金プラチナ短期相場観
衝撃の数値の続き、失業保険申請件数も指数関数的に急増
更新日:2020年4月3日(金)
1ヵ月前、3月2日の米国内での新型コロナウイルスの感染者数は98人でした。3日に100人を超え、11日に1000人を超えると19日には1万人超え、27日には10万人超え、そして今や24万人超え。指数関数的に急増しています。
感染者数が1万人を超えた週、21日までの週の新規失業保険申請件数は先週発表されて328.3万件。過去最大を大幅に更新する衝撃の数値となりましたが、今週発表された次の週、感染者数が10万人を超えた28日までの週は664.8万件。330.7万件へと上方修正された前週分からさらに倍増。
失業保険申請件数も、指数関数的に急増しています。
この2週間での合計は1千万件弱となり、2008-2009年の世界金融危機で失った米国の雇用者数860万人超を、わずか2週間で上回ってしまいました。
クリーブランド連銀のメスター総裁はこの日、「米国の失業率は最大で15%に達する可能性がある」との見通しを示しました。
まずは感染者数がピークアウトするまでは、その上限も危ぶまれる状態が続くことになりそうです。
なお、感染者数が千人を超えたばかりの週が調査対象週となる今回の3月雇用統計では、それほど悪い結果も想定されませんが、4月の雇用統計では、衝撃的な数値が示されることになりそうです。
2日のNY金相場は+46.3ドル、2.91%の大幅高となって4日ぶりの反発。3月24日(+93.2ドル、5.95%)以来の上げ幅で今年4番目の急騰となり、3日ぶりに1600ドル台を回復。前日時間外からNY市場、そしてこの日の時間外まで1610ドルが上限となって上値を押さえられ続けた状態を打破するきっかけとなったのはNY朝の新規失業保険申請件数。2週連続のビッグ・サプライズに1610ドルの節目を超えると1620ドル後半までの急騰で反応。その後トランプ米大統領による「サウジアラビアとロシアの原油減産見通し」ツイートを受けてNY原油が20%超の急騰。急落していた米株も急反発となった流れのなかでもNY金は揉み合いながらさらに水準を切り上げる展開となり、NY午後には1640ドル台へ。1590ドルを当面の下値サポートとして1660ドルを上限に乱高下状態での保ち合いを形成。上方ブレイクとなれば1680ドル台へと水準を切り上げる展開にも。逆に巻き戻しの展開で下方ブレイクとなった場合には2月安値圏1550ドル台までが下値目安に。
NYプラチナは+12.2ドル、1.7%の反発。暴落状態からの急反発一服後の小康状態となり、直近3日の変動値幅は20ドル余りで今年2月以降の平均42.3ドルの半分程度の小動き。きっかけがあれば再びボラティリティ急拡大の展開にも。720ドル台を中心とした保ち合い推移の展開はこの日も続き、NY市場以降は730ドルの上限ラインとの攻防が続く状態。このまま730ドルと20日移動平均線(731.2)をしっかりと超えていくことができれば上値トライ再開で760ドル近辺までが上値目標。逆に710ドル台の保ち合い下限割れとなれば、下値トライ再開で大底後の戻り水準650ドル台までが下値目安に。
ドル円は80銭超、0.78%のドル高円安となって7日ぶりの反発。107円20銭から40銭台までの小幅保ち合いでの小康状態が続いた後、NY朝には失業保険申請件数の結果を受けて株安の流れとともに107円00銭台まで小幅に急落。107円を割れない底堅さを見せて下げ渋ると、トランプ米大統領の原油に関する楽観ツイートを受けてNY原油が急騰し、米株も急反発、ドル円も108円まで1円の急騰。107円ラインが当面の下値サポートなる可能性を残し、3月高値から4月1日安値までの23.8%戻し(108.05)を達成。意外とそれほど悪くない今回の雇用統計の結果を一時的に好感してもう一段の反発へと向かえば38.2%戻し(108.75)辺りまでが上値目安にも。ただし、3月のISM非製造業景況指数が既に予想以上に悪化している可能性もあり、そうなれば下値トライの展開にも。107円を割りこめば、3月の急落後の戻り水準105円台前半までが下値目安にも。
※参考:金プラチナ相場とドル円 NY市場4/2終値とチャート
3日の国内金価格は+109円、1.83%の大幅続伸。今年安値3月17日の5648円から3月高値25日の6356円までの半値戻し(6002)と21日移動平均線(6018)超えを達成し、38.2%戻し(6086)付近まで上昇。現状水準は3月高値から4月安値1日の5912円までの38.2%戻し(6082)にも相当し、落ち着きやすいところ。直近急落幅の半値戻し(6134)を達成できれば9日移動平均線(6110)も超えて強気相場再開へも。
週間ベースでは-115円、1.86%の反落。
プラチナ価格は+28円、1.02%の大幅続伸。2730円を当面の下値サポートとして切り返し、反発基調再開への動き。しかしながら、NYダウとの90日相関係数が過去最大となるNYプラチナは上値を押さえられる状態が続き、二番底トライへの警戒感も高まる米株の動向にも大きく左右される状態に。2730円を割り込んだ場合、短期的には2680円近辺までが下値目安となり、勢いが強まれば2600円近辺までが意識される展開にも。なお、今回の雇用統計では調査期間の関係からそれほど酷い結果にはならないはず。ただし、4月以降の悲惨な結果は避けられず、それを織り込み始めると下方圧力へ。
週間ベースでは-113円、3.93%の反落。
※参考:金プラチナ国内価格4/3とチャート
- 2020年4月3日(金)時点の相場
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国内金 : 6,074 円 4/3(金) ▲109(1.83%) 国内プラチナ : 2,760 円 4/3(金) ▲28(1.02%) NY金 : 1,637.7 ドル 4/2(木) ▲46.3(2.91%) NYプラチナ : 730.0 ドル 4/2(木) ▲12.2(1.70%) ドル円 : 107.98 円 4/2(木) ▲0.84(0.78%)
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