金プラチナ短期相場観
米中対立緩和期待にも市場の7月利下げ予想100%は変わらず
更新日:2019年7月3日(水)
7月末FOMCでのFF金利予想としては、0.50%の利下げが6月24日には42.6%まで上昇していました。米中首脳会談後の7月1日には19.9%まで低下し、代わりに0.25%の利下げ予想が80.1%まで上昇しました。
しかし、2日には0.5%利下げ予想が再び27.6%へと反発、0.25%利下げは72.4%へと反落。乱高下状態にもなってきました。
ファーウェイ問題など、過度の米中対立緩和期待が巻き戻された形にもなり、ドラギECB総裁後任にタカ派のバイトマン独連銀総裁ではなく、ハト派のラガルドIMF専務理事が指名されたこともECBの緩和政策継続観測につながったものとも思われます。
オーストラリア準備銀行の2カ月連続利下げなど、昨今の主要地区連銀での利下げによる世界同時緩和ムードにも拍車をかける形にもなったようです。
ただし、市場が予想するとおりに、米FRBも本当に今月末に利下げするのかどうかについては一抹の不安も残されます。
特に、今週末の雇用統計が好結果となった場合には、利下げ先送り観測が台頭する可能性もありそうです。
雇用統計がそこそこポジティブな結果となった場合、0.50%利下げ予想がさらに低下し、0.25%利下げは逆に上昇することが予想されますが、6月19日の前回FOMC後には据え置き予想は0%に張り付き、1回以上の利上げ予想は100%をキープした状態が続いており、この状態はもうしばらく続く可能性もありそうです。
結果的に、多少の好結果では最低1回の利下げ予想は維持されることにもなりそうです。
利下げへの期待値が高まり過ぎた可能性もあり、もし、7月FOMCで利上げ見送りとなった場合には、かなりの市場の混乱も警戒されそうです。
しかし、その場合には催促相場となり、FRBは9月利下げを余儀なくされることにもなりそうです。
2日のNY金相場は+18.7ドル、1.35%の大幅反発。1380ドル台後半では底堅く、欧州時間に1390ドル台を回復すると米10年債利回りが2%割れへと急落したMY午前には1400ドル台へと一段高。この日、カーニーBOE総裁が「保護主義の台頭により世界経済が広範囲で減速し、大規模な政策対応が必要になる可能性」があると警告し、ハト派と見られるラガルドIMF専務理事がドラギECB総裁の後任に決まったことなども材料視された模様。また原油価格急落に加え、移動中だったペンス米副大統領が急遽予定をキャンセルしてホワイトハウスに戻ったことが報道され、市場の警戒感を高めることにもつながった様子。なお、NY引け後には上方向への節目1420ドルを超えたことでさらに一段高となり、一時1440ドル付近まで急騰。次の上値目標にも到達してしまった状態に。米中首脳会談前の状況に戻った状態となり、下値は1380ドル台が目先のサポートとなり、このまま1420ドル超を維持できれば1440ドル台の上値再トライも。
NYプラチナは-3.7ドル、0.44%安で3日ぶりの反落。830ドル台を中心に小幅保ち合い推移に終始。前日高値で上値目標850ドルにワンタッチしたことでの一服感からやや調整気味の展開にも。目先は850ドル再トライの可能性も残しながら、もう一段の調整進行では820ドル付近がサポート候補にも。
ドル円は50銭強のドル安円高となって5日ぶりの反落。前日の上げ幅を帳消しし、週明けに開けた窓を埋める形となり、サポートに切り替わる可能性もあった20日移動平均線(108.05)上抜けを維持できず、再びレジスタンスラインへと逆戻りへの警戒感も。NY時間に原油価格急落と米10年債利回り急低下に連れて108円割れへと急落すると、今朝の東京市場でも日経平均の反落スタートとともに107円台半ばへと軟調推移。目先は週末の雇用統計待ちも、上値の重さが確認された108円台半ばの抵抗水準超えには相応のポジティブ・サプライズも必要か。超えると110円台が次の上値目標にも。下方向に107円のサポートを割れた場合には105円台を試しに行くような展開にも。
※参考:金プラチナ相場とドル円 NY市場7/2終値とチャート
3日の国内金価格は+126円、2.44%の大幅高で3日ぶりの反発。上昇率では2015年1月19日(+125円、2.48%)以来、4年5カ月ぶりの大幅上昇となり、近年最高値となった2015年1月23日(5298)以来、4年5カ月ぶり、近年では2番めの高値水準に。高値保ち合いからの下方ブレイクで下値目安5150円台到達後、すぐに切り返す展開となって今度は上方向への節目5230円を上抜けて今年高値も上抜け。乱高下状態からの急落など不安定な展開も警戒されるなか、目先の上値目標は近年最高値超え、5300円。なお、当面のサポート5150円台を割れた場合には5060円台辺りまでが次の下値目安にも。
プラチナ価格は-15円、0.48%安となって5日ぶりの反落。安値圏からの反発基調は一服状態となり、上値目標3170円台に向けた流れもいったん途切れてしまった可能性も。昨年来の安値保ち合い主要レンジ3000円から3100円までの上限に到達したことで失速感が強まってきた様子も。あらためて3110円台の直近高値を上抜けることができれば3150円台辺りまでは上値を伸ばす展開にも。
※参考:金プラチナ国内価格7/3とチャート
- 2019年7月3日(水)時点の相場
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国内金 : 5,281 円 7/3(水) ▲126(2.44%) 国内プラチナ : 3,098 円 7/3(水) ▼15(0.48%) NY金 : 1,408.0 ドル 7/2(火) ▲18.7(1.35%) NYプラチナ : 827.2 ドル 7/2(火) ▼10.0(1.19%) ドル円 : 107.85 円 7/2(火) ▼0.55(0.51%)
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