金プラチナ短期相場観
独仏逆転、ユーロ圏PMIはサービス業減速で11ヵ月ぶり低水準
更新日:2022年1月25日(火)
ユーロ圏総合PMIは1月速報値で52.4。市場予想を若干下回って12月からも0.9ポイントの低下で続落、2月(48.8)以来、11ヵ月ぶりの低水準。節目50超を回復した3月以降では最低水準。
製造業PMIが59.0となって10ヵ月ぶり低水準となった12月からは1.0ポイント上昇、5ヵ月ぶり高水準へと反発したのに対し、サービス業PMIは51.2。前月比-1.9の続落で4月(50.5)以来、9ヵ月ぶりの低水準。
ユーロ圏では、オミクロン株拡大に伴う行動規制などの影響でサービス業の減速傾向が続き、供給制約緩和の恩恵を受けて減速基調に歯止めの兆しとなった製造業の改善分を相殺してしまった格好に。
サービス業の減速傾向が顕著に表れたのがフランス。サービス業PMIは53.1で前月比-3.9の急低下、続落で4月(50.3)以来9ヵ月ぶりの低水準。フランスは製造業PMIも55.5にとどまって前月からわずかに-0.1、3ヵ月連続55ポイント台を維持しながらも小幅に続落。結果、フランスの総合PMIは52.7で前月比-3.1の急落。1年2ヵ月ぶりの急低下で4月(51.6)以来9ヵ月ぶりの低水準。
製造業の改善傾向を支えたのはドイツで、製造業PMIは60.5。前月比+3.1の急上昇となって5ヵ月ぶりの60超。ドイツはサービス業PMIも52.2で前月比+3.5。急上昇で2ヵ月ぶりに節目50超を回復。この結果ドイツの総合PMIは54.3となって前月の50割れから+4.4。9ヵ月ぶりの急騰で4ヵ月ぶりの高水準。総合PMIでドイツがフランスを逆転するのも4ヵ月ぶり。
オミクロン株の影響で4週間の新規感染者数では一時ドイツもフランスに次いで世界4位まで上昇していた状態から、足下ではフランスが英国を上回って米国に次いで世界2位、ドイツは9位まで後退。この状況を反映したような結果にも。
なお、米国の総合PMIは1月速報値で50.8となって前月比-6.2の急低下、1年半ぶりの低水準。供給問題緩和の兆しは見られるものの、サービス業の減速が足を引っ張る構図は世界共通ながら、ユーロ圏以上の落ち込みとなって利上げフェーズスタートに向けての懸念材料に。その反面、感染者数ピークアウトの兆しが続けば今後のPMIとFRBの支援材料にも。
24日のNY金相場は+9.9ドル、0.54%高で3日ぶりの反発。週末の下落分を取り戻して高値圏での小幅保ち合いを形成。週明け時間外は1830ドル台での揉み合いから、ロンドン時間にかけては米10年債利回り低下にも連れて週末高値をわずかに上回り、保ち合い上限1845ドル近辺まで上昇。しかしFOMC前のタイミングで節目を突破して一段高へと向かう程の勢いと材料にも欠け、ドル高の勢いが強まったNY朝には1830ドル近辺まで急反落。ただしNY午後にはウクライナ情勢への警戒感からダウが一時1100ドル超の下落などリスク回避の株安の流れが急速に進行したことを受けて1840ドル台へと急反発。その後は米株が買い戻されてプラス圏回復も、NY金は引けにかけても1840ドル台での高止まり。目先はFOMC待ちの一服も、1840ドル台の上限超えなら1860ドル台までの上値余地拡大も。下方向へ1830ドル割れなら1800ドルの大台近辺までが短期調整目安に。
NYプラチナは-14.8ドル、1.43%の続落。時間外は1030ドル台での小幅保ち合い推移から、ロンドン序盤に1040ドル台まで上昇して戻り売り。金にも連れてNY午前にかけて1010ドル割れ、安値では一時1000ドル台前半まで下落も、下値サポート候補1000ドルの大台ライン近辺で切り返し。金の反発局面に追随する形でNY引けにかけては1020ドル台を回復。11月高値から12月安値までの半値戻し(999.6)近辺でサポートされ、61.8%戻し(1026.3)近辺で落ち着いた格好にも。引き続き1000ドルの大台近辺から1050ドルまでが主要レンジとなり、上抜けなら1070ドル近辺まで上昇余地拡大、下方向へ大台割れなら38.2%戻し(972.8)、970ドル近辺までが下値目安に。
ドル円は29銭のドル高円安、0.26%高となって5日ぶりの反発。週末に下げ渋った安値113円60銭近辺から、週明け東京朝には113円90銭台へと反発。しかし114円ラインが重く、上げ渋る状態が続くと東京市場終盤から欧州時間にかけては米10年債利回りが急低下した流れにも連れ、今年安値を更新して113円40銭台まで下落。12月20日(113.33)以来、1ヵ月ぶり安値水準で下げ渋ると、NY市場にかけてはウクライナ情勢悪化懸念を受けての株安・円高・ドル高のリスク回避の流れと米10年債利回りの下げ渋りにも連れて114円近辺まで反発。今朝の東京市場では一時114円10銭近辺まで上昇も、上値は重く113円80銭台へと軟調推移。先週末に114円ちょうどの節目を割り込んだことで下値トライへの流れが進行し始めたものの、下値目安113円前後に対しては113円40銭台までにとどまって切り返し。113円60銭が目先の下値サポートとなり、これを割り込むようならあらためて下値トライ再開、112円台後半を試しに行く展開にも。
※参考:金プラチナ相場とドル円 NY市場1/24終値とチャート
25日の国内金価格は+47円、0.64%高で3日ぶりの反発。揉み合い状態となっている9日移動平均線(7327)を再々の上抜けも、上昇していた9日線自体が失速、横ばい推移となって不完全なパーフェクトオーダー。しかし、保ち合い下限は7320円に、徐々に下値切り上げるアセンディングトライアングル(上昇三角形)の保ち合い形成の様相に。勢いは減速傾向ながら、確率的には上抜け優勢となりやすい三角保合い形状となり、7380円の上限を突破することになれば一段高の展開に。7420円台程度までは上値余地拡大へ。ただし下限割れなら7260円程度までの調整局面形成も。
プラチナ価格は-20円、0.49%の続落。今年高値(4109)となった先週末からの調整局面が継続、若干の過熱感を緩和して上昇トレンド継続へと切り返すタイミングをうかがうような状況にも。上昇基調を強める21日移動平均線(3894)が90日線(3926)を上抜けるようなら勢いを増しての上値トライ再開へも。4110円超へ、今年高値更新なら一段高へ、4150円台辺りまでが短期上値目標に。11月高値から12月安値の半値戻し(4007)近辺、4000円の大台ラインが当面の下値サポート候補。
※参考:金プラチナ国内価格1/25とチャート
- 2022年1月25日(火)時点の相場
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国内金 : 7,368 円 1/25(火) ▲47(0.64%) 国内プラチナ : 4,064 円 1/25(火) ▼20(0.49%) NY金 : 1,841.7 ドル 1/24(月) ▲9.9(0.54%) NYプラチナ : 1,020.3 ドル 1/24(月) ▼14.8(1.43%) ドル円 : 113.98 円 1/24(月) ▲0.29(0.26%)
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