金プラチナ短期相場観

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乱高下の雇用統計に市場も乱高下、米雇用回復と円買い金買い継続

更新日:2016年7月9日(土)

米6月の雇用統計では、非農業部門雇用者数(NFP)の前月比増減数が市場予想の+18万人程度を10万人以上も上回り、8カ月ぶりの大幅増、2015年以降では2番めの高水準。その一方で5年8カ月ぶりの低水準となっていた5月の+3.8万人はさらに+1.1万人へ、3分の1以下へと下方修正されるドタバタのサプライズとなりました。
大方の予想を大きく超えるレベルの上振れとなった6月と、上方修正予想が大半で、誰もが予想だにしなかった5月分の下方修正。足して2で割ると14.9万人と妥当な水準となり、何かの間違いではないかと思われるような乱高下状態の雇用統計に、市場の反応も乱高下となりました。

ドル高に株高、金は売りで反応後、いずれも切り返してドル高からドル安へ、株価は急反落、金は急反発へ。株価の下落はほどほどに堅調推移へ。ドルは上下に振れた後は元の水準へと収束。
米雇用市場の回復基調において、5月の急減速はとりあえず一時的であり、6月には好調時の勢いを取り戻したと素直に見ることも可能な反面、単月の状況を重視すべきではないとするイエレン議長の言葉を信じる向きにはこの2カ月間のギャップが消化不良の面もあり、唯一納得できるのはこれで早期追加利上げ見通しが強まることはない、ということ。

そう解釈すると、ドル高傾向は強まらず、株高に金の反発(日足レベルは小反落も反発基調への動き)も納得できそうです。

米・平均時給と賃金上昇率 2016年6月6月の平均時給は5月の25.59ドルからわずかに増加して25.61ドル。前月比+0.08%、前年比では+2.60%。いずれも市場予想を若干下回るも、前年比では昨年12月(+2.64%)以来半年ぶりの高水準となり、上昇の兆しも見られる状態となっています。

長期失業者の割合は前月の25.1%から25.8%へと4カ月ぶりの悪化で3カ月前の水準に逆戻り。
広義の失業率となるU6失業率は前月の9.7%から9.6%へと低下、2008年4月以来8年2カ月ぶりの低水準へと改善しています。しかし、これも回復目安とされる8.8%にはもう少し時間が必要となるレベル。

米国の雇用市場は引き続きゆっくりと、回復基調が続いていることは間違いなさそうですが、利上げ見通しを引き上げる判断の為にはまだ数カ月の時間が必要となりそうです。
その間、ドル買い基調が強まらないことによる円買いと金買い優勢の状況も続くことになりそうです。

NY金・日足チャート 2016/6/8 - 7/88日のNY金相場は0.27%の小幅続落。雇用統計直後の急落局面では調整目安1330ドル台半ばまで下げて急反発、乱高下を経て反発基調となったところでNY市場を終え、今朝の時間外では1360ドル台後半へと水準を切り上げて終了。瞬間的ながら、Brexitの6月24日安値1252.8ドルから6日高値1377.5ドルまでの上昇幅に対する38.2%戻し1329.9ドル付近まで下押しし、調整不足を解消して上値トライ再開への可能性も示唆する状態に。1370ドルの節目を上抜けると1380ドル台辺りまでは水準を切り上げる展開へ。
週間ベースでは+19.4ドル(1.45%)、2014年6月以来、2年ぶりの6週続伸。

NYプラチナ・日足チャート 2016/6/8 - 7/8NYプラチナ相場は0.47%上昇し、7日続伸。昨年10月以来8カ月ぶりの7日続伸となり、水準としては昨年6月11日(1105.2)以来、1年1カ月ぶりの高値水準。雇用統計後の反応は金に追随する形での乱高下も、下落局面では1080ドル付近から1070ドル台前半までと極めて限定的。欧米株の大幅反発を好感する形で、調整らしい調整のないままこの日も上値を切り上げる展開となり、NY市場終盤にかけて1100ドルの大台に到達すると今朝の時間外もこの水準を維持して越週。目先はこの大台を維持できるかどうかがポイントに。極限まで高まってきた過熱感を時間で解消する展開となれば、主要レンジを大幅に切り上げる形となって中長期見通しも大きく改善方向へ。大台到達が一時的に終われば大幅調整の展開も見込まれ、6月24日以降の上昇幅の38.2%戻しとなる1050ドル付近までの調整も。
週間ベースでは+45.5ドル(4.31%)、3週続伸で合計+134.1ドル、13.9%の急騰局面を形成。

ドル円・日足チャート 2016/6/9 - 7/8ドル円は0.26%のドル安円高で6日続落。終値では2年7カ月ぶりの円高水準をさらに更新し、4月、6月に続き今年3度めの6日続落。6月NFPの想定外の大幅上振れには1円超の急騰も101円20銭台までと前日高値101円40銭台も超えられず、戻り売り。下値トライでは100円ちょうど付近まで売り込まれて反発すると結局元の水準での揉み合い状態に。100円の大台ラインでの底堅さを確認する形とはなったものの、株価が大幅上昇し、ポンド売りも一服で小幅に買戻し、リスク回避の巻戻し的な流れとなったなか、日本円だけがゆっくりと着実に買われ続ける状態が継続。2番底をしっかりとつけに行くか、7月FOMCでの強気見通し、もしくは2カ月連続での雇用統計上振れか、それに類する好材料が出現しない限り円買いの勢いは終息しない可能性も。
週間ベースでは-2.08円(2.03%)の反落。
※参考:金プラチナ相場とドル円 NY市場7/8終値とチャート

2016年7月9日(土)時点の相場
国内金4,721 円 7/8(金) ▼35(0.74%)
国内プラチナ3,758 円 7/8(金) ▼17(0.45%)
NY金1,358.4 ドル 7/8(金) ▼3.7(0.27%)
NYプラチナ1,100.2 ドル 7/8(金) ▲5.1(0.47%)
ドル円100.47 円 7/8(金) ▼0.28(0.28%)

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