金プラチナ短期相場観
NY金は最高値以来、ドル円はコロナショック以来の高ボラ
更新日:2022年3月29日(火)
日銀の指し値オペ通告を受けて円安の流れが一段と加速した28日、東京市場朝には1ドル=122円台前半だったドル円は午後には123円台、夕方には一時125円台まで急騰。アベノミクスで円安急進となった流れの最終局面、2015年6月に黒田日銀総裁の実質実効為替レートでは「これ以上の円安はない」発言を受けてドル円が天井をつけた、いわゆる黒田シーリング、125円80銭台も意識される水準まで上昇しました。
その後NY市場にかけては123円台へと急反落したドル円のこの日の変動値幅は上下3円10銭余り。今年ここまでの平均変動値幅76銭の4倍以上。1日あたりの変動値幅が3円を超えるのはコロナショック時の2020年3月13日(3.82円)以来、2年超ぶりの大幅変動。
この結果、ドル円の1日あたりの変動値幅の月間平均は、3月はここまでで95銭。1日平均でほぼ上下1円の変動となるのは2020年3月の1円95銭以来、月間平均でも2年ぶりの高ボラティリティ、大荒れ月に。
なお、NY金の1日あたりの変動値幅月間平均は3月ここまでで41.1ドル。過去最高値を更新した2020年8月の52.2ドル以来、1年7ヵ月ぶりの高ボラティリティ、大幅変動月。
NY金でも現状は、28日終値1940ドル付近を中心とした場合に、上方向へは1960ドル程度、下方向へは1920ドル程度までが平均的な値動きとなります。一方的な値動きとなれば上方向へは1980ドル近辺、下方向へは1900ドル近辺程度までの変動も想定されます。
ドル円の場合には、124円を中心とすればドル高方向へは124円50銭、円高方向へは123円50銭程度までが平均的な値動きとなり、一方的な値動きとなれは上方向へは125円再トライ、下方向には123円までの調整が、普通に想定されます。
28日のNY金相場は-14.4ドル、0.74%の続落。直近の短期上値目標1970ドル近辺到達後の調整局面が継続、先週末の1950ドル台での小幅保ち合いを維持して週明け時間外をスタート後、アジア時間には米長期金利上昇とドル高の流れが強まって軟調推移、ロンドン時間には対面での停戦協議進展期待などから株高の流れも強まって1930ドル割れ。1920ドルの節目手前でいったん下げ渋るとNY朝には1940ドル台半ばまで反発も、1930ドル台での保ち合いからNY引け後には一時1920ドル割れ。しかし下値サポート1920ドル近辺では底堅さも。目先、下値サポートを維持できれば1960ドル台までのレンジで保ち合い形成へ、維持できなくなれば1890ドル前後までを目安に下値トライへ。
NYプラチナは-17.4ドル、1.73%の続落で1月18日(979.5)以来、2ヵ月ぶりの安値。週明け時間外の1008.8ドルが高値となって軟調推移。先週までのサポートライン、90日移動平均線(1007.0)がレジスタンスとなって上値を押さえられると、ロンドン時間には1020ドル割れに伴う短期下値目安990ドル前後に到達。NY市場では980ドル台前半まで下げる場面もありながら990ドルを挟んでの攻防状態となって下げ渋り。短期的には下値トライ一服となりやすい状況で、980ドル付近の安値を維持して反発できればダブルボトム形成への可能性から地合い回復へと向う可能性も。下げ止まり切れない場合には1月半ばの水準950ドル台までが一段安への目安にも。
金との価格差は948.7ドルへと拡大、2020年11月16日(960.3)以来、1年4ヵ月ぶりの水準。
ドル円は183銭のドル高円安、1.5%の大幅反発。上げ幅としては今年の平均騰落値幅39銭の4.7倍、2020年11月9日(+1.97円、1.91%)以来1年4ヵ月ぶりの急騰。終値ベースでは2015年8月18日(124.40)以来のドル高円安水準。日銀の指し値オペ通告で円安急進となった流れで東京午前に123円台に到達すると、その後もジリ高推移。午後には一段高となって欧州時間には一時125円10銭付近まで上昇し、2015年8月12日高値(125.28)以来、6年7ヵ月ぶり高値をつけて失速。NY午後までに123円10銭台へと下落するとNY終盤には123円90銭台まで反発と荒っぽい展開に。2015年11月高値圏123円70銭台をあっさりと突き抜けて2015年8月高値圏にも到達、次なる高値目安は2015年6月高値圏125円80銭台。目先の下値サポートは122円、これを割れると120円台後半辺りまでが調整目安に。
※参考:金プラチナ相場とドル円 NY市場3/28終値とチャート
29日の国内金価格は-61円、0.73%の続落。円安急進もNY市場では大幅反落、重要な節目水準125円台に到達し、ピークアウト意識されやすくなることからも為替の値動きが急激に荒っぽくなり、国内金価格も不安定な動きとなりやすい状況にも。短期調整目安としては引き続き3月16日から最高値までの23.6%戻し(8300)、38.2%戻し(8241)近辺などが意識されやすく、上方向へ高値更新となれば8440円台までが短期上値目標。
プラチナ価格は-15円、0.35%の続落で3月17日(4241)以来の安値。4290円台の節目割れに伴う短期下値目安4200円近辺に対して円安サポートで下げ渋り。もう一段の下落余地を残しながらもNYプラチナが下落一服となれば浅めの下押しで切り返す展開にも。上方向には4350円台の節目を突破できたなら上値トライ再開へ、4440円近辺までが短期上値目標に。
※参考:金プラチナ国内価格3/29とチャート
- 2022年3月29日(火)時点の相場
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国内金 : 8,335 円 3/29(火) ▼61(0.73%) 国内プラチナ : 4,264 円 3/29(火) ▼15(0.35%) NY金 : 1,939.8 ドル 3/28(月) ▼14.4(0.74%) NYプラチナ : 991.1 ドル 3/28(月) ▼17.4(1.73%) ドル円 : 123.92 円 3/28(月) ▲1.83(1.50%)
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