米11月雇用統計、賃金上昇率は前年比+2.7%程度の予想だが・・・
更新日:2017年12月08日(金)
米労働市場の引き締まりが続き、失業率は完全雇用レベルに達し、雇用者数の伸びも頭打ちの状態となってきた雇用統計。市場の注目は非農業部門雇用者数(NFP)の前月比増減数よりも、インフレ押し上げ要因となり切れない賃金上昇率の動向へとシフトしてきています。
11月雇用統計で予想される賃金上昇率は、前月比+0.3%程度が市場コンセンサスとなってきているようです。10月には前月比-0.04%、前年同月比では+2.43%と落ち込み、ネガティブ・サプライズとなったことからも反動増が予想されています。
前月比+0.3%程度なら、前年比の伸び率では+2.7%程度に相当し、2016年末以降のピーク水準+2.8%に迫るレベルまで反発することになり、今後の一段高へと加速期待も高まることにもなりそうです。
また、年末商戦に向けた臨時雇用やハリケーン被害からの復興特需の継続なども予想され、これに伴う雇用確保の為の賃金引き上げなども予想され、それなりの好結果も予想しやすい状況とはなってきているようです。
さらに、前日の
単位労働コストも第2、第3四半期には低迷しており、第4四半期の反発も予想されるところです。
しかし、一部地区連銀の製造業景況指数の構成指数では、賃金動向としては11月に失速傾向を示しています。
リッチモンド連銀の賃金指数は、10月に17年5カ月ぶり高水準となる24.0まで上昇した後、11月は21.0へと反落しています。
ダラス連銀では、8月に3年半ぶり高水準となる26.9まで上昇して失速、11月には14.2と1年4カ月ぶりの低水準まで低下しています。
11月の賃金上昇率も予想外に伸び悩み、という結果も有り得そうです。
7日のNY金相場は1.03%の大幅反落。トランプ米大統領のエルサレム首都認定問題によるリスク回避巻き戻しの流れが強まり、株高ドル高、このところ低迷が続いていた米長期金利も上昇し、金は軟調推移の展開となってNY引け後には一時1240ドル台半ばまで下落。終値でも7月26日(1249.4)以来、4カ月半ぶりの安値水準となり、
短期下値目安1250ドル台に完全到達。雇用統計前に目標水準に達してしまったことにより、結果次第では一段安の展開も警戒される状況に。7月安値から9月高値の76.4%戻し1241.4ドル近辺までが次の下値目安となりやすく、ポジティブサプライズとなれば7月安値1204ドルも意識される展開にも。ネガティブ・サプライズによる反発目安としては61.8%戻しの1264.5ドルから50%ライン1283.2ドル辺りまで。
NYプラチナ相場は0.92%安となって5日続落。5日以上の続落となるのは9月の11日続落以来、3カ月ぶりで今年2度め。その9月以来の急落局面を形成し始め、終値ベースでは今年安値を更新し、昨年12月23日(893.2)以来、ほぼ1年ぶりの安値水準に。安値でも7月11日につけた今年安値891.4ドルとほぼ並ぶ891.5ドルまで下落。昨年末以降の安値圏に到達したことで、一旦はサポートされる可能性とともに、もし割り込んだ場合にはさらに大幅安の展開も警戒される状況に。9月の急落局面では120ドル下落しており、N計算値から算出される目標水準として、11月高値959.2ドルから120ドル下落した場合の安値目安は839.2ドル。今年安値更新なら、800ドル台半ば辺りまでが下値警戒水準に。
ドル円は0.71%のドル高円安へと大幅反発。東京市場での日経平均の大幅反発にも連れる形で抵抗水準となりつつあった112円台半ばをしっかりと上抜けたことにより、ドル買い円売りの流れが強まる展開に。
米新規失業保険申請件数も予想を下回り、3週連続の改善傾向を示したことなども好感し、軟調気味の推移が続いていた米10年債利回りもNY午後から反発したことにも支えられて113円台を回復。保ち合い上抜けに伴う上昇トレンド形成への流れが強まり、雇用統計がそれほどネガティブな結果でなければ上値トライ加速の可能性も。当面の上値目標は11月高値圏114円近辺へ。
※参考:
金プラチナ相場とドル円 NY市場12/7終値とチャート
8日の国内金価格は0.57%安となって4日続落。短期下落トレンドの下値目安4900円近辺をオーバーランし、7-9月の急騰局面の61.8%戻し(4867)付近に到達。8月28日(4859)以来、3カ月半ぶりの安値水準に。昨年末以来、今年始めて
200日移動平均線(4871)をわずかに割り込み、中長期トレンドがサポートされるかどうかの分岐点に。イベントがなければ反発しやすいところだが、週明けに向けての下値警戒水準としては76.4%ラインの4825円近辺まで、反発方向には4900円の大台ラインが目安となり抵抗水準にも。
週間ベースでは-82円(1.66%)となり、今年初、昨年12月以来となる4週続落。
プラチナ価格は0.29%の小幅安となって5日続落となり、3500円の大台ラインを割り込んで昨年11月14日(3492)以来、1年1カ月ぶりの安値水準。5日続落となるのは9月後半以来、2カ月半ぶりで今年2回め。ちなみに5日以上の続伸は今年4回記録しており、急騰局面も多々見られたものの、いかんせん下落局面での下げ幅は拡大しやすい傾向も。9月の5日続落では合計130円(3.46%)下落し、今回の5日続落での下げ幅は166円(4.53%)に達し、今年最長の続伸記録となった夏場の9日続伸での合計上昇幅132円を上回る。もう一段の下落余地も警戒され、下値目安は最大で3450円台辺りまで。
週間ベースでは-166円(4.53%)となり、3月上旬(-4.69%)以来9カ月ぶりの大幅反落。
※参考:
金プラチナ国内価格12/8とチャート
2017年12月08日(金)時点の相場
国内金:4,870 円 12/8(金)
▼28(
0.57%)
国内プラチナ:3,495 円 12/8(金)
▼10(
0.29%)
NY金:1,253.1 ドル 12/7(木)
▼13.0(
1.03%)
NYプラチナ:894.5 ドル 12/7(木)
▼8.3(
0.92%)
ドル円:113.08 円 12/7(木)
▲0.79(
0.71%)
12/7(木)のその他主要マーケット指標
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