金プラチナ短期相場観

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利上げ観測急浮上の英国、消費者信頼感指数はEUとの形成逆転

更新日:2017年6月30日(金)

ユーロ圏・EU・英独仏消費者信頼感指数 2017年6月金融政策正常化と緩和縮小に向けた流れが米国からカナダ、そして欧州大陸へと飛び火した6月末。
欧州では今週、ユーロ圏のドラギECB総裁に続き、気まぐれなカーニー英BOE総裁からも出口論を煽る発言が聞かれ、英国でもにわかに利上げ観測が急浮上。
5対3で現状維持を決定した英国の6月金融政策委員会(MPC)では現状維持を支持したホールデン委員はこの日、「生活費上昇を抑制するために利上げを真剣に考えなくてはいけない」などとタカ派発言。以前から聞かれていたタカ派発言の論調も強まり始め、次回以降のMPCでの投票結果も混沌としそうな状況です。

英国のEU離脱交渉もスタートした6月、欧州委員会が発表した6月の景況感指数では、そのEUと英国の消費者信頼感指数が形成逆転となっています。
消費者信頼感指数の6月確報値では、EUが-2.2で2015年3月(-2.1)以来2年3カ月ぶりの高水準。ユーロ圏も速報どおりの-1.3となり、2001年4月(-0.9)以来16年2カ月ぶりの高水準。また、ドイツは+5.0となって2014年5月(5.5)以来3年1カ月ぶりの高水準、フランスも+0.5へと上昇し、2007年6月(1.2)以来10年ぶりの高水準。
ユーロ圏(EA)の長期平均-12.2を大きく上回る水準での堅調推移が続くEUとユーロ圏、そして独仏の主要国に対し、これらの国と距離を置こうとしている英国の6月消費者信頼感指数は-7.0。7カ月ぶりの低水準へと鈍化し、1985年の統計開始以降で最高水準となった2014年5月の8.0をピークに低下傾向が続きます。

2013年以降はドイツとともにEUの消費マインドを牽引してきた英国は、2016年以降にその袂を分かち、EUとは逆行する形となっています。
ポンド安に伴う物価上昇圧力で5月には前年比+2.9%まで急騰している消費者物価指数が示す、インフレ急進懸念も影響しているものと思われ、だからこそ、金融緩和の出口論も急浮上している状況、とも言えそうです。

英国の消費マインドの低下傾向が今後も続くようなら、利上げ観測の勢いも後退しそうな、微妙な状況となってきているようです。
EUとの離脱交渉を含め、英国では出口論とメイ政権の動向、景気動向も混沌としてきそうな時期を迎えることになるのかもしれません。

NY金・日足チャート 2017/5/25 - 6/2929日のNY金相場は3日ぶりの反落で0.26%安。ユーロ圏と英国での金融緩和出口論の高まりを背景に、欧米長期金利上昇の流れが強まった欧州市場から金は下落。NY市場では米1-3月期GDP確報値が前期比年率+1.6%となり、市場予想の+1.4%を上回ったことを受けて一時1240ドル割れ。これがこの日の安値となって金利反落とドル買いの巻き戻しの流れに連れて1240ドル半ばへと反発。200日移動平均(1238.8)にサポートされて反発し、上値は90日移動平均(1251.6)を抜け切れない状態が継続。低下が予想される米5月PCEインフレの結果が予想どおりなら1240-60ドルのレンジ推移継続、想定外の低下なら上抜けトライも。万が一予想外の上昇となれば下限割れとなって1220ドル前後を目指す流れがスタートする可能性も。

NYプラチナ・日足チャート 2017/5/25 - 6/29NYプラチナ相場も0.29%の小幅安となり3日ぶりの反落。NY朝には一時5月11日(909.4)以来、1カ月半ぶり安値圏となる910ドル割れ。しかし、その後は再び920ドル台へと値を戻す反発力も見られ、スタートし始めたかに見える下値トライの流れも進みそうで進まない状況。金が保ち合い下放れなら890ドルトライ再スタートとなり、今年の2番底をつけに行く可能性。

ドル円・日足チャート 2017/5/26 - 6/29ドル円は0.11%のドル安円高となって小幅続落。主要先進国で唯一出口論が否定される日本円の独歩安も予想され始め、円キャリー再開もささやかれ始める状況となり、米GDP上振れ後には5月17日(113.13)以来1カ月半ぶりのドル高円安水準となる112円90銭台まで上昇。しかし、5月から6月までの下落幅の76.4%戻しであり、次の節目水準となっていた113円ラインが抵抗線となっていったん利確。テーパータントラムを警戒する欧米株の大幅調整の兆しとともに111円80銭台まで1円超の急反落局面形成とボラティティは急拡大。流れはドル高円安基調優勢でインフレ上昇なら113円突破はありうるが、次の目安となる5月高値114円30銭台に向けては米賃金上昇率加速の兆しが必須で、今回その可能性は極めて低いと予想される。
※参考:金プラチナ相場とドル円 NY市場6/29終値とチャート

30日の国内金価格は0.54%安となって3日ぶりの反落。90日移動平均線をはさんでの乱高下状態から上放れの兆しはまたも巻き戻し。しかし、上値と下値をともにゆるやかに切り上げる上昇チャネル内での調整の範囲内。ペースアップできるかどうかは次週末までの米経済指標の結果次第も、大きくブレなければゆっくりと上昇基調を維持する可能性はあり、当面の上値目標4900円も維持。ただし4780円台を割り込んだ場合にはトレンド転換で下値目標4680円台へ。
週間ベースではわずかに+1円(0.02%)となり、4週間ぶりの小反発。月間では-7円(0.15%)、小幅ながらも今年初の続落。

プラチナ価格は0.48%安で3日ぶりの反落。今年上半期の底値揉み合い状態からの脱出をかけた攻防は下半期へと持ち越し。半月以上続くことになった鍋底状態の保ち合い上限3580円を突破できれば、反発基調形成の目標は5月高値3690円更新トライ。3540円を下回る鍋底割れの場合には一段安で当面の目標水準は3430円台まで。
週間ベースでは-2円(0.06%)と小反落。月間では-47円(1.3%)となって2015年以来となる4カ月続落。
※参考:金プラチナ国内価格6/30とチャート

2017年6月30日(金)時点の相場
国内金4,801 円 6/30(金) ▼26(0.54%)
国内プラチナ3,556 円 6/30(金) ▼17(0.48%)
NY金1,245.8 ドル 6/29(木) ▼3.3(0.26%)
NYプラチナ919.0 ドル 6/29(木) ▼2.7(0.29%)
ドル円112.16 円 6/29(木) ▼0.13(0.11%)

6/29(木)のその他主要マーケット指標

PCEは半年、コアPCEは1年5カ月ぶり低水準、続くインフレ鈍化 7/1(土)

利上げ観測急浮上の英国、消費者信頼感指数はEUとの形成逆転 6/30(金)

「刺激策の一部解除へ」カーニーBOE総裁も金融政策正常化へ 6/29(木)

「デフレ圧力はリフレへ」ドラギECB総裁が金価格も下支え 6/28(水)

米5月耐久財受注下振れでフラッシュ・クラッシュの金も下げ渋り 6/27(火)


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