金プラチナ短期相場観
世界のプラチナ需給 2024年第2四半期
更新日:2024年9月11日(水)
WPIC(World Platinum Investment Council)発表のプラチナ需給レポートによれば、2024年第2四半期の世界のプラチナ総需要は75.3トン。前期比+18.2%、前年比+12.6%で3年3四半期ぶりの高水準。自動車触媒需要が好調を維持し、投資需要は大幅買い越し。
総供給量は60.9トンで前期比+21.8%、前年比+4.4%で2年ぶりの高水準。需給バランスは14.4トンの供給不足。供給不足は3四半期連続。
※2024年通年見通しでは、総供給量は220.5トン。前年比-1.0%で3年連続減、4年ぶりの低水準。総需要は252.5トン。前年比+2.9%で5年ぶりの高水準。需給バランスは32.0トンの供給不足。供給不足は2年連続となる見込み。
<供給>
■鉱山産出量:48.9トン 前期比+27.5%、前年比+5.2%、2年2四半期ぶり高水準。うち南アフリカ:35.0トン(前期比+41.8%、前年比+7.1%)で2四半期ぶり高水準。ロシア:5.6トン(前期比+1.7%、前年比-4.7%)。2カ国合計シェアは84.8%となり、2年2四半期ぶり高水準。
※2024年通年見通しは171.4トン。前年比-1.7%で4年ぶり低水準。
■リサイクル:12.1トン 前期比+2.9%、前年比+1.3%。3四半期ぶり高水準。※2024年通年見通しでは49.2トン、前年比+2.3%で2年ぶり高水準も、2013年以降では2番めの低水準。
自動車触媒リサイクルは2年間の急減を経てわずかに安定、宝飾品スクラップも3.9%増で回復に貢献する見通し。
<需要>
■自動車触媒:25.5トン 前期比-0.2%、前年比+0.7%、2四半期ぶり低水準。6年半では2番めの高水準。
※2024年通年見通しでは100.7トン、前年比+0.7%で4年連続増、7年ぶりの高水準。
自動車生産は全体的に減少し、欧州ではプラチナ需要10%減との予測も。ただしハイブリッド車需要増加やパラジウム代替需要などがプラス要因に。
■宝飾品:15.6トン 前期比+3.5%、前年比+4.8%で2年半ぶり高水準。
※2024年通年見通しでは62.0トン、前年比+6.7%で5年ぶりの高水準。
■工業用:19.8トン 前期比+1.9%、前年比-3.9%。2年ぶり高水準。
※2024年通年見通しでは73.7トン、前年比+0.5%で3年ぶり高水準。前年急増の化学が-31.0%、ガラス関連が+47.0%。
■投資:14.4トン 2四半期連続の買い越しで3年3四半期ぶり高水準。現物投資:1.80トン、前期比-50.4%、前年比-13.4%で1年半ぶり低水準。ETF関連:13.8トン、2四半期連続買い越し、3年3四半期ぶりの高水準。
※2024年通年見通しでは+16.1トン、前年比+14.9%で4年ぶり高水準。現物投資:11.4トンで前年比-19.5%、ETF関連:+4.7トンで4年ぶりの買い越し見通し。
★2024年通年見通しで、需要全体における自動車触媒の占める割合は39.9%で3年ぶり低水準。宝飾品は24.6%で2年ぶり高水準。工業用は29.2%で4年ぶり低水準。投資は6.4%で4年ぶり高水準。
<価格と消費需要・ETF需要>
宝飾品需要と現物投資需要を合わせたプラチナ消費需要は17.4トン。前期比-7.0%、前年比+2.6%。1年ぶり低水準。
NYプラチナの第2四半期平均価格は988.6ドル。4四半期ぶりの反発で1年ぶりの高値。ETFの大幅買い越が価格を押し上げ。
※2024年通年見通しで消費需要は73.5トン。前年比+1.6%、2020年(76.1)以来、4年ぶりの高水準。
10日のNY金は+10.4ドル、0.41%の続伸。時間外は2530ドル台での保ち合い推移、NY朝から米10年債利回り低下の流れに連れて堅調推移。米10年債利回りが1年3ヵ月ぶり低水準となる3.65%割れとなったNY午後には2540ドル台半ばへと水準を切り上げ、NY引け後には2540ドル台後半へ。CPIの結果を踏まえて2550ドルの節目を突破することができれば高値更新トライ再開へ、2600ドルの大台近辺までが短期上値目標に。逆に2520ドルの節目を割り込むような展開となった場合には高値保ち合い崩れとなって調整局面進行、7月末安値(2351.9)から8月最高値(2570.4)の半値戻し(2461.2)辺りまでが下値目標。
