金プラチナ短期相場観
米6月鉱工業生産、前月比60年ぶり急騰も前年比では-10%超
更新日:2020年7月16日(木)
FRBが発表した米6月の鉱工業生産は、前月比+5.41%。過去最大の落ち込みとなった4月の前月比-12.7%が大底となり、5月の前月比+1.38%を経て急回復。1959年12月(+6.18%)以来、60年半ぶりの急騰。
経済活動再開により、回復基調が急速に進行し始めた状態が示されたようです。
ただし、前年比では-10.82%。10ヵ月連続の前年割れとなり、直近3ヵ月は連続で10%超の落ち込みとなっています。
大底となった4月には前年比-16.25%。リーマンショック後の最大の落ち込みとなった2009年6月の前年比-15.33%を超え、1946年6月(-20.64%)以来、実に73年10ヵ月ぶりの落ち込みとなっていました。
そこから5月には前年比-15.36%となってリーマン後の大底を超える落ち込みが続き、6月になってようやく回復基調が進行していることを示す結果となったようです。
それでもコロナ前の水準からは大きく下回った状態が続いています。
FRBが同じ日に公表したベージュブック(地区連銀経済報告)では、「経済活動はほぼ全ての地区で上向いたが、パンデミック前の水準はなお大きく下回った」状態であることを指摘し、見通しは「依然として極めて不透明」であるとしています。
鉱工業生産指数は、その典型例となっています。
15日のNY金相場は+0.4ドル、0.02%の小反発。調整が進みそうで進まず、1800ドル台の高値圏を維持して値固めの様相にも。前日NY引け後の米モデルナのワクチン進展報道を好感する流れは終日続き、ダウは4日続伸でアイランドリバーサルの窓埋め、欧米株高の流れが重石となる一方、為替ではユーロドルの4ヵ月ぶり高値に牽引されてドルインデックスは1ヵ月ぶり安値で今年安値圏へとドル安の流れがサポートにも。ユーロ高ドル安が進行した欧州時間に1820ドルの保ち合いレンジ上限付近まで上昇したNY金は、株高の勢いが強まったNY朝に1804ドルまで下押し。NY午後には1810ドル台を回復してレンジ半ばで小康状態に。引き続き小幅保ち合いで上下両睨みの構え、1820ドル超へと抜け出せば1840ドル程度までの高値更新トライへ、1800ドル割れなら1770ドル台までが調整目安に。
NYプラチナは+6.4ドル、0.76%の反発。この日の変動値幅は上下17.8ドルに留まり、今年の平均35.4ドルのほぼ半分。前日NY引け後に840ドル台を回復後、ほぼ840ドル台での保ち合い推移。NY朝に850ドルまで上昇後、840ドル割れへと乱高下の展開も一時的にとどまり、840ドル台半ばへと収束。20日移動平均線(838.0)にもサポートされ、下値トライへの流れは巻き戻される形となり、830ドル台を下限に860ドル台までを主要レンジに保ち合いの様相に。あらためて20日線を割り込むようなら下値トライ再開も、下値目安は810ドル台辺りまで。
ドル円は30銭余りのドル安円高、0.31%の続落で107円割れ。東京時間は現状維持の日銀政策会合と黒田総裁会見にも無風、107円20銭台を中心に膠着状態が続くも東京市場終盤からはワクチン相場の様相となって欧米株高の流れが急進。107円割れのドル円は下値サポートの106円90銭付近で下げ渋るも、欧州時間にはユーロ高主導のドル安の流れが加速して一時106円60銭台まで下落。しかし日本時間24時のロンドンフィックスにかけて急速に買い戻されると節目の106円90銭台を回復。目先は106円90銭から107円台前半、30銭台辺りまでを上限に小幅保ち合いとなり、流れとしては下方向優勢ながら、106円60銭台の安値を今週2度、下ヒゲでつけたことでダブルボトムとなって反発への可能性も。いずれにしても保ち合い放れの方向へボラティリティ拡大も予想され、下方向なら3月中旬の戻り途中での保ち合い水準104円台後半、上方向なら6月高値109円台後半までが目標に。
※参考:金プラチナ相場とドル円 NY市場7/15終値とチャート
16日の国内金価格は-16円、0.23%安で3日ぶりの反落。最高値更新継続への可能性もあった流れはいったん小休止。それでも9日移動平均線(6775)にサポートされ、21日移動平均線(6685)がその下に控え、さらに90日、200日移動平均線などが遥か下方で、しかも全て右肩上がりで昇順に並ぶ超強気のパーフェクトオーダーもそろそろ1ヵ月。9日線を割れても高値保ち合い圏内での小幅調整、6750円の節目割れなら6700円前後までが下値目安となり、それでも21日線にも届かない強気相場。高値再更新なら、6860円近辺までが次の上値目標に。
プラチナ価格は-23円、0.73%の続落。3100円から3180円台までのレンジ半ばで折返し、上限を3150円に切り下げて保ち合いレンジを縮小、9日移動平均線(3130)も割り込んで短期強気トレンドを維持できない弱さも。保ち合い下限3100円の節目を割れると一段安へ、下げ止まって水平移動中の21日移動平均線(3089)も割れて3050円前後までが下値目安に。3150円超へと切り返すことができれば上値トライ再開へ、5月高値3220円台が上値目標に。
※参考:金プラチナ国内価格7/16とチャート
- 2020年7月16日(木)時点の相場
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国内金 : 6,800 円 7/16(木) ▼16(0.23%) 国内プラチナ : 3,122 円 7/16(木) ▼23(0.73%) NY金 : 1,813.8 ドル 7/15(水) ▲0.4(0.02%) NYプラチナ : 843.2 ドル 7/15(水) ▲6.4(0.76%) ドル円 : 106.94 円 7/15(水) ▼0.33(0.31%)
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PIVOT指数から見るNYプラチナ相場サポート&レジスタンスライン