金プラチナ短期相場観
11月PMI速報値は米欧で明暗、ドル高ユーロ安で金も急落
更新日:2020年11月24日(火)
新型コロナ感染者数が急増し、部分的ロックダウンなどの行動規制も伴う状況は同じ米欧でも11月PMI(購買担当者景気指数)は明暗分かれる結果に。
IHSマークイットが発表したユーロ圏総合PMI、11月速報値は45.1。市場予想の45.6を下回り、10月の50.0からは-4.9ポイントの急低下、4ヵ月続落となって5ヵ月ぶりの節目50割れ、5月(31.9)以来半年ぶりの低水準。
過去最低の13.6となった4月から3ヵ月後の7月に54.9まで急回復したところでピークアウト、その後は節目50以上は維持しながらも回復基調は減速、ここに来て景気縮小を示す50割れへと急降下。足下での新型コロナ感染第2波の急拡大と部分的ロックダウン再開などの規制強化の影響がそのまま反映された格好です。
これに対して米国の総合PMIは57.9となり、10月の56.3から上昇して2015年3月以来、5年8ヵ月ぶりの高水準。製造業とサービス業ともに市場予想を上回る好結果となり、サービス業PMIは57.7となって総合指数と同じ5年8ヵ月ぶり高水準。製造業PMIは56.7となって10月の53.4からは3.3ポイントの急騰、7ヵ月続伸となって2014年9月(57.5)以来、6年2ヵ月ぶりの高水準。
製造業PMIの推移で見れば、米欧同じような推移での回復基調が10月までは続いていましたが、11月になって逆行。大統領選をひとまず終えてビッグイベント通過に伴う不透明感払拭とともに、最近のワクチン開発状況なども米国のPMI急騰をサポートした可能性もありそうです。
なお、ユーロ圏では製造業PMIの小幅低下に対してサービス業PMIの落ち込みが大きい状態が続き、ドイツの小幅低下に対してフランスの落ち込みが大きい状態も続きます。
ユーロ圏の総合PMIが4ヵ月合計で-9.8ポイントとなったのに対して、ドイツは-3.3ポイント、フランスは-17.4ポイントもの急落。ドイツが52.0と節目50以上を維持しているのに対し、フランスは39.9となって3ヵ月連続の50割れ、半年ぶりの40割れ。
ドイツではやはり中国向けの輸出が好調で中国景気の好調に支えられていますが、部分的なロックダウンを12月20日まで延長する可能性も浮上しているようです。その一方で、ドイツでのコロナワクチン接種も早ければ12月に開始する可能性もあるようです。
ユーロ圏のPMIは12月の急回復はまだ難しそうですが、年明け以降には急回復へと向かう可能性もありそうです。
23日のNY金相場は-34.6ドル、1.85%の大幅反落。週明け時間外は1870ドル付近での小康状態でスタート、週末の英アストラゼネカとオックスフォード大学の共同開発ワクチンの好結果報道を受けて株高の流れが強まり始めたロンドン時間には米10年債利回りも上昇したことも重石となり、1860ドル台へと軟調推移。NY市場では米11月PMIが予想以上の好結果となり、低調だったユーロ圏との対比も意識されてユーロ安ドル高の流れが急進、これには敏感に反応して1860ドルのサポート割れ。1830ドル台まで急落の展開となり、一時1828ドルまで下落。下値目安となっていた7月後半の急騰前水準1820ドル近辺にいきなり急接近。比較的重要なサポートを割り込んでしまったことから、短期的には1820ドル前後まで若干の下げ余地も残し、再度下値トライへと向かいやすい状態にも。さらに中期的には3月安値から8月最高値までの38.2%戻し(1845.4)も割り込んだことにより、50%戻し(1770.1)から200日移動平均線(1799.0)も推移する1800ドルの大台ライン付近までが意識されることにも。
NYプラチナは-25.5ドル、2.66%安となって8日ぶりの反落。先週末、高値圏での十字線が示唆したとおりの展開に。週明け時間外は950ドル台での小幅保ち合いからロンドン市場にかけては940ドル台へと水準を切り下げてボラティティも拡大、NY市場では金にも追随する形で930ドル台へと急落、安値では一時920ドルまで下落。調整目安となっていた8月高値から9月安値までの50%戻し(928.4)から930ドル近辺に到達したことから、目先は960ドルを上限としていったんは落ち着きやすいところ。下値は緩やかに上昇する90日移動平均線(915.1)がサポート候補。上限突破となれば9月高値圏980ドル近辺までが上値目標に。
ドル円は67銭のドル高円安、0.65%の続伸で1週間ぶりの高値。先週末の小康状態を受け継ぐ形で休場となった週明け東京市場の時間帯も103円70銭台を中心に小幅揉み合い推移。NY時間にはマークイットの米11月PMI速報値の好結果をきっかけにドル高急進となって103円70銭近辺から104円60銭台まで、1円弱の急騰。結果的に11月6日安値103円10銭台から11日高値105円60銭台までの76.4%戻し(103.77)付近で下げ渋って反発し、50%戻し(104.43)、20日移動平均線(104.46)などを上抜けて38.2%戻し(104.73)付近まで上昇。下押し圧力は緩和され、下落トレンド脱出に向けては下落基調の90日移動平均線(105.43)も推移する105円半ばが当面の抵抗水準であり、重要な攻防ライン。これを上抜けることができれば106円台へと水準を切り上げる可能性も高まり、トレンド転換も視野に。
※参考:金プラチナ相場とドル円 NY市場11/23終値とチャート
24日の国内金価格は-57円、0.84%安で4営業日続落。7月7日(6724)以来、4ヵ月半ぶりの安値。NY金のサポート割れに伴い、下値模索の展開を余儀なくされ、NY金が1830ドルまで下げた場合の想定価格6700円程度に急接近。短期的には引き続き6700円程度までの下げ余地は想定され、中期的には200日移動平均線(6679)、3月安値から8月最高値までの半値戻し(6662)などが意識されやすい状況に。
プラチナ価格は-32円、0.94%安で3日ぶりの反落。短期上値目標3400円台到達に伴う一服となり、目先は3340円台から3410円までのレンジで上下両睨み。短期的な流れは上昇基調を維持しながらも、軟調な金に連れ安となりやすい面も。上方向に抜け出すことになれば8月高値から11月安値までの61.8%戻し(3441)から3450円近辺までが上値目標に。下方向へと向えば10月末高値圏3280円台までが目安に。
※参考:金プラチナ国内価格11/24とチャート
- 2020年11月24日(火)時点の相場
-
国内金 : 6,730 円 11/24(火) ▼57(0.84%) 国内プラチナ : 3,375 円 11/24(火) ▼32(0.94%) NY金 : 1,837.8 ドル 11/23(月) ▼34.6(1.85%) NYプラチナ : 931.7 ドル 11/23(月) ▼25.5(2.66%) ドル円 : 104.53 円 11/23(月) ▲0.67(0.65%)
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