NYプラチナは-2.6ドル、0.27%の小反落。ほぼ940ドル台での保ち合い推移となり、NY朝には一時950ドル台前半までの上値トライ、巻き戻しの流れで一時940ドルをわずかに割り込んだのが安値となり、NY午後には940ドル台半ばへと収束。この日の変動値幅はわずかに12.6ドル、今年の平均24.5ドルのほぼ半分、今年4番めの小動き。20日移動平均線(946.2)も突破できずに十字線を形成して一服も、940ドルの節目上抜けに伴う短期上値目標960ドル付近まで若干の上昇余地も。
ドル円は-66銭、0.46%の反落。東京朝には143円10銭台から142円80銭台へと下押し後に143円50銭台まで上昇、午後にかけて失速も143円台を維持して欧州時間序盤には143円70銭台まで上昇。前日高値付近で上値を押さえられて失速するとNY朝には143円割れ、米10年債利回り低下にも連れてNY午後には142円前半へ。微妙に上値を切り下げ、下値も切り上げる形で142円から143円20銭までの小幅保ち合いでCPI待ちへ。142円割れなら2023年1月安値(127.21)から今年7月高値(161.95)の61.8%戻し(140.48)近辺、140円半ばまでを下値目安に一段安トライへ。143円20銭超へと切り返す展開となれば、20日移動平均線(145.19)上抜けを目指す流れにも。
※参考:金プラチナ相場とドル円 NY市場9/10終値とチャート
11日の国内金価格は-46円、0.36%の反落。反発局面は続かず、90日移動平均線(12950)の下に21日移動平均線(12764)、9日移動平均線(12701)がいずれもゆるやかに下降する弱気パーフェクトオーダーを構成して上値を押さえる格好にも。上値も下値も微妙に切り下げる短期下落トレンドも継続の様相に、このまま12520円の節目割れなら下値切り下げ目安は12400円近辺まで。12620円超へと切り返すことができれば下げ渋り、12700円の大台回復が短期目標に。
プラチナ価格は-48円、1.02%の反落。4650円の節目上抜けに伴う短期上値目標、4700円の大台回復達成による安心感からの反動安となり、9日移動平均線(4665)を再び下抜けて弱気のパーフェクトオーダーも再開。ただし上値も下値も切り上げる展開で反発局面形成中、短期的な流れも好転したなかでの押し目形成局面。となるかどうか、4710円超へと上値切り上げなら短期トレンド継続で上値目標は4750円。しかし4610円の節目割れへと続落なら短期トレンド逆転トライ、4540円辺りまでを短期目安に下値切り下げへ。
※参考:金プラチナ国内価格9/11とチャート
- 2024年9月11日(水)時点の相場
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国内金 : 12,573 円 9/11(水) ▼46(0.36%) 国内プラチナ : 4,658 円 9/11(水) ▼48(1.02%) NY金 : 2,543.1 ドル 9/10(火) ▲10.4(0.41%) NYプラチナ : 944.3 ドル 9/10(火) ▼2.6(0.27%) ドル円 : 142.48 円 9/10(火) ▼0.66(0.46%)
エネルギー価格急落で8月CPIは急低下、コアCPIは下げ渋り 9/12(木)
世界のプラチナ需給 2024年第2四半期 9/11(水)
NY連銀消費者調査ではインフレ期待も下げ渋り 9/10(火)
国内金価格の中期38.2%戻し、プラチナの長期38.2%戻し 9/9(月)
雇用者数の伸びは急減も失業率は上げ渋り、賃金は下げ渋り 9/7(土)
PIVOT指数から見るNY金相場サポート&レジスタンスライン
PIVOT指数から見るNYプラチナ相場サポート&レジスタンスライン