金プラチナ短期相場観
コアPCEインフレは前年比+1.5%で4カ月連続横ばい推移
更新日:2018年3月2日(金)
米商務省が発表した1月の個人消費支出物価指数(PCEデフレーター)は前年比+1.7%、コアPCEは前年比+1.5%。過去数カ月分の修正により、PCEは+1.7%で3カ月連続の横ばい推移、コアPCEは+1.5%で4カ月連続の横ばい推移。
これでPCEは2017年1-2月に目標2%到達以降、11カ月連続の2%未達、コアPCEは2014年4月の2%を最後に3年9カ月間目標水準未達の状態が続きます。
ちょうど1年前のコアPCEは前年比+1.9%。symmetric inflation goal(シンメトリック(対称的)なインフレ目標)2%には到達していた状態とも言えますが、この時の原油価格は月間平均で52.61ドル。さらに1年前の2016年1月の原油価格が31.78ドルだったことを考慮すると、年間で20ドルも上昇した原油価格によってインフレが加速した状態でもあったようです。しかし、今回2018年1月の原油価格も63.66ドルとさらに10ドル上昇していますが、PCEは2.2%から1.7%へ、コアPCEは1.9%から1.5%へといずれも減速する結果となっています。
PCEインフレ内訳では、商品が2カ月連続の減速で前年比+0.1%、サービス価格は+2.4%と9カ月ぶりの高水準。商品価格の低インフレがサービス価格の高インフレを相殺する状態が続きます。
商品のなかでは耐久財がマイナス圏での推移が続き、1月は-2.3%と8カ月ぶりの低水準、耐久財以外は+1.4%でこれも4カ月連続の2%割れの水準にとどまります。
インフレ加速への牽引役となるエネルギー関連サービス価格は5.9%と高水準ですが、2017年2月の+17.3%からは大きく減速した状態です。
パウエル新議長が今年2%へ上昇すると見通すPCEインフレ、2018年序盤は静かなスタートとなっています。
今回はインフレ加速による利上げペース加速への警戒感を強める材料とはならなかったようですが、この日発表された新規失業保険申請件数とISM製造業景況指数がいずれも予想外の好結果となり、景気過熱への警戒感を高めることとなり、金は軟調推移が続きました。
しかし、トランプ米大統領の保護主義政策への過熱感も高まり、市場のリスク回避ムードを高めることとなり、金価格を下支えする結果となっています。
1日のNY金相場は0.96%の大幅安となって3日続落。12月28日(1297.2)以来、2カ月ぶりの安値水準。利上げペース加速警戒感とドル高の流れが続いたNY午前までは軟調推移となって1300ドル付近まで下落。NY午後にはトランプ米大統領が鉄鋼25%・アルミ10%の輸入関税導入を表明。保護主義貿易への警戒感からNYダウは一時500ドル超の下落となり、主要3指数そろって大幅安で3日続落、ドル高の流れも急反転。NY金は時間外に1320ドル台まで急反発、東京市場朝の時間帯も1310ドル台後半での推移。現状水準を維持できれば保ち合い継続で1300ドルラインが当面のサポートとなる可能性も、維持できなければ1310ドルの節目割れに伴う下値目標水準1260ドル台に向けた流れがスタート。
NYプラチナ相場は3.07%の大幅反落。3%超の下落は昨年11月20日(-3.25%)以来3カ月ぶり、水準としては1月2日(947.8)以来2カ月ぶりの安値水準。ただしNY時間外には金に連れての急反発で960ドル台へと急反発。節目の960ドルを再度しっかり割り込むようなら、下値目標910ドル台に向けて一段安の流れに。現状水準維持なら保ち合い回帰へ。
ドル円は0.41%のドル安円高で続落。2月15日以来、半月ぶりのドル安円高水準。PCEは横ばい推移も新規失業保険申請件数が48年ぶりの低水準に改善し、ISM製造業景況指数も13年ぶり高水準となったことでNY朝には107円20銭まで上昇。しかしトランプ発言を受けて米中貿易摩擦への懸念から米株急落、長期金利も急低下となり、ドル円も106円台前半へと急落。今朝の東京市場では106円割れをかけた攻防状態に。ドル高円高の流れに局面的にはリスク回避ムードも高まる状況でドル円の下押し圧力は依然強く、短期的には再度105円台を試す可能性は高そうで、目先の下値目安は105円近辺まで。
※参考:金プラチナ相場とドル円 NY市場3/1終値とチャート
2日の国内金価格は0.33%安となって3日続落。8月9日(4791)以来ほぼ7カ月ぶりの安値水準。短期下値目安4850円近辺を下回ってやや行き過ぎ感もあるものの、新たに下方リスクが高まる状況に。NY連銀ダドリー総裁の年4回肯定発言などもあり、米利上げペース加速懸念によるNY金の下押し圧力と、トランプ保護貿易政策や欧州政局動向などへの警戒感や株安地合いによるリスク回避ムードと日銀政策動向への不透明感による円高懸念などによるドル円下方圧力が交錯。満月の金曜日にはもうひと波乱も警戒。水準的には7月安値4750円台辺りまでが下値警戒水準に。
週間ベースでは-74円(1.51%)となって5週続落。
プラチナ価格は1.72%の大幅安で3日続落。12月19日(3526)以来2カ月半ぶりの安値水準となり、短期的な下値目安3600円近辺をオーバーラン。次の下値目安3500円台半ばにもいきなり到達。下値警戒感が払拭されない現状からは12月安値3421円に向けて2番底をつけに行く展開も。
週間ベースでは-137円(3.72%)の大幅反落。
※参考:金プラチナ国内価格3/2とチャート
- 2018年3月2日(金)時点の相場
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国内金 : 4,826 円 3/2(金) ▼16(0.33%) 国内プラチナ : 3,547 円 3/2(金) ▼62(1.72%) NY金 : 1,305.2 ドル 3/1(木) ▼12.7(0.96%) NYプラチナ : 957.8 ドル 3/1(木) ▼30.3(3.07%) ドル円 : 106.23 円 3/1(木) ▼0.44(0.41%)
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