金プラチナ短期相場観

米消費者物価、5月はコア指数が予想を下回ってドル売り
更新日:2025年6月12日(木)
米消費者物価インフレは4ヵ月連続で予想を下回ってドル売り。
米労働省が発表した5月の消費者物価指数、CPIは前年比+2.36%。市場予想の+2.4%にほぼ一致。4年2ヵ月ぶりの低水準となった4月からは+0.04%、4ヵ月ぶりの小反発で2ヵ月ぶり高水準。3ヵ月連続2.3%台で下げ渋り。
コアCPIは前年比+2.79%。市場予想の+2.9%を下回り、4年1ヵ月ぶり低水準となった4月からはわずかに+0.01%。3ヵ月連続ほぼ同水準で下げ渋り。
なお、今年2月と3月は総合指数もコア指数も事前予想を下回り、4月は総合指数が予想を下回り、5月はコア指数が予想を下回る結果に。
市場が警戒したほどインフレ高止まりとはなっていない状況、トランプ関税の影響が予想を下回る範囲にとどまっている状況を示唆する結果に。
なお、一部では米国へ輸出する側の商品を値下げして輸出量を帳尻合わせするなどの手法も取られている模様で、米国内での商品価格の値上げを回避して「輸出側で関税をかぶる」ケースも見られる様子。
カテゴリ別では、サービス価格が前年比+3.6%。6ヵ月続落で3年5ヵ月ぶり低水準となった4月から変わらず、下げ渋り。モノの価格は+0.3%で続伸、1年10ヵ月ぶり高水準。
主要項目では、賃貸住宅が前年比+3.8%で3年4ヵ月ぶり低水準。帰属家賃は+4.2%で続落、3年4ヵ月ぶり低水準。
クリーブランド連銀のメディアンCPIは前年比+3.45%。4月から-0.01%、14カ月続落で2021年10月(3.20)以来、3年7ヵ月ぶりの低水準。5ヵ月連続3.5%前後で下げ渋り。
16%トリム平均CPIは+3.04%。3年11ヵ月ぶり低水準の4月から+0.07%、半年ぶりの反発で3ヵ月ぶり高水準。4ヵ月連続3.0%近辺で下げ渋り。
アトランタ連銀のスティッキーCPIは+3.19%。前月から-0.02%で14カ月続落、3年7ヵ月ぶり低水準。3ヵ月連続3.2%前後で下げ渋り。
11日のNY金は+0.3ドル、0.01%の小反発。アジア時間に3330ドル台の安値をつけて反発、ロンドン序盤には3360ドル台へ。NY朝にはトランプ大統領の「中国との合意」発言を受けてリスク選好の流れで3350ドル割れ、しかし米5月CPIが予想を下回ったことを好感すると急反発で一時3380ドル台まで上昇。ただし反発目安までの上昇後はすぐに巻き戻される展開、NY引け後には再び上値トライの様相と乱高下状態に。引き続き3310ドル近辺までの下値再トライへの可能性も残しながら、3400ドルが当面の上限。
NYプラチナは+47.1ドル、3.88%の大幅反発で2021年5月10日(1265.5)以来、4年1ヵ月ぶりの高値。アジア時間の1210ドル台が安値となって堅調推移再開、1240ドル近辺まで急騰後、一服を挟んでロンドン序盤には1260ドル台へ。NY市場でつけた高値は1280ドル近辺、高値でも2021年5月10日(1281.4)以来4年1ヵ月ぶりの高値をつけて失速、反落局面ではNY引け後に一時1240ドル割れで下げ渋り。足下の急騰局面では若干長めの上ヒゲを残し、急反落リスクが高まる状況を示唆している可能性も。1280ドルを超えると終値ベースでの2021年高値1293.1ドル、その上は2021年最高値1348.2ドル。強気相場の分岐点、9日移動平均線は1141.1ドル。
ドル円は-32銭、0.22%の反落。前日上昇分を帳消しにする上ヒゲ十字線で反発局面は急失速。東京朝には144円80銭台から、米中協議合意報道や米連邦高裁のトランプ関税差し止め命令停止延長報道なども材料に145円10銭台から144円60銭台までのレンジで上下動。午後にはゆるやかな上昇軌道で145円20銭台へ、欧州時間の下押しも144円90銭台までにとどまり、NY朝にかけてはトランプ大統領のレアアース輸入再開と合意に向けた状況などの発言で一時145円40銭台まで上昇。しかし米5月CPIが予想を下回ったことを受けて144円30銭台まで急反落。その後は145円20銭付近までの自律反発も、中国のレアアース輸出再開は期間限定、などの報道もありNY午後には144円半ばへと軟調推移。144円の節目上抜けに伴う短期上値目標146円半ばを目指した流れはこの日の高値145円40銭台までにとどまって腰折れ。145円ラインが目先の上限となり、142円半ばまでのレンジで保ち合い形成へ。あらためて上限突破なら146円近辺までの上値再トライへ、下限割れの場合には4月安値圏、140円近辺再トライへ。
※参考:金プラチナ相場とドル円 NY市場6/11終値とチャート
12日の国内金価格は+94円、0.55%高で3日続伸。最高値の5月8日(17089)以来、1ヵ月ぶりでの今年2番めの高値。強気相場の勢いが加速、16960円の節目上抜けに伴う短期上値目標17050円辺りにもいきなり到達。一服感と同時に流れが変わった可能性も、勢いが続けば17080ドル近辺、最高値近辺までの一段高も。当面の下値サポートは16810円、割れると16700円前後までが短期調整目安。
プラチナ価格は+223円、3.66%の大幅反発で2008年7月以来、16年11ヵ月ぶりの高値。5月後半高値ピーク時のRSI90%に対して現状は80%台前半、逆行状態で上昇圧力枯渇の可能性、通常なら反落警戒感を示唆する状況にも。強気相場の分岐点、9日移動平均線は5685円で急上昇中。短中期的に想定可能な一段高目安としては、2024年高値(5877)から2025年安値(4532)の161.8%戻し(6708)近辺も。
※参考:金プラチナ国内価格6/12とチャート
- 2025年6月12日(木)時点の相場
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国内金 : 17,047 円 6/12(木) ▲94(0.55%) 国内プラチナ : 6,310 円 6/12(木) ▲223(3.66%) NY金 : 3,343.7 ドル 6/11(水) ▲0.3(0.01%) NYプラチナ : 1,259.6 ドル 6/11(水) ▲47.1(3.88%) ドル円 : 144.59 円 6/11(水) ▼0.32(0.22%)
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