチャート
26日の国内金価格はわずか1円(0.02%)の上昇で6日続伸。NY金の緩やかな堅調推移とやや円高傾向との均衡状態が継続し、流れは上向きながらも膠着状態に。株価のボラティティ拡大が為替や金に影響し、月末月初の重要指標などをきっかけに大きく動き出す可能性も。
プラチナは0.23%の小幅反発。短期上昇トレンド中の調整局面は継続中。4,730円台の抵抗線を超えられない状況が続くようなら、この近辺でのレンジ形成へと流れが変わる可能性。
※参考:金プラチナ国内価格3/26とチャート
- 2015年3月26日(木)時点の相場
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国内金 : 4,912 円 3/26(木) ▲1(0.02%) 国内プラチナ : 4,708 円 3/26(木) ▲11(0.23%) NY金 : 1,197.0 ドル 3/25(水) ▲5.6(0.47%) NYプラチナ : 1,146.5 ドル 3/25(水) ▲5.0(0.44%) ドル円 : 119.48 円 3/25(水) ▼0.26(0.21%)
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