金プラチナ短期相場観

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長期失業者の割合が示すリセッション入り警戒サイン

更新日:2019年7月6日(土)

米雇用統計・長期失業者の割合 2019年6月米6月雇用統計では、NFPが前月比+22.4万人と市場予想の+16万人を大幅に上回り、5カ月ぶりの高水準。ADPが低調となったのに反して予想以上の上振れ。
7月の0.50%利下げ観測を後退させる好結果となり、ドル高と長期金利上昇が加速。株価と金は大幅緩和期待剥落に伴い、急落の展開を余儀なくされました。

FRBとしては、大幅利下げの回避、もしくは今後の指標状況次第では利下げ見送りの可能性も。少なくともタカ派メンバーにとっては据え置き支持の根拠として、十分な裏付けを得ることになったかもしれません。
しかし、7月利下げを見送った場合、後にそれを後悔することになる可能性も否定できません。

今回の雇用統計は、ポジティブ・サプライズと言えるほどの好結果でもなく、むしろ警戒感も漂う内容かもしれません。
賃金上昇率は依然としてゆるやか・・・ではなく、ピークアウトも警戒される状況となってきた可能性もありそうです。
今年2月に約10年ぶり高水準となる前年比+3.4%まで上昇した平均時給の賃金上昇率は、その後4カ月連続の減速で6月は前年比+3.14%。昨年9月(+2.98%)以来、9カ月ぶりの低水準。
3カ月平均では、昨年12月の+3.33%がピークとなり、6月の+3.15%は昨年9月(+3.00%)以来、9カ月ぶり低水準。トレンドとしては今年ここまで、減速基調が続いています。

さらに、長期失業者の割合は警戒水準へと変調の兆し、となってきたかもしれません。
失業期間が27週以上、つまり失業期間が半年以上となっている長期失業者の割合は6月に23.7%。2017年11月(23.7%)以来、1年7カ月ぶり高水準となっています。
回復目安とされた19.1%に対し、2018年5月には19.7%、今年1月には19.1%まで低下して最接近。20%割れを2度記録した後は反発基調となり、ダブルボトムのネックライン超え。12カ月移動平均線(21.53%)も大きく上抜けてきました。その12カ月移動平均線自体も今年2月(21.13%)で底打ちして4カ月連続上昇。

これまで、12カ月移動平均線が上昇に転じ、それを長期失業者の割合が上回る、ゴールデンクロスとなった時、これと前後してリセッション入りとなってきました。
この状態が今後も続くようであれば、要警戒、となりそうです。

NY金・日足チャート 2019/5/31 - 7/55日のNY金相場は-20.8ドル、1.46%の大幅安で3日ぶりの反落。時間外には一時1420ドル台半ばまで反発も雇用統計への警戒感やドル高の流れから1420ドルを割れてNY市場へ、雇用者数の伸びが想定を大幅に上回る伸びを示すポジティブ・サプライズとなって急落すると1400ドルの大台割れ。ドル高と長期金利上昇の流れに押されて一時1390ドル割れも、7月安値圏でダブルトップのネックラインにもなっている1380ドル台ではサポートされて反発、なんとか大台を回復。
目先は1380ドル台から1420ドル台までが主要レンジとなっていったんは落ち着くことも想定され、7月FOMCでの0.25%の利下げ有無を焦点に方向感模索へ。1380ドル台のサポートを割れた場合には、6月半ばまでの長期上値抵抗水準1360ドル台までが次の下値目安。上方向に1420ドル台を超える展開となった場合には今年高値更新となる1450ドル近辺までが次の上値目標に。
週間ベースでは-13.6ドル、0.96%安となって3週ぶりの反落。

NYプラチナ・日足チャート 2019/5/31 - 7/5NYプラチナは-32.2ドル、3.82%の大幅反落。下げ幅としては昨年7月2日(-44.3ドル、5.16%)以来、1年ぶりの大幅下落。緩和期待の後退に伴う株安と金の急落には追随せざるを得ず、NY朝に830ドル半ばから810ドルまで水準を切り下げ。短期上値目標850ドル前後まで二度上昇し、ダブルトップ形成後の反落でネックライン830ドルを割れたことから、この間の値幅20ドル分さらに下落して810ドル。想定どおりの下げ幅となり、20日移動平均線(814.6)を下抜け。NY引け後の自律反発ではこれを上回れず、このラインがサポートとなるか、抵抗線に切り替わるか、微妙な状況にも。
週間ベースでは-24.1ドル、2.88%安で3週ぶりの反落。

ドル円・日足チャート 2019/6/3 - 7/5ドル円は60銭余りの大幅ドル高円安となって続伸で108円台半ばへ。期待感からのジリ高推移となって雇用統計発表前に108円台を回復し、雇用者数の大幅増を確認するとさらに急騰。2%割れが常態化し始めていた米10年債利回りが1.96%台から一時2.06%辺りまで急騰したことにも牽引され、一時半月ぶり高値となる108円60銭台まで上昇。しかし、6月以降の高値圏となっているこの水準では抵抗感も強く、あらためて利下げを要求するトランプ発言なども重石となった様子。
目先、主要レンジ上限は108円半ばで変わらず、下値サポートは107円80銭台に切り上げて反発継続か、戻り売りかの攻防へ。依然として7月に1回の利下げは100%を織り込む状態でもあり、これが100%を割れることになれば上値トライ再開も。108円半ばを突破できれば110円台前半までが次の上値目標に。戻り売り圧力が強まってサポートを割れると安値更新で106円割れを試すような展開にも。
週間ベースでは+0.58円、0.54%の続伸。
※参考:金プラチナ相場とドル円 NY市場7/5終値とチャート

2019年7月6日(土)時点の相場
国内金5,242 円 7/5(金) ▼6(0.11%)
国内プラチナ3,110 円 7/5(金) ▼15(0.48%)
NY金1,400.1 ドル 7/5(金) ▼20.8(1.46%)
NYプラチナ811.4 ドル 7/5(金) ▼32.2(3.82%)
ドル円108.47 円 7/5(金) ▲0.65(0.60%)

7/5(金)のその他主要マーケット指標

0.5%は急低下、それでも利下げ織り込み100%が支える金価格 7/8(月)

長期失業者の割合が示すリセッション入り警戒サイン 7/6(土)

2019年雇用の伸びは急減速中、ADP3カ月平均は7年ぶり低水準 7/5(金)

米5月貿易赤字は今年最大、輸出入共に過去最大には及ばず 7/4(木)

米中対立緩和期待にも市場の7月利下げ予想100%は変わらず 7/3(水)


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