金プラチナ短期相場観
雇用統計は9月も堅調、長期失業者は実質14年ぶり低水準
更新日:2022年10月8日(土)
注目された米9月雇用統計では、雇用者数の伸びは市場予想を小幅に上回りながら、鈍化傾向も継続。失業率は8月の3.7%から9月は3.5%へと低下も7月と同水準。インフレ要因の平均時給は前年比+5.0%でほぼ予想どおりも8月の+5.2%からは鈍化。
ややインパクトには欠ける結果のようにも見え、米10年債利回り上昇とドル高の流れは一方的とはならず、いったんは巻戻しも挟みながらの上昇傾向。ドル円は乱高下を挟んでの上昇も介入警戒感に上値を押さえられて伸び悩み。
しかし、急落で反応した米株はNYダウが600ドル超、2%超の下落となり、NY金も1700ドル割れへ。大幅利上げ観測が一段と強まったことも今回の雇用統計の堅調さが後押しした様子も。
賃金上昇率は8月から鈍化して今年最低となったものの、前年比の長期平均+2.9%を大きく上回る+5%近辺での推移が継続中。
失業率3.5%は7月と同水準も、2019年9月と2020年1月、2月とも並び、1969年12月(3.5)以来の低水準。この半世紀で最低水準。
また、広義の失業率を示すU6失業率は6.7%。8月の7.0%からは急低下、6月と7月と並んで過去最低。
長期失業者の割合は18.5%となり、7月に20%を割れて8月の18.8%を経て一段と低下した状態。水準としては2年1ヵ月ぶりの低水準。
ただし、コロナショックで短期失業者が急増した期間(2020/3-8)を除けば、7月の18.9%は2008年7月(18.9)以来、14年ぶりの低水準。
長期失業者の割合は実質的に14年ぶり低水準を更新し続け、改善傾向が継続中。
雇用者数の伸びはゆるやかに鈍化傾向を示し始めてはいるものの、失業率は最低レベルでの横ばい傾向が続き、賃金上昇率は高止まり、長期失業者の割合は底打ちに向けて依然、低下中。
FRBの引き締め効果による雇用情勢のゆるやかな悪化はまだ確認できず、大幅利上げを肯定する状況も続きます。
7日のNY金相場は横ばいを挟んで続落、前日からは-11.5ドル、0.87%安。週初と月初の3日(1702.0)以来の安値となり、9月安値(1622.2)から4日高値(1738.7)までの急騰値幅の23.6%戻し(1711.2)を達成。米9月雇用統計の好結果を受けての急落局面では、1720ドル近辺から一時1700ドルの大台割れ。NY午後にかけては1710ドル台半ばまで反発も、米10年債利回りが3.8%台後半で下げ渋り、ドル高優勢となった流れを受けてNY引け後には再び1700ドル付近へ。1730ドル台の抵抗水準を試すことなく失速し、下値サポート候補1700ドルの大台ライン前後までしっかり下げた格好に。目先は大台ラインとの攻防となり、9月安値から10月高値の38.2%戻し(1694.2)が目先のサポート候補にも。これも維持できないようだと半値戻し(1680.5)近辺までが短期下値目安にも。
週間ベースでは+37.3ドル、2.23%の続伸。10週ぶりで今年4番めの大幅高。
NYプラチナは-3.9ドル、0.42%の反落。920ドル台前半での小幅保ち合い推移から、ロンドン・NY朝にかけては米株の堅調推移に追髄する形で一時940ドル付近まで上昇。今週高値圏まで上昇したところで米雇用統計の結果を受け、米株とNY金の急落に追髄するとNY午後には920ドル割れ、NY引け後には910ドル台前半まで下落。910ドルから930ドル台までの小幅保ち合い上限トライ後の急反落では下限でサポートされた格好。目先、上限再トライで上方ブレイクできれば8月高値圏960ドル台までを短期目標に上値トライ再開へ。下限割れなら9月安値(796.8)から9月高値(943.5)までの半値戻し(870.2)近辺までの一段安も。
週間ベースでは+58.8ドル、6.84%の続伸。上げ幅では4ヵ月ぶり、今年3番めの大幅高。
ドル円は27銭のドル高円安、0.19%高で3日続伸。1998年8月17日(146.07)以来、24年1ヵ月ぶりのドル高円安水準を更新。雇用統計前の様子見状態で145円近辺での小康状態となった東京時間から欧州時間には144円80銭台へとやや水準を切り下げての推移。NY朝には9月雇用統計の結果を受けて乱高下。一時144円50銭台まで下げた後には145円30銭台まで急騰、145円ちょうど付近まで戻した後は徐々に堅調推移となってNY終盤には145円40銭台まで上昇。インパクトには欠けたものの、堅調な労働情勢を示す結果に大幅利上げ観測も強まり、米10年債利回りが3.88%台へと上昇した流れにも連れての上値トライへ、ただし介入警戒感も払拭しきれない145円台半ばでは自嘲気味の展開に。流れとしては高値保ち合い上抜け後の展開が続き、146円台前半までの短期上値目標を目指す状況。日米ともに祝日で株式市場が休場となる週明け10日に勢い付いて一気に到達、とならなければ13日の米9月CPI待ちへ。
週間では+61銭、0.42%高で8週続伸。8週続伸は5月に続いて今年2度め。
※参考:金プラチナ相場とドル円 NY市場10/7終値とチャート
- 2022年10月8日(土)時点の相場
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国内金 : 8,710 円 10/7(金) ▼16(0.18%) 国内プラチナ : 4,635 円 10/7(金) ▲12(0.26%) NY金 : 1,709.3 ドル 10/7(金) ▼11.5(0.67%) NYプラチナ : 917.9 ドル 10/7(金) ▼3.9(0.42%) ドル円 : 145.40 円 10/7(金) ▲0.27(0.19%)
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