金プラチナ短期相場観
強弱分かれる米6月製造業PMI、ISMは急騰、マークイットは減速
更新日:2017年7月4日(火)
米6月のISM製造業景況指数が約3年ぶり高水準へと急騰したことで米国の景気失速懸念を打ち消す形となり、ドル高の流れも加速しました。
なお、先日発表されたシカゴ購買部協会景気指数(シカゴPMI)でも6月は市場予想を大幅に上回る急騰となり、ほぼ3年ぶり高水準となっていました。
これに対してマークイットの製造業PMIは52となり、5カ月連続の低下で昨年9月(51.5)以来9カ月ぶりの低水準へと減速状態が続きます。
内訳でも、新規受注、生産、雇用などいずれも上昇で好調を示すISMの結果に対し、マークイットではそのいずれも低下。ただし、マークイットでも見通しは4カ月ぶりの水準へと上昇と楽観的。基本的にいずれも好不況の節目50超の水準を維持しており、失速懸念が強まるほどの状況ではないのかもしれません。
過去の推移でも、ISM製造業景況指数とマークイット製造業PMIはほぼ似通った推移となっており、この6月だけ一時的に乖離幅が拡大しただけの状況かもしれません。今後は上下どちらかの方向へと収束することになることも想定されます。
類似指標で方向感が分かれるのは、最近ではADP雇用者数と雇用統計の非農業部門雇用者数も同様です。
集計方法の違いや調査対象、規模、タイミングなどの違いも影響しているものと推測されます。ましてソフトデータである製造業PMIではそのブレ幅も比較的大きくなりやすいのではないかとも思われます。
また、方向性が一致するほどの好調(または悪化)でもないために、見方が分かれやすい時期にある、ということも言えそうです。
3日のNY金相場は1.86%の大幅安となって3日続落。5月10日(1218.9)以来、およそ2カ月ぶりの安値水準。1240ドルの保ち合い下限を割り込んだ時間外に売り圧力が強まると、NY朝にはその勢いが加速、ISM製造業景況指数の上振れを予期していたかのような展開となり、指標発表後には下値目安1220ドル前後に到達。10日間ほど耐え続けたサポートラインを割り込んだことによる急落で1日の下げ幅としては昨年12月15日、FOMC明けの日(-33.9ドル、-2.91%)以来。短期的には目安水準到達による一服感も、週末の雇用統計でも想定外の好結果となるようなら一段安の展開も。4月高値と5月高値でダブルトップを形成し、そのネックライン付近に到達している現状からは、中期的には最大80ドル程度の下落幅も見込まれ、1140ドル辺りがその目安水準に。短期的には1200ドルの大台ラインが心理的サポートに。
NYプラチナ相場も1.91%の大幅反落となり、5月9日(900.9)以来ほぼ2カ月ぶりの安値水準に。時間外で930ドル台前半まで反発したところで戻り売りの展開となって金に連れての急反落。NY朝には910ドル台半ばの節目を割り込んで一段安。下値目安900ドル割れに対して905ドルまでで下げ止まり、若干の下落余地を残す状況。なお、900ドルから890ドルまでの水準は昨年後半以降の長期サポート水準であり、短期的にはここでサポートされる可能性は高いと思われるが、金が一段安への展開となった場合には昨年の安値圏800ドル台前半が意識されるような展開へも。
ドル円は0.84%のドル高円安で続伸、1カ月半ぶりの113円台に。東京市場から欧州市場にかけてドル高円安の流れで113円台に到達し、ISM製造業景況指数の想定外の上振れを受けて米長期金利急騰とともに113円40銭台まで急騰。米独立記念日に北朝鮮のミサイル発射で今朝の東京市場ではやや円高に。押し目待ちに押し目なしの展開でドル高円安の流れが続き、5月高値から6月安値までの76.4%戻し(113.05)を達成。NY市場が休場となる今晩は閑散状態の一服か。112円前半が当面のサポート水準となり、雇用統計上振れなら5月高値114円30銭台が意識される展開も。
※参考:金プラチナ相場とドル円 NY市場7/3終値とチャート
4日の国内金価格は0.4%安となって3日続落。保ち合い気味にゆっくりと水準を切り上げる展開は崩れ、短期トレンド逆転の可能性。直近安値4789円をしっかりと下抜けて下落基調スタートを示唆。ただし、NY金が既に下値目安に到達していることから、一時的な下げ過ぎの可能性も残され、5月以降の安値圏4770円台まででサポートされる可能性も。ただし、NY金が一段安へと向う展開となった場合には国内価格も連れ安となり、最大では4680円台辺りが下値目安に。
プラチナ価格は1.31%の大幅反落。失速への警戒感どおりの展開となってしまい、前日の大幅反発を完全に帳消し、反発基調スタートの兆しは巻き戻されて逆流。今度は下値トライの展開を示唆する形に。やはりNYプラチナが下値目安付近まで下げている状況から、6月安値圏3530円近辺まででサポートされる可能性も。そうならない場合には底割れの展開で大幅安へと向うことにもなり、当面の下値目安は3420円辺りまで。
※参考:金プラチナ国内価格7/4とチャート
- 2017年7月4日(火)時点の相場
-
国内金 : 4,781 円 7/4(火) ▼19(0.40%) 国内プラチナ : 3,546 円 7/4(火) ▼47(1.31%) NY金 : 1,219.2 ドル 7/3(月) ▼23.1(1.86%) NYプラチナ : 906.1 ドル 7/3(月) ▼17.6(1.91%) ドル円 : 113.38 円 7/3(月) ▲0.95(0.84%)
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