金プラチナ短期相場観
ディーゼルから電気へ、逆風に立ち向かうVWとプラチナ
更新日:2015年10月14日(水)
ドイツの自動車大手フォルクスワーゲン(VW)のディーゼル車排ガス不正問題の余波は続き、昨日発表された10月のドイツZEW景況感指数は1年ぶりの低水準へと急降下し、好不況の境目となる0ポイント割れ目前となる1.9まで低下しました。
ドイツ政府は、2015年のGDP伸び率を1.8%から1.7%に引き下げる見通しであることを発表しています。
渦中のVW社は、排ガス不正問題に伴う関連費用のため、VWブランドへの投資を年間10億ユーロ(約1,360億円)削減し、コストカットを加速させることを表明しています。
VWのコストカットは社内にとどまらず、地元ヴォルフスブルクのプロ・サッカークラブにも大きなしわ寄せが来ている模様です。
2014年のワールドカップで優勝したドイツの国内リーグ、ブンデス・リーガでも名門クラブの一つとなっているヴォルフスブルグには、2013年まで日本代表の長谷部選手も在籍し、2008-09シーズンには優勝、昨シーズンも2位となった強豪クラブ。
親会社VWの潤沢な資金をバックに世界各国代表クラスの選手を集めているこのクラブでは、新たな若手育成機関発足プランが中止に追い込まれたとのことです。その必要コスト4000万ユーロ(約54億4000万円)削減の為と思われます。
さらには、今年夏に有力選手売却で得た移籍金を親会社に返却しなければならない状況とも言われています。
逆風のなか、VW社は経営戦略見直しでディーゼル車重視から電気自動車重視へと移行を図ることを表明しています。
地域を巻き込み、国内経済を巻き込み、ユーロ圏をも巻き込ながらも逆風に立ち向かうVW社の復活がドイツ経済復調への鍵をに握ることになりそうです。
VW社の方針転換により、今後のディーゼル車の需要動向が、プラチナ需要にも大きく影響することになります。
短期的には復活の兆しを見せているプラチナ相場にとっても、この先、さらに大きな逆風が吹き荒れる可能性にも警戒しておかなければなりません。
13日のNY金相場はわずかに0.08%の小幅高となって3日続伸。終値では7月6日以来3カ月ぶり高値水準となった前日からは利益確定売り優勢の流れで欧州時間にかけては1151ドルまで下落。しかしその後はドル安株安の流れが進行したNY序盤にかけて1160ドル台半ばへと反発し、この水準を維持。1170ドル手前で足踏み状態ながらも堅調推移の状態を維持し、目先1180ドル台の目標水準までの上昇余地も維持。
NYプラチナは0.33%の小幅安となり、8日ぶりの反落。一方的な急反発状態一服も下げ幅も限定的。前日に一瞬タッチした1000ドルの大台ラインへの抵抗感がやや増す状況。勢いに乗っての大台ライン超えと90日移動平均線超えに失敗した形でもあり、いったんそれなりの調整、揉み合い形成で再トライのチャンスをうかがう展開へ。
ドル円は0.25%の小幅続落。9月の中国貿易収支で輸入が大幅減となったことをきっかけに株安が進行、これに連れてドル売り円買い優勢、安値では一時119円50銭台まで下落。それでもサポートライン119円70銭台まで戻してくる底堅さも健在。しかし、終値では2週間ぶりの円高ドル安水準となり、上値も切り下がりつつあり、流れはやや円高方向に傾斜しつつある様子も。このまま119円台半ばから前半へと水準を切り下げるようだと下方ブレイク濃厚。この場合の下値のメドは117円台前半も。
※参考:金プラチナ相場とドル円 NY市場10/13終値とチャート
14日の国内金価格は0.1%の小幅続伸。6月30日以来、3カ月半ぶりに90日移動平均をわずかに上抜け、中期トレンド好転へと望みをつないだところに円高傾向が強まりつつある為替が足を引張る状況に。円高基調が加速しなければ、NY金相場の上値目標到達で国内価格も4850円の目標到達へ。
プラチナ価格は7営業日ぶりの反落で0.56%安、は妥当な調整局面。むしろやや控えめ。短期的には上昇トレンド継続も中長期的な流れはまだまだ下向きで90日移動平均へも距離を残す状態。1カ月前の安値揉み合い水準に到達していることで、しっかりと足場を固めてからの上値トライがベター。4100円到達ならもう一段高へ。
※参考:金プラチナ国内価格10/14とチャート
- 2015年10月14日(水)時点の相場
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国内金 : 4,801 円 10/14(水) ▲5(0.10%) 国内プラチナ : 4,071 円 10/14(水) ▼23(0.56%) NY金 : 1,165.4 ドル 10/13(火) ▲0.9(0.08%) NYプラチナ : 992.6 ドル 10/13(火) ▼3.3(0.33%) ドル円 : 119.74 円 10/13(火) ▼0.30(0.25%)
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