金プラチナ短期相場観
フィラデルフィア連銀製造業景況指数も低迷、米景気減速懸念継続
更新日:2016年2月19日(金)
フィラデルフィア連銀が発表した2月の製造業景況指数は市場予想の-3.0程度を小幅に上回る-2.8となりました。1月の-3.5からは上昇し、12月の-10.2を底値とした反発基調がスタートしているようにも見えます。しかし、昨年9月から6カ月連続のマイナス圏となり、6カ月移動平均で見ると2014年12月をピークに1年2カ月連続の低下、4カ月連続のマイナス圏で2012年11月以来、3年3カ月ぶりの低水準となっています。
構成指数の内訳でも、新規受注が1月の-1.4から-5.3へと大幅低下、出荷も9.6から2.5へと下落、仕入れ価格は-1.1から-2.2、販売価格も-2.8から-4.5、雇用も-1.9から-5.0へとマイナス幅を拡大。好調時には30から50台の数値となっていた期待指数は17.3と2012年11月(16.3)以来、3年3カ月ぶりの低水準へと低下。
かつて米国の首都だったこともあるフィラデルフィアを中心とするペンシルバニア州、ニュージャージー州、デラウェア州にまたがる米連邦準備制度第3管轄地区の製造業は、まだまだ低迷状態が続き、今後の見通しも暗い状態です。
ISM製造業景況指数との連動性が高いとも言われるこの指数の低迷が続く限りは、全米の見通しもなかなか上向かない状況です。
同時に発表された週間新規失業保険申請件数が1月の低迷状態を脱した形となり、雇用の回復基調が2月に再び加速の気配を見せる状況とは裏腹に、先日のNY連銀の指数と同様、2月の各地区連銀の製造業の回復は、遅々として進まない状況のようです。
米国の景気減速懸念払拭に向けては、まずはこれら各地区連銀レベルの製造業景況指数が劇的に改善するのを待つ必要があるのかもしれません。
18日のNY金相場は1.23%の大幅続伸。時間外の軟調推移では1200ドルの大台ラインでサポートされて下げ渋る展開、反発へのトリガはこの日も原油。米週間石油在庫統計での在庫増傾向に供給過剰懸念の売りで堅調に推移していた原油相場が1ドルの急落。株安ドル安の流れを促すと金買いの流れが加速。引け後にかけては一時1240ドル台まで上昇。1200ドル台から1250ドルまでの高値揉み合いレンジを形成し、しばらくは保ち合い状態継続か。レンジ上抜けなら1260ドル台後半へ、下抜けの場合には今年高値までの上昇幅に対する38.2%戻し1180.4ドル付近を目指す反落基調へ。
NYプラチナ相場は0.43%の小幅反落。金の上昇局面に追随する流れも勢いに欠ける状態で930ドル台から960ドル台のレンジ内での小動きに終始。反落か上値トライ再開か、微妙な状態での保ち合い状態継続へ。反落の場合には今年の上げ幅の38.2%戻しライン910ドルが下値目安に、上値トライ再開の場合には980ドル程度までの上昇余地。さらに200日移動平均線超えに伴う地合い好転で加速度が増すようなら、1000ドルの大台トライへと向かう流れへと向かう可能性も。
ドル円は0.74%の反落。ボラティリティは低下傾向も安全資産の円買い優勢の展開がじわじわと進行する展開へ。新規失業保険申請件数やフィラデルフィア連銀製造業景況指数の上振れによるドル買いも限定的となり、113円台前半へ。結局、2月前半の急落局面に対する38.2%戻しライン115円00銭台には届かずに戻り売り優勢の反落基調で23.6%ライン113円40銭台割れ。今朝時点では113円割れをうかがう展開となり、11日終値112円40銭台への警戒感も高まる状況へ。この水準を割り込んだ場合には少なくとも111円台半ばまでの円高余地。さらに地合いが悪化するようなら、最大ではN計算値と2014年10月安値付近、106円近辺を目指すような流れとなる可能性も。
※参考:金プラチナ相場とドル円 NY市場2/18終値とチャート
19日の国内金価格は1.08%の続伸。4710円台から今年高値4815円までの高値もみ合いレンジを形成。高値更新トライへと向かう流れとなり、高値更新なら4860円付近が次の上値目標水準に。しかし、今朝時点では円高リスクが急速に高まり、再び反落傾向へと引き戻される展開も想定される状況に。現在1230ドル近辺で推移中のNY金相場動向次第でレンジ内で持ち堪えるか、あるいは4710円台の節目割れで4630円付近を目指す反落基調となるか。
週間ベースではわずかに+7円(0.15%)で上昇基調を維持し、1年ぶりとなる5週続伸。
国内プラチナ価格は0.81%の反落。上値トライ再チャレンジ失敗、今度は逆に高値圏での三角保ち合い下放れへの警戒感が急速に高まる状況へ。このままの流れで3660円台を下抜けた場合には反落局面入りで目標水準は3600円前後。現時点ではやや確率は低そうだが、3710円台以上へと三角保ち合い上放れへと切り返すようなら、3780円辺りまでの一段高という展開も可能か。
週間ベースでは-29円(0.78%)となり、4週間ぶりの反落。
※参考:金プラチナ国内価格2/19とチャート
- 2016年2月19日(金)時点の相場
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国内金 : 4,794 円 2/19(金) ▲51(1.08%) 国内プラチナ : 3,678 円 2/19(金) ▼30(0.81%) NY金 : 1,226.3 ドル 2/18(木) ▲14.9(1.23%) NYプラチナ : 945.6 ドル 2/18(木) ▼4.1(0.43%) ドル円 : 113.23 円 2/18(木) ▼0.84(0.74%)
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