更新日：2016年4月9日(土)
円高阻止へと動く当局の動きにそれほど期待感も高まらず、しばしば行き過ぎる為替市場の動きには、流れに乗ったドル売り円買いが有効とばかりに円買いポジションの拡大傾向も続きます。急反発への警戒感とともに、さらなる円高進行で警戒しておくべき水準を考察してみます。
年足チャートで見るドル円の今年の変動値幅は現時点で14円超。もちろん近年最低水準となった昨年の値幅を既にを大きく超え、過去3年間の平均値幅16.65円へもあと2.6円。始値を分母とする変動率では、過去3年間の平均は16.7％。これを今年に当てはめると20.10円の変動幅に。
現時点での今年高値121.69円から20.10円下落した場合の水準は101.59円。これは2014年前半に半年以上の保ち合い状態が続いた水準に相当します。
現時点の今年の変動幅に20.10円を上下均等に振り分けた場合の下値は104.63円。これは2014年10月安値105.19円、日銀追加緩和前の安値水準付近に相当。
ヘッドアンドショルダー形成に伴う円高目安水準106円程度を含め、100円台前半辺りまでの円高が進行する可能性は想定しておくべきかもしれません。
参考値として、米エコノミスト誌が年2回公表しているビッグマック指数を用いて為替レートを計算すると、今年1月時点の数値では1ドル=75.05円。
近いうちにこの水準までの円高が進行することはあり得ないと想定されますが、実際のドル円レートとビッグマック指数に基づくレートの乖離幅が拡大した後には必ず縮小方向へと向い、現在まさにその兆しが見られ始めた状況です。
また、過去の円高ピーク時、2009年から2011年までの間、実際のドル円レートとビッグマック指数に基づく為替レートは、ほぼ完全一致していました。
日本のデフレが始まって以降、実際のドル円レートがビッグマック指数のレートを下回ることは一度もありませんでした。しかし、注意すべきは直近のビッグマック指数のレートも下向き始めていることです。この要因は、米国内でのビッグマック価格が2014年の4.62ドルから2016年1月の4.93ドルまでコンスタントに上昇を続けているのに対し、日本国内でのビッグマック価格は2014年7月時点で370円に値上がりして以降、価格据え置き状態が続いていることにあります。
日本の物価上昇傾向が失速状態にあり、いずれまたデフレ状態に戻るようなことがあれば、実際の為替レートとビッグマック指数レートの乖離幅は急縮小することになりかねず、ドル円レートはビッグマック指数に基づく為替レートに近づいていくことになります。
8日のNY金相場は0.51％の続伸。原油の大幅反発の流れに株高、円高の巻戻しに伴うドル高基調に上値を押さえられる展開となり、1230ドル台での揉み合い状態が欧州市場まで継続。しかし、その流れも週末のNY市場では失速、株価は上げ幅を削り、ドル円の反落に牽引される形でドル売り傾向が強まると金は1240ドル台へと水準を切り上げ。終値ベースではおよそ半月ぶりの1240ドル台となり、軟調気味の保ち合い状態が続く流れも徐々に地合い改善傾向へ。目先は1250ドル台までの上昇余地。
週間では+21.6ドル（1.77％）の続伸。
NYプラチナ相場は1.44％の大幅続伸。NY市場で950ドル台から960ドル台へと水準を切り上げると一時970ドルにタッチする場面も。しかし、高値圏での乱高下状態での保ち合いのなかでの上昇局面、の範囲内を抜け切れず、短期トレンドが上向くまでにはもう少し時間を要しそうな状況。目先は980ドル台辺りまで上値を試す余地は有り。940ドルを割れないことが重要。
週間ベースでは+14.8ドル（1.55％）の続伸。
ドル円はわずかに0.09％の下落で6日続落。円買い利益確定の買い戻しの流れは欧州時間の109円10銭までで収束。利上げは「慎重かつ緩やかなアプローチが適切」とするNY連銀ダドリー総裁の発言に促されるように、ゆるやかに、しかし一方的なドル安基調が続き、ほぼ安値引けの状態。1年5カ月ぶりのドル安円高水準からの反発基調は完全に打ち消された形となり、次週あらためて円買いの流れ加速への警戒感が高まる状況に。
週間ベースでは-3.50円（3.14％）で続落。日銀マイナス金利導入直後、2月1日からの週（3.42％下落）以来の大幅下落。
※参考：金プラチナ相場とドル円 NY市場4/8終値とチャート
2016年4月9日(土)時点の相場
国内金：4,639 円 4/8(金) ▲6(0.13％)
国内プラチナ：3,585 円 4/8(金) ▼5(0.14％)
NY金：1,243.8 ﾄﾞﾙ 4/8(金) ▲6.3(0.51％)
NYプラチナ：968.4 ﾄﾞﾙ 4/8(金) ▲13.7(1.44％)
ドル円：108.10 円 4/8(金) ▼0.09(0.09％)