金プラチナ短期相場観

米生産者物価インフレも4ヵ月連続の予想下振れ、ドル一段安
更新日:2025年6月13日(金)
CPIに続いてPPIも予想を下回って米ドルは一段安。
米労働省発表の5月生産者物価指数、PPIは前年比+2.62%。市場予想の+2.6%にはほぼ一致。7ヵ月ぶり低水準の4月からは+0.1%、4ヵ月ぶりの反発で2ヵ月ぶりの高水準。
食品とエネルギーを除くコアPPIは前年比+3.03%。市場予想の+3.1%を下回り、4月からは-0.15%の続落で9ヵ月ぶりの低水準。
食品とエネルギー、貿易サービスを除くコアPPI2は+2.73%。4月から-0.16%、3ヵ月続落で1年半ぶりの低水準。
5月はコア指数が予想を下回り、4月は総合指数、3月と2月は総合、コアともに予想を下回り、CPIに続いていPPIも4ヵ月連続で予想を下回る結果に。
CPIと同様、PPIも市場予想ほどインフレ高止まりとはならず、トランプ関税の影響が予想ほどではない状況を示唆。
インフレ動向が限定的となったことに加え、この日は失業保険申請件数も予想を上回って半年ぶり高水準で高止まり、失業保険継続受給者数に至っては3年半ぶりの高水準。
労働市場の悪化傾向を示唆したことで、トランプ大統領の強要発言がなくとも、FRBにとっての利下げへのハードルは一段と下がった可能性。
12日のNY金は+58.7ドル、1.76%の大幅続伸で5月6日(3422.8)以来、5週間ぶりの高値。アジア時間には3370ドル台から3390ドル台へと上昇後に一時3360ドル割れへと急反落、これが安値となって切り返すとロンドン市場ではドル安に連れて3400ドルの大台へ。NY市場ではPPIの下振れを受けて一時3420ドル付近まで上昇、NY午後も3400ドル台を維持しての推移。やや不安定ながら中東の地政学リスクやインフレ鈍化による利下げ観測、トランプ大統領の自動車関税引き上げの可能性示唆などのサポート材料で高値圏再トライの様相に。3400ドルの節目をわずかながらも上抜けたことで一段高トライへの可能性も、3480ドル近辺までが短期上値目標に。3340ドルが当面のサポート、これを割り込むようなら調整へ、3250ドル近辺までが短期下値目安に。
NYプラチナは+15.5ドル、1.23%の続伸で2021年2月22日(1282.3)以来、4年4ヵ月ぶりの高値。ほぼ1240ドル台での保ち合いで時間外を通過するとNY朝から上値トライ再開、NY午後には1270ドル台、NY引け後には前日の上ヒゲでつけた高値を超えて1290ドル近辺まで一段高。RSIは80台半ばで高止まり、過熱感高騰状態のまま引き続き終値ベースでの2021年高値1293.1ドルから1300ドルの大台も意識され、さらには2021年最高値1348.2ドルも視野に。強気相場の分岐点で当面のサポート候補、9日移動平均線は1165.6ドル。
ドル円は-109銭、0.75%の続落で6月4日(142.76)以来、1週間ぶりの安値。東京朝の144円50銭台が高値となってゆるやかに軟調推移。各国との関税交渉が思うように進まないことにしびれを切らすようにトランプ大統領は「一方的に関税率を設定」することも示唆。東京市場終了時には143円60銭台まで下落し、欧州時間には143円半ばでいったん下げ渋りもNY朝にはPPI下振れを受けて143円10銭台まで小幅に急落。ただしこの水準で下げ渋るとNY午後には一時143円90銭台まで反発、NY終盤にかけては143円半ばで小康状態に。今朝の東京時間にはイスラエルによるイラン空爆報道を受けて143円割れへ。この状況次第ではリスク回避の流れ加速も警戒され、142円半ばの節目を割り込むようなら一段安トライへ、140円近辺までが短期下値目安に。
※参考:金プラチナ相場とドル円 NY市場6/12終値とチャート
13日の国内金価格は+80円、0.47%高で4日続伸。5月8日(17089)以来5週間ぶり、今年18回めの過去最高値更新。強気相場の勢い持続で16960円の節目上抜けに伴う短期上値目標17050円辺りに到達してさらに上昇、最高値近辺までの一段高にとどまらず、さらに38円上乗せ。今朝の中東地政学リスクによって一時的に押し上げられた面もあり、イスラエルの動向次第では急速な巻き戻しの可能性も(その逆も)。目先のサポート候補は9日移動平均線(16957)辺り、16810円の節目を割り込むようなら16700円前後までの調整も。
週間ベースでは+169円、1.0%高で4週続伸。4週続伸は2月以来、4ヵ月ぶりで今年2度め。
プラチナ価格は+112円、1.77%の続伸で2008年7月以来、16年11ヵ月ぶり高値圏での一段高。RSIは83.2%にとどまり、5月後半高値ピーク時の90%を下回る水準で反落警戒感も継続。リスク資産としてのプラチナは、中東情勢緊迫化の影響により金曜午前の時点ではリスク回避の流れが急速に進行。4月安値(4532)から6月高値(6422)の23.6%戻し(5976)、9日移動平均線(5815)、38.2%戻し(5700)などがサポート候補に。
週間ベースでは+791円、14.05%高で9週続伸。2020年3月23日からの週(+432円、17.7%)以来、5年3ヵ月ぶり、コロナ後最大の急騰。9週続伸は近年最長。
※参考:金プラチナ国内価格6/13とチャート
- 2025年6月13日(金)時点の相場
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国内金 : 17,127 円 6/13(金) ▲80(0.47%) 国内プラチナ : 6,422 円 6/13(金) ▲112(1.77%) NY金 : 3,402.4 ドル 6/12(木) ▲58.7(1.76%) NYプラチナ : 1,275.1 ドル 6/12(木) ▲15.5(1.23%) ドル円 : 143.50 円 6/12(木) ▼1.09(0.75%)
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