金プラチナ短期相場観
失業保険申請件数は3週ぶり減少でコロナ後最少も金は最高値更新
更新日:2020年8月7日(金)
米労働省が発表した週間新規失業保険申請件数は8月1日までの週には118.6万件となり、前週の143.5万件からは24.9万件の減少。2週連続で増加していた状態から、再び減少傾向に転じた形となり、3月21日までの週から急増したコロナ後の20週では最少。
継続受給者数も7月25日までの週には1610.7万人となり、4月11日までの週以来、15週ぶりの低水準。これも前週には増加していたものの、再び減少に転じています。
労働市場の回復基調鈍化は一時的だった可能性を示す結果となりました。
これで、前日のADP雇用の下振れと、この失業保険の減少軌道回復とトランプ発言への警戒感との合せ技とで、雇用統計の予想も上下両睨みということにもなりそうです。
ただし、新規失業保険申請件数は依然として100万件を超えるハイペースを維持し、コロナ前の過去最大69.5万件の1.7倍。
継続受給も前週比では84.4万人の大幅減も、2週前からはわずかに4.4万人減。前の週に一時的に急増したと見れば、継続受給者数の減少ペースは鈍化した状態が続いており、コロナ前の過去最大663.5万人の2.4倍。
米労働市場の回復基調鈍化を見越した訳ではなさそうですが、NY金の最高値更新は続き、この日は2080ドル台まで上昇。
6日のNY金相場は+20.1ドル、0.98%高で5日続伸。連日の最高値更新で終値ベースでは2069.4ドル、最高値は2081.8ドル。しかしNY引け後の時間外で既に最高値は2089ドルまで更新中。雇用統計前であることはもはや関係なし。過熱感を示すRSIはMAX状態で横ばい推移となり、指標の役目をなさず、一方的な上昇基調を傍観状態。前日NY引け後に一時的に2050ドル割れとなったのがこの日の安値となり、利益確定売りで少しでも値が下がればすかさず押し目買いが入ってコンスタントに下値を切り上げる展開となってNY市場では2070ドルをはさんでの保ち合い。雇用統計での多少の好結果では調整も限定的となることも予想され、週末にもかかわらず押し目買いでさらに水準を切り上げるような展開もありか。ネガティブな結果となってドル安に株安も加わるような展開となった場合には2100ドルの節目を大きく超えて行くような展開にも。短期サポート候補は2000ドル。
NYプラチナは+24.8ドル、2.51%の大幅高で5日続伸。5日続伸は7月23日まで以来、2週間ぶりで今年3度め。水準としては1月22日(1021.3)以来、6ヵ月半ぶり高値。ロンドン・NY市場にかけては1000ドルの大台をはさんでの保ち合いとなったものの、金の堅調推移に追随する形でNY午後には下値を切り上げて1020ドルトライ。990ドルの節目突破後の短期上値目標1020ドル付近にも到達し、引け後には1030ドルへとさらに上値を試す勢いも。雇用統計後に金が一段高となるようなら、追随する展開で今年最高値1046.7ドルが意識されるような展開にも。下値サポートは910ドル。
ドル円は5銭程度のドル安円高、0.05%の小幅安で3日続落。105円50銭をはさんでの小幅揉み合いに終始、ややドル安円高方向優勢の流れのなかでも方向感喪失状態を示す小幅十字線を形成。米10年債利回りは過去最低付近、ドルインデックスは2年3ヵ月ぶり安値水準での推移が続き、雇用統計の結果次第では最低金利更新ともう一段のドル安進行も予想され、東京市場が休場となる週明けには夏休みの円高リスクが強まる事態への警戒感も。これらが重なるようだと7月安値を下回り、104円割れを試すような展開にも。ポジティブ・サプライズなら106円の抵抗線を突破して90日移動平均線(107.26)を目指す流れにも。
※参考:金プラチナ相場とドル円 NY市場8/6終値とチャート
7日の国内金価格は+117円、1.55%の大幅高で3日続伸。3日連続、8月は4度めの過去最高値更新。雇用統計後に上方向へと跳ねた場合に意識されやすい水準として想定していた7650円辺りを、雇用統計前に早々のクリア。NY金が2100ドル近辺まで上昇した場合に想定していた水準は、ドル円の膠着状態にサポートされて早期達成された格好にも。これで3連休をはさむことになる国内金価格は、連休明けにまた値が飛ぶ可能性も。雇用統計の結果次第で7700円台か、7500円近辺か、という展開にも。ドル円膠着に伴い、NY金との短期相関関係は過去最大、ドル円との短期逆相関関係も過去最大。
週間ベースでは+480円、6.67%の大幅高で3週続伸。上昇率では3月23日からの週(+507円、8.92%)以来4ヵ月半ぶり、2012年以降では2番めの急騰。
プラチナ価格は+74円、2.07%の大幅高で5日続伸。5日続伸以上は7月末以来、1週間ぶりで今年3度め。水準としては2月25日(3731)以来、5ヵ月半ぶりの高値。形成的に雇用統計はあまり良くない結果のほうが優勢とも思われるものの、トランプ発言もケアせざるを得ず、上方向には3700円台へと一段高の可能性も。下方向には祝日の円高も配慮すると、3500円ラインがやはり重要なサポートに。
週間ベースでは+328円、9.86%の大幅高で6週続伸。上昇率では3月23日からの週(+432円、17.7%)以来4ヵ月半ぶり、2010年以降では2番めの急騰。6週続伸は2018年1月以来、2年半ぶり。
※参考:金プラチナ国内価格8/7とチャート
- 2020年8月7日(金)時点の相場
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国内金 : 7,676 円 8/7(金) ▲117(1.55%) 国内プラチナ : 3,655 円 8/7(金) ▲74(2.07%) NY金 : 2,069.4 ドル 8/6(木) ▲20.1(0.98%) NYプラチナ : 1,013.9 ドル 8/6(木) ▲24.8(2.51%) ドル円 : 105.53 円 8/6(木) ▼0.05(0.05%)
トランプ・サインどおり雇用指標は大きな数字で金も調整 8/8(土)
失業保険申請件数は3週ぶり減少でコロナ後最少も金は最高値更新 8/7(金)
トランプ期待の金曜の雇用指標は下振れ懸念、金の高値2070ドル 8/6(木)
実質金利は過去最低、金価格は2000ドル新時代 8/5(水)
ISM製造業景況指数は混乱期を経て7月に回復基調へ 8/4(火)
PIVOT指数から見るNY金相場サポート&レジスタンスライン
PIVOT指数から見るNYプラチナ相場サポート&レジスタンスライン