金プラチナ短期相場観
NYプラチナ、今年安値からの上昇値幅では金を逆転
更新日:2020年11月25日(水)
「米国第一」主義との決別を表明するバイデン次期政権への移行プロセスがようやく正式にスタートした日、当たり前のことがやっと始まったことを市場は好感、コロナワクチン開発の進展やイエレン前FRB議長の財務長官人事なども好感され、NYダウは史上初の3万ドル超え。
ダウは今年3月、コロナショックでつけた終値ベースでの今年安値が18591.93ドル。それがこの日は30046.24ドル。上昇値幅は11454.31ドルに達し、上昇率では61.61%。
今年安値からの上昇率では、NYプラチナもダウに迫る水準となっています。
NYプラチナは3月19日に今年安値596.8ドルまで下落し、この日は958.3ドル。上昇値幅は361.5ドル、上昇率では60.57%。
なお、8月6日には終値で1013.9ドルまで上昇しており、この時点での上昇値幅は417.1ドル、上昇率では現在のダウを凌ぐ69.89%となっていました。
また、NY金の今年安値は3月18日の1477.9ドル、この日は1804.6ドルとなり、上昇値幅は325.3ドル、上昇率では21.99%。
今年安値からの上昇値幅では、5月から6月にかけての一時期を除き、これまでのほぼ全ての期間、特に夏以降は金がプラチナを大幅に上回る状態が続きました。
それがこの日、遂にプラチナが金を逆転。今年安値からの上昇値幅で金を上回り、上昇率では3倍近くに達しています。
8月6日、NY金の終値ベースで過去最高値となった2069.4ドルまでの上昇値幅では590.1ドル、上昇率では39.89%となっていました。
もし、NYプラチナのコロナ後の上昇値幅が今後、金の590.1ドルを上回るような事態となった場合、NYプラチナ価格は1200ドル近くまで上昇することになります。
24日のNY金相場は-33.2ドル、1.81%の大幅続落。7月16日(1800.3)以来、4ヵ月ぶりの安値。ワクチン開発が進展するなか、バイデン次期政権への移行プロセスを一般調達局(GSA)が許可し、イエレン前FRB議長が財務長官候補として有力視される状況となってNYダウは史上初の3万ドル超。安全資産としての金は前日に続いて売られる展開、時間外には1830ドルから1820ドル台へと水準を切り下げ、下値目安1820ドル近辺では下げ渋る状態もロンドン序盤まで、これを割り込むと一段安となってNY朝にかけては一時1800ドルの大台割れ。右肩上がりを維持する200日移動平均線(1800.1)にサポートされて下げ止まり。いったんは落ち着きやすい水準まで下げた状態か。さらなる下値警戒水準としては3月安値から8月最高値までの半値戻し(1770.1)。
NYプラチナは+26.6ドル、2.85%の大幅反発。前日の急落から時間外には930ドル台から940ドル台へと反発の動き、ロンドン市場では金の急落に連れる形で930ドル割れへと反落も、これが押し目となってNY市場では株高の流れに追随、急騰局面を形成して960ドル台へ。NY午後には960ドルをはさんでの揉み合いを経て引け後には960ドル台を維持しての推移。このまま節目の960ドル超を維持できればもう一段上値を伸ばす展開にも、9月高値圏980ドル近辺が上値目標に。下方向には930ドルがサポート、割れると900ドル付近までが下値目安に。その手前、90日移動平均線(916.2)もサポート候補。
ドル円は7銭ほどのドル安円高、0.07%の小幅安で3日ぶりの反落。リスクオンのドル安と株高円安の流れで方向感は定まり難い状態に。欧州時間にはドイツIFO企業景況感指数が予想を上回ったことなどもあり、ユーロ高ドル安の流れに連れて104円半ばから104円10銭台まで下落。NY午前にかけては巻き戻しの展開となってドル高主導で一時104円70銭台まで反発。しかしNY午後には株高ドル安の流れが優勢となって104円40銭台へと収束。ほぼ下げ止まって水平移動し始めた20日移動平均線(104.46)付近で落ち着き始めた様子も。下方向には103円70銭台のサポートに104円付近で底堅さも、上方向には105円半ばの抵抗水準に105円ラインに抵抗感も。
※参考:金プラチナ相場とドル円 NY市場11/24終値とチャート
25日の国内金価格は-95円、1.41%の大幅安となって5日続落。5日続落は9月以来2ヵ月ぶりで今年4度め。水準としては6月26日(6622)以来、5ヵ月ぶりの安値。NY金の下げ幅拡大に伴い、想定水準6700円を大きく下回り、中期的な下値サポートと想定していた200日移動平均線(6682)も下抜け。コロナショックの時でも下回らなかった200日線を下回るのは2018年12月3日以来、ほぼ2年ぶり。3月安値から8月最高値までの半値戻し(6662)も下回り、中期的に意識される次の節目は61.8%戻し(6423)。リスクオンでドル安・金安となりやすい状況となり、目先しばらくは上値の重い展開にも。短期的にはやや行き過ぎの感とNY金の一服感からいったんは下げ止まりも。
プラチナ価格は+96円、2.84%の大幅反発で9月17日(3531)以来、2ヵ月ぶりの高値。3410円の節目上抜けに伴う上値目標3450円近辺もオーバーラン。堅調推移のNYプラチナの上昇余地から想定される行き過ぎ水準としては3500円の大台回復も。下方向には3370円が当面のサポート、割れると3310円近辺までが下値目安に。
今年8月5日には4052円まで拡大した金との価格差は3164円となり、3月17日以来8ヵ月ぶりの水準まで急縮小。
※参考:金プラチナ国内価格11/25とチャート
- 2020年11月25日(水)時点の相場
-
国内金 : 6,635 円 11/25(水) ▼95(1.41%) 国内プラチナ : 3,471 円 11/25(水) ▲96(2.84%) NY金 : 1,804.6 ドル 11/24(火) ▼33.2(1.81%) NYプラチナ : 958.3 ドル 11/24(火) ▲26.6(2.85%) ドル円 : 104.46 円 11/24(火) ▼0.07(0.07%)
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