金プラチナ短期相場観
米ISM製造業景況指数は底入れの兆しも世界的低迷続く製造業PMI
更新日:2016年3月2日(水)
注目された米2月のISM製造業景況指数が予想よりも悪くはなかったことがきっかけとなり、市場はリスク選好の流れへと傾斜し始めたようです。1月には6年7カ月ぶりの低水準となっていた雇用指数も45.9から48.5へと急回復し、3カ月連続の節目50割れ状態ながらも底入れの兆しとの見方も強まった様子。各地区連銀の指数が軒並み低調だったなかで、NY連銀とフィラデルフィア連銀がマイナス圏推移のなかでも回復傾向を示したのと同じような結果となったことになります。
ただし、世界的な動向を見ると、底入れの気配はまだまだ見られない状態です。
マークイットと日経発表の製造業PMIでは、日米欧に中国、トルコなど全て鈍化傾向を示します。日本は1月の52.3から50.1へと急落し、節目割れ寸前まで低下、昨年4月(49.9)以来10カ月ぶりの低水準となっています。
その他、世界各国の製造業PMIでもインドの横ばい推移を除いて全ての国が2月は下落。ユーロ圏ではフランスが50から50.2へとわずかに上昇した以外は、ドイツ、イタリア、スペイン、オランダなど主要国のほとんどか2月には低下しています。
JPモルガン発表の世界製造業PMIでも1月の50.9から50.0へと、これも節目割れ寸前の状況となりました。
どのチャートを見ても全般的に低下傾向が鮮明となっており、米ISMの反発基調が続くのかどうかを含め、3月以降の数値動向に注目せざるをえない状況となっています。
1日のNY金相場は0.29%の小幅反落。中国の製造業PMI下振れでは1250ドル手前まで急騰し、米ISM製造業景況指数の予想外の上振れには1230ドル割れへと急落。明暗分かれる米中の経済指標に上下に振られる慌ただしい1日。三角保ち合いレンジ内での上下動にとどまり、依然方向感は定まらない様子。NYダウやNASDAQが1月6日以来、ドイツDAXが2月1日以来の高値水準へと欧米株が回復基調を示し始めるなかでは底堅さが見られる状態。原油相場も30ドル台半ばへと安定推移が続くなか、米経済指標のそこそこの好結果が続くようなら金の反落リスクは次第に高まることに。1220ドル割れなら大幅下落、という展開への警戒感も高まる週後半。
NYプラチナ相場は0.26%の小幅続伸。しかし、ゆるやかな下落基調を描くレンジ内での推移が続き、940ドル台では上値が重い状況。水平状態となりつつあった90日移動平均線が再びゆるやかに下降推移し始め、ズルズルと軟調推移が続きそうな状況では次第に910ドル台の節目割れへの警戒感も高まるところ。
ドル円は1.15%のドル高円安で大幅反発。株価の反発に合わせて円安基調へと反転し、米指標の好結果にも一段高となって前日の急落分を全て取り戻す急騰に。日足では大幅上下動を繰り返し、売り買い交錯状態を示すくじら幕状態。このパターンが続くようなら再び112円台へと急反落へ。しかし、足下の流れとしてはダブルボトム形成に向けた反発局面が続き、112円台半ばから114円のレンジを形成するなかでわずかに円安方向優勢か、という状況に。114円台へと上抜けできればさらに反発基調が加速、2月の急落局面の半値戻しとなる116円30銭台辺りまで戻す展開も。逆に112円台割れなら110円近辺も。
※参考:金プラチナ相場とドル円 NY市場3/1終値とチャート
2日の国内金価格は0.4%の続伸。やや上値も重くなりつつあった状況から、円安急進にサポートされての上昇で年初来高値を更新、昨年10月28日(4831円)以来4カ月ぶりの高値水準へ。高値圏での保ち合い上抜けによる堅調推移が続き、目標水準4850円台辺りまで上値を伸ばす展開へ。但し、その足取りはやや重く、反落への警戒感も残る状況。4780円の節目を割り込まないことが重要で、もし割り込んだ場合には流れが巻き戻され、4720円近辺までの調整局面形成も。
国内プラチナ価格は1.24%の大幅続伸。ゆるやかな下落基調が続くなかで為替の急反発によって水準を押し上げられた形。3640円の抵抗水準を上抜けたことで目先は3700円程度までの反発も見込まれる状況へ。ただし、その前に昨年5月以来10カ月ぶりとなる90日移動平均上抜けをかけた攻防を突破する必要。
※参考:金プラチナ国内価格3/2とチャート
- 2016年3月2日(水)時点の相場
-
国内金 : 4,822 円 3/2(水) ▲19(0.40%) 国内プラチナ : 3,672 円 3/2(水) ▲45(1.24%) NY金 : 1,230.8 ドル 3/1(火) ▼3.6(0.29%) NYプラチナ : 936.7 ドル 3/1(火) ▲2.4(0.26%) ドル円 : 113.98 円 3/1(火) ▲1.30(1.15%)
2015年世界のプラチナ需給と2016年見通し 3/3(木)
米ISM製造業景況指数は底入れの兆しも世界的低迷続く製造業PMI 3/2(水)
シカゴPMIも反落、ツートップ絶不調で不透明感継続、金買いも継続 3/1(火)
下落トレンドを抜け出した国内金価格、抜け切れないプラチナ 2/29(月)
「中期的に2%」に向けて大きく動き出したPCEデフレーター 2/27(土)
PIVOT指数から見るNY金相場サポート&レジスタンスライン
PIVOT指数から見るNYプラチナ相場サポート&レジスタンスライン