金プラチナ短期相場観
介入効果持続で上げ渋るドル円、なければ今頃150円?
更新日:2022年10月7日(金)
足下では145円台に乗せてきたドル円。雇用統計直前にややフライング気味の動きのようにも見えるものの、このところ続いてきた144円台での小幅保ち合いからは、わずかに上抜けの兆し。一時的な上ブレに過ぎない可能性もあり、雇用統計の結果次第で一段高へと向かうのか、はたまた大きく巻き戻されて円高方向へと軌道修正となるのか、微妙な状況のようにも見えます。
米10年債利回りから期待インフレ率(BEI)を差し引いた実質金利と、ドル円との推移を比較すると今年3月以降、ほぼ連動状態。90日相関係数では0.9前後の強い相関状態での推移が続きます。
ところが、9月22日の円買い為替介入を境に両者の推移に乖離が。
9月後半から米10年債利回りは3.5%台後半から4%付近までのレンジで乱高下、期待インフレ率が2.2%前後での推移が続いていることから、実質金利は1.5%挟んでの乱高下状態。
一方のドル円は145円手前での横ばい推移。
もし、介入がなければ今頃は150円台での保ち合い推移となっていたかもしれません。
ドル円のボラティリティも足下では急低下。
今年年初から介入前日、9月21日までの1日あたりの平均変動値幅は1.20円。2021年平均0.58円、2020年平均0.70円などを大きく上回り、2016年(1.21円)以来の高ボラ状態となっていました。
それが介入の翌週、9月26日以降の平均は1.01円。これでも近年では高ボラ状態にはあるものの、介入前からは急縮小。
「急変動を良しとしない」政府・日銀による為替介入効果も持続中、のようです。
ただし、賞味期限が切れると再びボラティリティも急拡大へ、との警戒感もくすぶります。重要指標などがそのきっかけとなることも十分想定されそうです。
きっかけさえあれば、1ドル=150円程度までの急騰も、ありうるかもしれません。
6日のNY金相場は前日から変わらず1720ドル近辺での横ばい推移。ロンドン序盤に1730ドル台半ばまで上昇も、前日高値手前で失速するとドル高の流れに押されて急反落。NY朝には米10年債利回り上昇も加わり1720ドル割れへと一段安、それでも前日安値手前、1710ドル台半ばで下げ渋るとNY引けにかけては1720ドル近辺に収束。引き続き1730ドル台が目先の抵抗水準となって反発基調一服からの高値保ち合いの様相で雇用統計待ち。雇用統計下振れなどをきっかけに上抜けできれば上値トライ再開へ、8月高値(1824.6)から9月安値(1622.2)の61.8%戻し(1747.3)近辺、1750ドル辺りまでが短期上値目標。多少の好結果なら38.2%戻し(1699.5)近辺、1700ドルの大台ライン前後までが下値サポートに。
NYプラチナは+7.2ドル、0.79%の反発。ほぼ920ドル台での小幅レンジで揉み合い推移に終始。NY朝につけた高値は930ドル台前半、直後の小幅急反落でつけた安値も910ドル台半ばまで。この日の変動値幅は15.3ドルにとどまって今年の平均31.0ドルの半分、今年5番めの小動き。910ドルから930ドル台までの小幅保ち合いを形成して雇用統計待ちへ。上方ブレイクできれば上値トライ再開へ、8月高値圏960ドル台までが短期上値目標に。下方ブレイクの場合には8月後半の保ち合い形成水準870ドル近辺までが下値目安に。
ドル円は48銭のドル高円安、0.33%の続伸。1998年8月17日(146.07)以来、24年1ヵ月ぶりのドル高円安水準。144円台半ばでの揉み合い推移となった東京時間を経て、欧州時間から徐々にドル高優勢の流れへ、NY朝には米10年債利回りが3.8%台へと急浮上した流れにもサポートされて144円90銭近辺へ、NY午後には145円台へと上昇。クリーブランド連銀メスター総裁やミネアポリス連銀カシュカリ総裁、ウォラーFRB理事などの相次ぐタカ派発言などもあり、雇用統計への好結果期待も合わせて高止まり状態に。雇用統計前に144円台の小幅保ち合いを上抜けた形となり、そこそこの好結果でも一段高へと向かいやすい状態にも、短期的には146円台前半までが上値目標に。想定外に低調となれば反落へ、144円台を維持できないようなら調整局面入りへ、142円台前半までが短期下値目安に。
※参考:金プラチナ相場とドル円 NY市場10/6終値とチャート
7日の国内金価格は-16円、0.18%安となって8日ぶりの反落。下げ幅は限定的となり、6月高値(8859)起点の三角保ち合い上限ライン上抜けを維持。流れとしては一段高へと向かいやすい状態が続くものの、目先は雇用統計の結果次第で急変動に巻き込まれやすい状況にも。8730円超へ、10月高値更新となれば一段高の展開に、6月高値からの上値切り下げ過程でつけた戻り高値8770円台辺りまでが短期上値目標に。下押し圧力が強まった場合には9月安値(8280)から10月高値(8726)までの23.6%戻し(8621)近辺までが短期下値目安に。
週間ベースでは+267円、3.16%高で3週続伸。3週続伸は4月以来、半年ぶり。
プラチナ価格は+12円、0.26%の反発。上値トライ再開への動きも直近高値を超えられず、2021年2月高値(4798)起点の中長期三角保ち合い上限ライン付近の抵抗感も払拭し切れない様子。雇用統計通過後に上抜けとなれば、今年後半高値圏での短期小幅保ち合いとともに中期保ち合いも上抜け、長期的にも重要水準上抜けへと向かう状態に。まずは4680円程度までが短期上値目標に。4620円の節目を割れると短期的には調整拡大、9月末安値(4276)から10月高値(4636)までの23.6%戻し(4551)程度までが短期下値目安に。
週間ベースでは+283円、6.5%の反発。今年3番めの大幅高。
※参考:金プラチナ国内価格10/7とチャート
- 2022年10月7日(金)時点の相場
-
国内金 : 8,710 円 10/7(金) ▼16(0.18%) 国内プラチナ : 4,635 円 10/7(金) ▲12(0.26%) NY金 : 1,720.8 ドル 10/6(木) +-0.0(0.00%) NYプラチナ : 921.8 ドル 10/6(木) ▲7.2(0.79%) ドル円 : 145.13 円 10/6(木) ▲0.48(0.33%)
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