金プラチナ短期相場観

金プラチナ短期相場観

イベント通過で金急落、米中貿易戦争で金需要大国景気悪化懸念も

更新日:2018年6月16日(土)

NY連銀製造業景気指数 2018年6月米6月のNY連銀製造業景気指数は市場予想の18.8を大幅に上回る25.0となり、5月の20.1からも上昇。2カ月連続の上昇で昨年10月(28.1)以来、8カ月ぶりの高水準となりました。これで2016年11月から1年8カ月連続でプラス圏を維持する好景気が続いています。6カ月平均でも19.03となって5カ月ぶりに上昇し、ピークアウト感を払拭する形で高水準が持続している状態に。

構成指数ではインフレ加速基調を象徴する形で販売価格(23.3)は2011年5月(28.0)以来、7年1カ月ぶりの高水準。仕入れ価格も6年11カ月ぶり高水準となった5月の54.0からは低下したものの52.7にとどまり、7年間で3番目の高水準。

この日発表された6月のミシガン大消費者信頼感指数も99.3と予想を上回って3月(101.4)に次ぐ高水準。その3月は14年2カ月ぶりの高水準であり、こちらもピーク水準を維持する形となっています。また、1年期待インフレ指数も5月の2.8%から6月は2.9%へと上昇し、3年3カ月ぶりの高水準となっています。

景況感も消費センチメントもインフレ関連指標も、いずれも好調を示す結果となりました。
しかし、ドル高の流れは米中貿易戦争懸念によって相殺されたようです。

この日NY朝、米通商代表部(USTR)は中国からの輸入品500億ドル相当に対する関税賦課を発表。また、中国に関する米投資制限を2週間以内に発表することも表明しています。
これに対して中国は、米国に対して同規模の報復措置を取ることを表明。
トランプ米大統領は、中国が報復措置を取れば追加関税を課すと応戦。「習氏は友人だが関税は課さなければならない」との発言も。

トランプ米大統領のちゃぶ台返しでボロボロとなったG7首脳会合に始まり、スカスカの共同声明となった史上初の米朝首脳会談、米ドルへの一極集中を支援する政策の違いが鮮明となった米欧日の金融政策会合など重要イベントが続いた週。この間もリスク要因としてくすぶり続けた米国発の貿易摩擦の問題が週末になってまたもエスカレートした形です。

重要イベントウィークが終わり、米中貿易戦争に伴う金需要大国、中国の景気悪化懸念なども背景に、下げ渋っていた金は急落しました。

NY金・日足チャート 2018/5/11 - 6/1515日のNY金相場は3日ぶりの反落で29.8ドル、2.28%の大幅安。昨年12月21日(1270.6)以来、半年ぶりの安値水準。下落率では2016年12月15日の-2.91%(-33.9ドル)、1年ぶりの利上げとなったFOMCの日以来、1年半ぶりの大幅下落。NY朝にUSTRからの対中関税が発表されたタイミングで売り圧力が強まると、1カ月続いた1300ドルをはさんでの揉み合い状態からの下方ブレイクとなり、ストップロスを誘発する形で下げ幅を拡大。1300ドルを大きく割り込んだことで戻りを形成する場面も想定されるものの、基調としてはもう一段の下落となる可能性は高まり、当面の下値目安は12月安値圏、1250ドル近辺まで。
週間ベースでは-24.2ドル(1.86%)の反落。52週移動平均線(1300.1)との攻防5週目にして大幅下抜け。

NYプラチナ・日足チャート 2018/5/11 - 6/15NYプラチナ相場も3日ぶりの反落となって23.1ドル、2.54%の大幅安。5月18日(886.5)以来、1カ月ぶりの安値水準。下げ幅としては3月1日の-30.3ドル(-3.07%)、トランプ大統領が鉄鋼・アルミ関税導入を表明した日以来、3カ月半ぶりで今年2番めの大幅下落。金の急落に追随せざるを得ず、900ドルのサポート水準を大きく割り込んで880ドル台へ。今年最安値となった5月21日の877.8ドルと合わせて二番底をつける形となり、コスト割れも意識されるこの水準では下げ渋ることも想定されるものの、やはり短期的にはもう一段の下落が想定され、一時的には最大で2016年最安値811.4ドルを目指すような展開にも。
週間ベースでは-17.9ドル(1.98%)で続落。

ドル円・日足チャート 2018/5/14 - 6/15ドル円は前日から変わらず110円60銭台での横ばい推移。想定済だった日銀の緩和政策現状維持と物価の現状判断下方修正を受けて110円90銭近辺まで円安進行後、米国の対中国追加関税の可能性が伝えられたこともあって戻り売り。しかし110円台前半では底堅く、NY時間にかけては110円70銭台まで反発。その後は米中貿易戦争懸念と米経済指標の好結果とで110円台半ばで揉み合いの展開に。今後の売り買い材料混在を象徴する形で週末を迎えた形となり、週明けもやや方向感の出難い展開も想定されそう。流れとしては上昇トレンド継続中できっかけさえあれば5月高値111円前半までの上値余地も。
週間ベースでは+1.11円(1.01%)で3週続伸。4週ぶりに52週移動平均線(110.30)超え。
※参考:金プラチナ相場とドル円 NY市場6/15終値とチャート

2018年6月16日(土)時点の相場
国内金4,957 円 6/15(金) ▲30(0.61%)
国内プラチナ3,453 円 6/15(金) ▲33(0.96%)
NY金1,278.5 ドル 6/15(金) ▼29.8(2.28%)
NYプラチナ887.8 ドル 6/15(金) ▼23.1(2.54%)
ドル円110.66 円 6/15(金) +-0.00(0.00%)

6/15(金)のその他主要マーケット指標

21週移動平均は国内金価格7カ月ぶり、プラチナは9年ぶり低水準 6/18(月)

イベント通過で金急落、米中貿易戦争で金需要大国景気悪化懸念も 6/16(土)

ECBは年内QE終了も早期利上げ観測後退、ユーロ急落でドル高株高 6/15(金)

年内利上げ4回でドル買い、も限定的。今回も利上げで金上昇へ? 6/14(木)

米5月CPIは6年3カ月ぶり高水準で賃金上昇率を上回る 6/13(水)


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