金プラチナ短期相場観

引き続き堅調維持の米労働市場、失業保険も上げ渋り
更新日:2025年5月9日(金)
失業率の上昇リスクが高まる状況への警戒感を示しながらも「失業率はここ数カ月間、低水準で安定しており、労働市場の状況は引き続き堅調」とした今週のFOMC。
この日発表された失業保険申請件数も、継続受給者数も、引き続き堅調を維持。
新規失業保険申請件数は市場予想の23.0万件を少し下回る22.8万件。9週ぶり高水準となった前週からは-1.3万件。昨年秋以降はピーク水準を切り下げる流れ。
4週移動平均では7週ぶり高水準となったものの、これも昨年夏以降、ピーク水準を切り下げる流れが継続中。
もっとも、年初からはいずれもボトム水準を切り上げる流れとなり、レンジを縮小中。保ち合い崩れを警戒すべき状況のようにも。
失業保険継続受給者数は、3年5ヵ月ぶり高水準となった前週から-2.9万人。4週移動平均では187.5万人で12月以来、4ヵ月半ぶりの高水準。
ただし、190万人付近で上げ渋る展開が継続中。
4.2%で上げ渋る失業率と同様に、失業保険の新規も継続も、増加リスクを抱えながらも、増えそうで増えない、上げ渋る状態が続きます。
トランプ関税リスク緩和方向への流れが今後、加速するのか、もしくはリスク再燃となるのか、微妙な時期に差し掛かる状況を、失業保険申請件数も反映するかのような展開となっています。
8日のNY金は-85.9ドル、2.53%の続落。下落率は今年の絶対値平均騰落率1.02%の2.48倍、今年4番めの大幅安。アジア時間には3370ドル台から3420ドル台まで反発して失速。3430ドルの節目付近での抵抗感を確認して戻り売り、3330ドル近辺まで急落してロンドン市場では下げ渋り、NY朝には3370ドル近辺までの反発後に戻り売り再開、NY午後には3330ドル割れ、NY引け後には一時3300ドル割れ。米英貿易協定合意と週末の米中協議への期待からリスク回避の巻き戻しが急速に進行し、3300ドル台前半のサポート帯上限、3300ドル半ばのサポート候補を突き抜けてサポート帯の下限に到達。3300ドル近辺を維持できなければ3220ドルの節目までへと主要レンジ下方シフトの可能性。3220ドルの節目を割り込むようなら3100ドル割れへと大幅調整へ。
NYプラチナは-3.7ドル、0.38%の続落。アジア時間には970ドル台後半から990ドルまでの急反発、これが高値となって失速すると970ドル台半ばの安値へと急反落。ロンドン・NY市場にかけてはレンジを縮小する形で保ち合い推移、NY午後には980ドル近辺へと収束。960ドルから1000ドルまでの保ち合いレンジ半ばに位置し、方向感も喪失気味に。上方ブレイクできれば1030ドル近辺を目標に反発局面再開へ、下方ブレイクなら900ドルの大台近辺までを目安に下値トライへ。
ドル円は+208銭、1.45%の大幅続伸で4月9日(147.73)以来、1ヵ月ぶりの高値。東京午前の143円40銭台が安値となって午後から堅調推移、英国との貿易合意見通しが伝えられてリスク選好の流れとなり、欧州時間には145円を回復。欧州時間での一服をはさみ、NY市場では米英両政府による貿易協定締結での合意と、週末の米中協議への期待から株高とともにドル買いが加速、NY午後には145円90銭台へ、高値では146円10銭台まで上昇。トランプ関税リスク緩和方向への流れが加速し始めた格好となり、145円40銭の節目上抜けに伴う短期上値目標147円半ばを目指す流れがスタートした可能性。
※参考:金プラチナ相場とドル円 NY市場5/8終値とチャート
9日の国内金価格は-97円、0.57%安で4日ぶりの反落。3日ぶりの最高値更新ストップ。16880円の節目突破に伴う短期上値目標17030円近辺オーバーランからの巻き戻しも、今年の絶対値平均騰落値幅142円の7割弱と控えめ。流れとしては堅調を維持し、17090円超へと切り返すことができれば一段高トライへ、4月1日(16436)から4月9日(15235)までの下げ幅の161.8%戻し(17178)が短期上値目標に。もう一段の調整となれば5月1日(16363)から8日(17089)までの上げ幅の23.6&%戻し(16918)、38.2%戻し(16812)も。
週間ベースでは+415円、2.5%の反発。
プラチナ価格は+97円、1.98%高で3日ぶりの反発。4810円から4910円までの保ち合いレンジ上抜けに伴う短期上値目標4950円程度に到達、さらに一段高で4月3日(5005)以来、1ヵ月ぶりの高値となって5000円の大台も視野に。短期的には上値トライ一服、短中期的には反発局面再開、中長期的には5000円の大台から90日移動平均線(5023)近辺は保ち合い中立水準。現状では抵抗水準となりやすく、完全に上抜けると主要レンジ上方シフトへ、となる重要な攻防水準。
週間ベースでは+84円、1.71%高で4週続伸。4週続伸は2月以来3ヵ月ぶりで今年2度め。
※参考:金プラチナ国内価格5/9とチャート
- 2025年5月9日(金)時点の相場
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国内金 : 16,992 円 5/9(金) ▼97(0.57%) 国内プラチナ : 4,988 円 5/9(金) ▲97(1.98%) NY金 : 3,306.0 ドル 5/8(木) ▼85.9(2.53%) NYプラチナ : 979.5 ドル 5/8(木) ▼3.7(0.38%) ドル円 : 145.91 円 5/8(木) ▲2.08(1.45%)
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