金プラチナ短期相場観

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2017年プラチナ需要と2018年の展望

更新日:2018年2月16日(金)

世界のプラチナ宝飾品需要 2018年2月ジョンソン・マッセイ社のレポートによると2017年のプラチナ総需要は244トン。2016年からは11.4トン減少し、6年ぶりに供給量を下回りましたが、1年前時点の予想に比べるとその差は小幅にとどまったようです。
需要減少の主な要因は宝飾(中国)需要と投資需要(日本の地金)。

宝飾品におけるプラチナの需要は2013年をピークに減少傾向がコンスタントに続き、2017年には過去7年間での最低水準となっています。
これに対して自動車触媒需要は前年より減少したものの、小幅減にとどまって3年連続で100トン超を維持しています。また、産業需要が2011年と同水準まで増加し、前年比+3.8トンとなり、宝飾品の減少分(前年比-5.8トン)の半分以上をカバーしています。

宝飾品の需要減=中国の減少、となっており、2013年と比較すると2017年は38%減。それでも40.5トンの需要量は2013年の欧州での自動車触媒需要(41.1トン)に匹敵します。

世界のプラチナ自動車排ガス触媒需要 2018年2月
その自動車触媒需要ではディーゼル車の主要市場、欧州での減少幅が前年比-1.7トン。世界全体での前年比-1.3トンを上回ります。その他のエリアではほぼ横ばい推移も欧州減少分の4分の1をカバーしたことになります。

投資需要では日本の個人投資家需要が急減。2015年と2016年の2年間で約35トンものプラチナ地金を購入していたプラチナブームが2017年に終了。金との価格差逆転に伴うプラチナ買いの勢いは、逆転状態の常態化と価格低迷の長期化、保ち合い傾向となってきたことなどから急減速したようです。

2018年の展望としては、欧州ディーゼル車触媒需要は引き続き減少傾向となり、中国の宝飾需要も減少が続くものとの予想が示されています。
これらに対して、産業用途の需要は過去最大水準となった2017年をさらに上回るものと見込まれ、トータル需要では投資を除けば小幅に増加するとの予想。

産業用では、ガラスメーカーでのLCD用ガラスとガラス繊維の生産設備に大量のプラチナが必要であり、中国での設備拡充においての需要拡大が見込まれます。また、化学需要も歴史的高水準を維持する見込み、となっています。

さらに、中国では燃料電池車(FCEV)を巡る見通しが明るく、中国政府は中国全土のFCEV走行台数を2025年までに5万台、2030年までに100万台に増やす狙いがあるとも言われ、FCEV用のプラチナ消費量の拡大が予想されている模様。

不透明感も強い投資需要においては、欧米でのETF関連需要は価格上昇に連動して高まり、日本の地金需要は価格下落に反応する逆張り志向が強く、今年もプラチナ価格が概ね900ドルから1000ドルのレンジ推移となるようなら、2018年のプラチナ投資需要も2017年とそれほど変わらないのではないかとの見通しも示されています。

足下で1000ドル台を回復してきたNYプラチナ価格が大台を維持し、今後さらに上値を伸ばすような展開となれば、徐々にETFへの需要も高まり、2018年のプラチナ需要を押し上げることになるかもしれません。

NY金・日足チャート 2018/1/11 - 2/1515日のNY金相場は0.2%安となって4日ぶりの反落。高値では1360ドルにわずかに届かず、安値でも1350ドルを割れず1350ドル半ばでの揉み合いに終始。前日の大幅高からの反動安もドル安地合いに支えされて下値も限定的となった様子。米1月の生産者物価指数(PPI)が予想を上回る好結果となり、NY連銀とフィラデルフィア連銀の2月製造業指数は強弱分かれる結果にもいずれも仕入れ価格指数が約6年ぶり高水準となっており、今後のインフレ加速要因に。またユーロドル1.25ドル、ドル円106円、ドルインデックス88ポイント台半ばといずれもドル安加速への分岐点に差し掛かる状況にあり、ドル安がもう一段進行するようなら、当面の上値目標1390ドル近辺に向けて一段高の展開へ。

NYプラチナ・日足チャート 2018/1/11 - 2/15NYプラチナ相場は0.2%高となって4日続伸。2週間ぶり高値で1000ドルの大台になんとか踏み止まった状態。1000ドル台での足場固めと、この日も上値を押さえられた1010ドルの抵抗水準との攻防が目先のポイントに。大台維持できなければ980ドル台までは下げやすく、1010ドルの抵抗線を上抜けできれば一段高の展開へ。今年高値1033ドルを超えると次の目標水準1050ドル近辺トライにも。

ドル円・日足チャート 2018/1/12 - 2/15ドル円は0.82%のドル安円高で4日続落。2016年11月9日以来1年3カ月ぶりのドル安円高水準での軟調推移が継続。東京市場では「介入が必要なほどの急激な円高ではない(麻生財務相)」ことで売り圧力が強まって106円台前半へと水準を切り下げ、その後は売り買い交錯。NY市場では日銀の人事報道などをきっかけに一時106円80銭台まで反発する場面もあったものの「戻れば売り」地合いは変わらず106円割れ寸前まで下落。短期的にはやや売られ過ぎでRSIなどの逆行現象も見られ、反発への可能性も示唆。ただし中長期的には100円近辺を目指す流れがスタートしている可能性も否定できず、ドル安地合いにも乗じた仕掛け的な売りも入りやすい状況か。少なくとも107円台を回復するまでは売り圧力は弱まらない可能性も。
※参考:金プラチナ相場とドル円 NY市場2/15終値とチャート

16日の国内金価格は0.52%安となって前日の反発分を帳消し。円高に足を引っ張られ、90日移動平均線をデッドクロスした9日移動平均線(4980)が抵抗線となる形での反落で4950円のサポート水準をわずかながらも下抜け。加速し過ぎた円高の流れに押されて一時的な行き過ぎの可能性もあるものの、そうでなければ4900円近辺までの一段安が見込まれる状況に。反発方向へは4980円の節目を回復し、90日移動平均線(4994)も上抜けできれば5030円台辺りまでの反発継続も。
週間ベースでは-7円(0.14%)で3週続落。

プラチナ価格は0.3%の反落。NYプラチナの1000ドル台維持にサポートされて円高による押し下げ圧力にも下げ渋る状態。1月末以降の抵抗線となっている9日移動平均線(3681)を超えることが目先の地合い回復への必須ポイントに。下方向には90日移動平均線(3643)から200日移動平均線(3636)までの水準がサポート候補。3629円の今年安値を更新してしまうと3600円割れへと一段安の展開にも。
週間では+6円(0.16%)、3週間ぶりの小反発。
※参考:金プラチナ国内価格2/16とチャート

2018年2月16日(金)時点の相場
国内金4,949 円 2/16(金) ▼26(0.52%)
国内プラチナ3,660 円 2/16(金) ▼11(0.30%)
NY金1,355.3 ドル 2/15(木) ▼2.7(0.20%)
NYプラチナ1,001.1 ドル 2/15(木) ▲2.0(0.20%)
ドル円106.13 円 2/15(木) ▼0.88(0.82%)

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