金プラチナ短期相場観
2019年雇用の伸びは急減速中、ADP3カ月平均は7年ぶり低水準
更新日:2019年7月5日(金)
6月のADP雇用者数が市場予想を下回って前月比+10.2万人にとどまり、5月のネガティブ・サプライズ(速報2.7万人→4.1万人に修正)に続いて低調な結果となったことで、ADPの3カ月平均は6月時点で+13.3万人。
3カ月平均としては2月の+24.4万人をピークに4カ月連続の減少となり、2012年7月(12.5)以来6年11カ月ぶり、ほぼ7年ぶり低水準となっています。
年初から雇用の伸びが急減速となっているのは雇用統計での非農業部門雇用者数(NFP)も同様で、NFPの3カ月平均でも1月の前月比+24.5万人がピークとなってその後は急減速。4月には+14.4万人(5月は+15.1万人)まで低下していました。
NFPの3カ月平均とADPの3カ月平均との24カ月相関係数は、5月時点で0.613。2013年から2016年までの0.8台後半には及ばないものの、相関関係の強さを示す状態は続いています。5月には両者ともに+15.1万人と完全一致していました。
6月のNFPの事前予想では、概ね前月比+16万人程度。予想通りの結果となれば、3カ月平均では+15.3万人となり、ADPの3カ月平均とは小幅に方向性が分かれる形にはなります。
6月NFPも仮に10万人に下振れた場合、3カ月平均では13.3万人となってADPと一致。そして、NFPの3カ月平均も2012年8月(13.2)以来6年10カ月ぶり、およそ7年ぶり低水準ということになります。
いずれにしても極端にブレない限り、ADPでもNFPでもトレンドを示す3カ月平均で見れば、雇用の伸びは今年ここまで、急減速が続いています。
4日は米国の独立記念日でNY市場が休場。5日には米6月雇用統計の発表も控えていることから、東京時間から市場全体が様子見ムード。NY金は時間外に1420ドル台から1410ドル台へと水準を切り下げての推移も、祝日明け、今朝の時間帯には1420ドル台に戻す場面も。NYプラチナは840ドル台前半を中心に小動き。
ドル円は107円80銭台でほぼ横ばい推移。107円70銭台から107円80銭台前半まで、この日の変動値幅は13銭程度の小動き。4月22日(11銭)に次いで今年2番めの小動きとなり、今年の平均55銭の4分の1以下。雇用統計の結果を受けて7月利下げの確度が高まるか、後退かによって、107円割れを試す流れへと向かうか、108円台半ばの上方向への節目トライへ。
賃金上昇率との36カ月相関係数が0.752%と強めの相関関係にあるリッチモンド連銀の賃金指数は5月に過去最高となった後、6月には1年半ぶり低水準へと急低下。ダラス連銀の賃金指数も6月には1年7カ月ぶり低水準に低迷していることなどから、少なくとも6月の賃金上昇率もサプライズ的な好結果は望めない状況か。
5日の国内金価格は-6円、0.11%の続落。雇用統計がネガティブ寄りの結果となれば7月利下げを後押し、NY金に1440ドルまでの上値余地があることから、多少の円高を相殺して国内金価格は上値トライへと向かう可能性。5280円台の高値を超えることができれば次の上値目標は5320円台へ。ポジティブな結果で逆の展開となった場合、NY金は1380ドル台から1400ドルの大台ラインまでが強めのサポート帯となる可能性もあり、国内金価格は5150-70円台がサポート水準に。今回すぐにこの水準を割れることは想定し難いものの、今後割り込んだ場合には5060円台辺りまでが次の下値目安に。
週間ベースでは+13円、0.25%高となって6週続伸。6週続伸は昨年11月以来、8カ月ぶり。
プラチナ価格は-15円、0.48%の反落。3100円を超えて反発の勢いが失速、小幅調整をはさんで揉み合いながらも上昇基調を維持する展開に。目先は3090円台から3130円までの小幅保ち合い形成の可能性。上方向に抜け出せば3170円台までが次の上値目標に、下方向に水準を切り下げる展開となれば3030円台辺りまでが次の下値目安に。
週間ベースでは+71円、2.34%の大幅続伸。
※参考:金プラチナ国内価格7/5とチャート
- 2019年7月5日(金)時点の相場
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国内金 : 5,242 円 7/5(金) ▼6(0.11%) 国内プラチナ : 3,110 円 7/5(金) ▼15(0.48%) NY金 : 1,420.9 ドル 7/3(水) ▲12.9(0.92%) NYプラチナ : 843.6 ドル 7/3(水) ▲16.4(1.98%) ドル円 : 107.82 円 7/4(木) ▲0.01(0.01%)
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