金プラチナ短期相場観

ADPもISM非製造業も低調、インフレ圧力に利下げ圧力も
更新日:2025年6月5日(木)
前日発表された4月の求人件数が予想外の好結果となったのとは対照的に、この日発表された米5月のADP雇用は予想外に低調。
5月のADP雇用者数は前月比+3.7万人。市場予想の+11.4万人を大幅に下回り、4月の+6.0万人から一段と減少。2ヵ月連続低調な結果となり、2023年3月(-5.3)以来、2年2ヵ月ぶりの低水準。
3ヵ月平均で見ると+8.1万人となり、6ヵ月連続の低下で2年ぶりの低水準。2012年から2019年までの平均+17.9万人を4ヵ月連続で下回り、大幅下方乖離。
これをチャンスとばかり、トランプ米大統領はまたもFRBに対して利下げ圧力発言も。
足下で相関関係が崩れている雇用統計では、4月も+17.7万人とADPの3倍弱。5月も独自路線か歩み寄りか、予想困難な状況にも。
予想困難な状況の一因となるトランプ関税の影響を受けて、ISM非製造業景況指数も低調。
5月は49.9。市場予想の52.0を下回り、4月から-1.7の反落で2024年6月(49.2)以来、11ヵ月ぶりの節目50割れ。
3ヵ月連続の節目50割れとなった製造業景況指数(48.5)に追随する格好に。
構成指数では新規受注が46.4で前月から-5.9の急低下で11ヵ月ぶりの50割れ、2022年12月以来2年5ヵ月ぶりの低水準。
価格指数は68.7で前月から+3.6の大幅続伸で2年半ぶりの高水準。ほぼ3年ぶり高水準で高止まりの製造業を猛追。
この日発表されたベージュブックでも物価上昇が意識され、「コストや価格は今後さらに速いペースで上昇するとの見通し」が広まる状況に。
トランプ関税に伴うインフレ圧力とトランプ大統領の利下げ圧力という、相容れない状況がFRBと米国経済にとっての懸念材料となりつつあるようです。
4日のNY金は+22.1ドル、0.65%の反発。前日下落分を取り戻して5月6日(3422.8)以来、4週間ぶりの高値。時間外は3380ドルを挟んでの保ち合いとなり、アジア時間には一時3390ドル台後半まで上昇し、ロンドン市場では3370ドル割れの安値をつけて下げ渋り。NY朝には米5月ADP雇用が低調となって3380ドル台へと反発、さらにISM非製造業景況指数の悪化を受けて3400ドルの大台回復トライ。ドル安にサポートされて高値では3410ドル付近まで上昇、NY午後には3400ドルラインでの攻防状態に。目先、米指標悪化が続いて3400ドルの節目を突破すると最高値圏再トライ、3450ドル近辺までが短期上値目標に。下値サポートは3370ドル、割れると3310ドル近辺までを目安に巻き戻しの流れへ。
NYプラチナは+19.1ドル、1.78%高で3日続伸。終値ベースでは昨年高値となった5月17日(1090.0)以来、1年ぶりの高値。アジア時間の1070ドル台前半が安値となり、1080ドルを挟んでの小幅保ち合いをロンドン序盤に抜け出すと1090ドル台へと急騰。しかし1090ドルの節目超えでは上値も重く、NY朝には1070ドル台半ばへと急反落。しかしその後は米指標悪化を受けたNY金の堅調局面に追随する形となって1090ドル再トライ、NY午後からNY引け後にも1090ドルの節目との攻防継続。目先、節目突破に成功すると1110ドル程度までの上昇余地も。当面のサポート1050ドルを割り込むような展開となった場合には1030ドル近辺へと一段安も。
ドル円は-123銭、0.85%の反落。米指標に一喜一憂の展開で3日連続1円超の上下動、この日は前日反発分を帳消しに。東京朝の143円後半から144円トライ、午後には144円40銭付近まで上昇し、欧州時間には144円を挟んでの保ち合いに。NY朝には低調なADP雇用の結果を受けて144円30銭台から143円半ばへと急落、さらにISM非製造業景況指数の節目50割れで143円近辺へと一段安。NY午後には142円60銭近辺の安値をつけると自律反発も143円手前まで。上限を144円に切り下げ、142円半ばまでの保ち合いレンジを縮小する形でブレイク方向は週末の雇用統計の結果に委ねる形に。下限割れなら140円半ばを目安に一段安トライへ、144円超へと切り返す展開となれば146円半ば辺りまでを目標に反発局面形成へ。
※参考:金プラチナ相場とドル円 NY市場6/4終値とチャート
5日の国内金価格は-20円、0.12%安で3日ぶりの反落。前日上昇分を巻き戻し、16750円の節目突破に伴う短期上値目標16900円付近到達後の若干の行き過ぎを修正。最高値圏のピーク水準との攻防に向けての調整としては控えめ、週末のイベント通過までは様子見状態にも。上方向に動き出せば17000円の大台回復トライへ、浅めのサポート候補は9日移動平均線(16799)近辺。16700円の節目割れの場合には16520円辺りまでを目安に調整へ。
プラチナ価格は+44円、0.82%の続伸。今年高値となった5月29日(5418)以来、1週間ぶりの高値。9日移動平均線(5350)を上抜けて強気のパーフェクトオーダー再開、高値更新トライに向けた準備態勢は整う状況に。5420円超へと今年高堰更新なら5500円の大台近辺トライを目指す流れにも。9日線が浅めのサポート候補、5250円の節目を割り込むようだと高値保ち合い崩れとなって短期トレンド崩れのリスクも。
※参考:金プラチナ国内価格6/5とチャート
- 2025年6月5日(木)時点の相場
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国内金 : 16,938 円 6/5(木) ▼20(0.12%) 国内プラチナ : 5,386 円 6/5(木) ▲44(0.82%) NY金 : 3,399.2 ドル 6/4(水) ▲22.1(0.65%) NYプラチナ : 1,090.0 ドル 6/4(水) ▲19.1(1.78%) ドル円 : 142.76 円 6/4(水) ▼1.23(0.85%)
トランプ関税効果で輸入急減、米4月貿易赤字は急縮小 6/6(金)
ADPもISM非製造業も低調、インフレ圧力に利下げ圧力も 6/5(木)
求人件数は予想外に下げ渋り、求人倍率も節目1.0超を維持 6/4(水)
5月ISM製造業景況指数は半年ぶり、輸入は16年ぶり低水準 6/3(火)
トランプ関税巡る不透明感継続、国内金価格も高値保ち合い継続 6/2(月)
PIVOT指数から見るNY金相場サポート&レジスタンスライン
PIVOT指数から見るNYプラチナ相場サポート&レジスタンスライン