更新日：2015年4月3日(金)
世界各国の製造業PMIの3月分では、好調を維持する欧米とインド、低迷状態が続く新興国勢という両極端の構図が鮮明となっています。
好調組のなかでも前月から最も上昇したユーロ圏は、ECBの量的緩和とユーロ安効果が早速表れ始め、なかでもドイツが2月の51.1から52.8へと大きく上昇し、ユーロ圏を牽引する以前の状態に戻り始めています。
その他ユーロ圏では、フランスは前月の47.6から48.8へと上昇も11カ月連続の50割れ水準と低迷状態が継続。ギリシャも同様に48.4から48.9へとやや改善したものの7カ月連続の50割れ。イタリアは51.9から53.3へ、スペインは54.2から54.3へ、オランダも52.2から52.5へと上昇。
米国もISMの指数が予想外の低迷となり、5カ月連続下落で51.5まで低下したのに対し、マークイット発表の製造業PMIでは2月の55.1から55.7へと上昇、昨年10月以来5カ月ぶりの高水準。同じマークイットの数値では英国の54.4を上回ります。
これに対してロシアは一時のルーブル安による混乱期を抜け出し、1月の47.6から2月には49.7へと反発した後、3月には再び48.1へと反落。原油安や経済制裁による影響は続き、世界銀行はロシアのGDP成長率見通しを2015年-3.8％、2016年も-0.3％としています。
大幅下落となったブラジルは、国営石油会社ペトロブラスの汚職疑惑にルセフ政権への政治不信、景気低迷と高インフレが続き、通貨ブラジル・レアルはコンスタントに売られ、対ドルでは年初から16％安となっています。新興国のなかでも最も通貨安が進行し、今年大幅安となっているユーロの対ドル下落率10％をはるかに超えています。
トルコも前月の49.6から48.9へと下落し、3カ月連続での50割れ水準。インドを除く新興国勢は、今後米国の利上げが近づくことにより、景況感がさらに悪化することも考えられそうです。
なお、マークイットが発表した日本の製造業PMI3月分は50.3。10カ月連続50以上を維持するなかでは最低水準に低下。
欧米ほど景況感は良くはなく、新興国ほど悪化もしていない、好不況の分かれ目近辺まで低下している状況です。
2日のNY金相場は0.6％の反落。新規失業保険申請件数の大幅減少を受けて売りが強まると、2月の製造業新規受注も改善したことで1,200ドル割れ、一時1,194ドルまで売られた後は再び1,200ドルまで反発。底堅さの反面、イースター休暇と雇用統計を控えて1,200ドルからの戻り売りポジションの手仕舞いも。雇用統計下振れなら、1,250ドル近辺を目指す流れが加速する可能性、下値は1,180ドルが重要なサポートラインに。
プラチナ相場は-11.4ドル、0.98％の大幅反落で前日の大幅上昇の半値戻し。基本的な流れは上向きを維持し、目先は1,180ドル近辺の目標水準を目指す展開。雇用統計の結果次第で上下に大きくブレる可能性。サポートラインは1,110ドル台。
ドル円はわずかに0.04％続落もほぼ前日と同水準。119円台半ばでの揉み合い推移から、新規失業保険申請件数の大幅改善を受けて水準を切り上げるも120円が壁に。120円20銭のレジスタンスラインを超えると121円台前半まで上値を伸ばす可能性。119円10銭台のサポートライン割れの場合には、さらに1円程度のドル売り円買い進行も。
※参考：金プラチナ相場とドル円 NY市場4/2終値とチャート
3日の国内金価格はわずか2円の小反落。4,950円台の上値目標水準到達による一服感と雇用統計への警戒感から動き難い状態。ポジティブ・サプライズの場合、NY金の流れが大きく巻き戻される可能性があり、円安サポートを差し引いても、それなりの下落幅も想定される。そうでなければ短期上昇トレンド継続で5,010円台近辺を目指す展開へ。
週間ベースでは+19円（+0.38％）。小幅ながらも3週続伸。
プラチナは16円の反落。2日間合計138円の大幅上昇直後の調整としては控えめ。サプライズがなければ、次週4,820円台辺りまでの上昇も見込まれる流れが継続。
週間ベースでは+23円（+0.49％）の小幅続伸。
※参考：金プラチナ国内価格4/3とチャート
2015年4月3日(金)時点の相場
国内金：4,956 円 4/3(金) ▼2(0.04％)
国内プラチナ：4,758 円 4/3(金) ▼16(0.34％)
NY金：1,200.9 ﾄﾞﾙ 4/2(木) ▼7.2(0.60％)
NYプラチナ：1,153.8 ﾄﾞﾙ 4/2(木) ▼11.4(0.98％)
ドル円：119.70 円 4/2(木) ▼0.05(0.04％)