金プラチナ短期相場観
NFPとADPとの年間平均の差拡大が示す雇用統計下振れの可能性
更新日:2015年4月2日(木)
米ADP社が発表する雇用レポートの3月分では、非農業部門雇用者数の前月比増減数が予想外の下振れとなりました。やや低調な米国経済指標が続くなかでは、雇用関連の指標だけが唯一好調を維持していた印象もあり、米国の景気回復基調を牽引する雇用情勢にも減速感が見られ始めるようなら、今後のFRBの金融政策へも影響を与えかねません。
今後、米労働市場が減速傾向となるかどうかは別として、今回発表される3月分の雇用統計の結果があまり良くはならない可能性が高まったと言えそうです。
雇用統計の非農業部門雇用者数(NFP)とADP発表値の年間平均の推移を比較して見ると、2015年の平均値はNFPが+26.7万人。これに対してADPは3月分を含めて+20.8万人。
基本的には労働省が発表するNFPには政府関係部門の労働者数が含まれ、ADPには含まれない為、ADPのほうが若干少なめになるのが妥当。とはいえ、その差は過去最大水準に拡大しています。
また、NFPとADPの24か月間の相関係数は前回時点まで3カ月連続で0.70台を維持し、相関関係の強さを示します。最近やや相関関係が弱まりつつあるドル円と日経平均との90日間相関係数0.60244を大きく凌ぎます。
今年に入ってNFPとADPの6カ月移動平均の乖離幅が拡大傾向にあることも、その差が今後縮小傾向となり易いことを示します。
さらに、季節的な要因もあり、2014年も1月から3月までのNFP平均値は+19.3万人。これが今年は2月までで+26.7万人。寒波の影響は昨年並かそれ以上とも言われ、今年は西海岸の港湾ストの影響も残ります。
今後、NFPが持続的に鈍化傾向となるとは今のところ考えられませんが、3月分に限っては、一時的に下振れする可能性は十分に想定可能、さらに1-2月分も下方修正されてもおかしくはない状況です。
1日のNY金相場は4日ぶりの反発で2.11%の大幅高。ADP雇用リポート、ISM製造業景況指数と立て続けに低調な結果を受けて1,200ドルの大台を回復。ここまでは1,200ドルの戻り売りポイントからの急落・急反発のパターンどおりの展開。ここからしばらく上昇トレンドが続くかどうかは雇用統計の結果にも大きく左右されることに。なお、わずかながらも抵抗水準を上抜けたことにより上昇余地は拡大、当面のターゲットとして1,250ドル台が点灯。
プラチナ相場も1.98%の大幅続伸。3月5日以来、ほぼ1カ月ぶりとなる高値水準を回復。1,150ドル台のレンジ上限ブレイクによる上値目標水準はとりあえず1,180ドル近辺。雇用統計後の反落にも警戒しつつ、今後の動向次第ではさらに上値を伸ばす流れへとつながる可能性も。
ドル円は0.31%の反落。東京時間には予想を下回った3月の日銀短観をきっかけに日経平均の下落とともに119円40銭台まで下落後、山本元経済産業副大臣の「最近の景気情勢や物価状況を見れば追加緩和が必要」発言を受けて急速に買い戻し。NY時間にはADP・ISMなどの指標悪化に伴い急反落。それでも119円台半ばでは踏みとどまる底堅さも。主要レンジは119円10銭台から120円20銭までの下方スライド。確率は低下したものの雇用統計上振れで上限ブレイクなら121円台前半まで上値余地拡大の可能性も。
※参考:金プラチナ相場とドル円 NY市場4/1終値とチャート
2日の国内金価格は4日ぶりの反発で1.29%の大幅高。上値目標水準となっていた4,950円台にも10日間かけてようやく到達。時間を要したことで逆に状況は好転、NY金の上昇サイン点灯に伴い、国内価格にもさらなる上昇余地。目標水準は3月高値でもある5,010円台近辺。イベント通過に伴う反落リスクも抱え、4,890円が重要なサポートラインに。
プラチナは1.51%の大幅続伸。4,740円のレンジ上限を大きく上抜けたことにより、上方向への流れが加速する可能性。4,820円台辺りが当面の目標水準に。
※参考:金プラチナ国内価格4/2とチャート
- 2015年4月2日(木)時点の相場
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国内金 : 4,958 円 4/2(木) ▲63(1.29%) 国内プラチナ : 4,774 円 4/2(木) ▲71(1.51%) NY金 : 1,208.1 ドル 4/1(水) ▲25.0(2.11%) NYプラチナ : 1,165.2 ドル 4/1(水) ▲22.6(1.98%) ドル円 : 119.76 円 4/1(水) ▼0.37(0.31%)
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