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★金プラチナ短期相場観★

中国・宝飾品市場での金需要は静かに改善
更新日:2018年06月08日(金)
経済拡大と富の拡大に支えられ、中国での金の宝飾品需要は2000年代初めから急速に高まりました。
中国の宝飾品市場では、年間の金需要は2006年までの200トン台から2012年の600トンまで上昇し、2013年には900トン超へと急増。ところが、過去最大を記録した翌年から3年連続100トン前後の減少で2016年には600トン台前半となりました。3年間で宝飾品需要の3分の1が消えました。
しかし、2017年には600トン台半ばへと、4年ぶりの増加に転じています。
ワールドゴールドカウンシル(WGC)のレポートによれば、技術革新と業界活性化の努力により、2017年の上昇が持続的な成長への回帰を示す兆候かもしれない、と見ているようです。

中国の宝飾品需要は世界の30%を占め、世界最大の宝飾品市場となっています。ただし、2013年には金価格の急落により凄まじい金買い需要が発生し、余剰生産能力をフル稼働して記録的な店舗数で熾烈な価格競争も発生しました。
さすがにその後の反動は大きく、業界としては痛ましい再興期を余儀なくされました。
純粋に金の宝飾品を購入しようとする伝統的な消費者に頼るのではなく、より顧客を知る努力をし、以前よりも多様な製品ラインナップを提供し、より魅力的なジュエリーを設計、販売チャネルの最適化により現代の消費者ニーズに応える努力を続けています。

中国経済の拡大は、高級品を好む中流層の消費拡大が牽引していますが、この傾向は金の宝飾品需要にも当てはまります。
2016年に2000人の女性を対象に行ったWGCの消費者調査の結果によれば、地域と年齢によって嗜好が分かれていることが明確となっています。

5000人民元(約86,000円)を受け取った場合に「どんなジュエリーを選択するか」との問いに対し、
1)大都市圏(政府直轄4都市:北京、深セン、上海、広州のいずれか)では、
 金:18%、プラチナ:14%、ダイヤモンド:15%
2)地方大都市圏(省都クラス)では
 金:19%、プラチナ:8%、ダイヤモンド:12% 
3)中小都市部では
 金:24%、プラチナ:8%、ダイヤモンド:12%

同じく5000人民元(約86,000円)を受け取った場合に「買いたいもの」との問いに対しては、
1)18-25才では
 金:9%、ダイヤモンド:13%、デザイナーもののファッション用品:22%、スマホやウェアラブル端末などのテクノロジー用品:31%
2)26才以上では、
 金:24%、ダイヤ:13%、ファッション:23%、テクノロジー:20%

地域的には中小都市を筆頭に幅広いエリアで金のジュエリーが嗜好されていることがわかります。(※流行の先端を行くと思われる大都市圏でのプラチナ嗜好の高さにも注目)
年齢的には若年層での金嗜好の低さに対して高年齢層での高さが際立ちます。

中国では伝統的にK24(24カラット:100%純金)の金のジュエリーが市場の大半を占めてきました。
しかし、都市部の若者の嗜好は変化してきており、最近のジュエリー業界ではK22(22カラット:金純度91.67%)の金も開発されています。
従来のK24の金に比較して、K22や日本では既にメジャーなK18(18カラット:金純度75%)のジュエリーはよりファッショナブルで手頃な価格を実現しています。
金と銅合金から精製されるK18レッドゴールドは、おそらく某スマホでもヒットした「ローズゴールド」という名前のおかげで若い女性に人気があるようです。
K24のジュエリーが重量を基準に販売されることでその利益率が小幅にとどまるのに対し、K22やK18ジュエリーは複雑なデザインの作品を提供することも可能となり、利益率を高めることにも貢献しています。

その他、金の純度を下げて様々なファッショナブルなジュエリーを開発することで、幅広いニーズに応える努力が中国のジュエリー業界でも続いています。
また、世界的にネットショッピング隆盛の現在、オン/オフライン融合による対応改善にも力をいれているようです。
WGCの調査によれば、金のジュエリー購入者の約3分の1はオンラインで商品探しを始めるものの、オンラインで購入まで完結する割合は4%に過ぎないとの結果も出ており、現物に触れたいという欲求とオンライン購入によるリスク懸念が実店舗での購入を後押ししているようです。
オンラインとオフラインとのセールスイベント連携なども金のジュエリー需要への貢献施策となっています。

中国での金の宝飾品需要拡大継続に向けての重要なポイントは、消費者ニーズに応える顧客第一主義を推進し始めたジュエリー業界の努力継続とともに、中国経済全体の拡大と消費センチメント拡大が続き、中間層の拡大が続くことだとも思われます。
それが続く限り、中国市場は世界の金市場を支え続けることにもなりそうです。


NY金・日足チャート 2018/5/3 - 6/77日のNY金相場は0.12%の小反発。米10年債利回りが5月末に2.75%台の安値をつけて反発の流れが続き、ユーロドルも5月末に1.15ドル台の安値をつけて反発した流れが継続中、この影響でドルインデックスは95ポイント手前の高値をつけて反落した流れが継続中。金利上昇とドル安との板挟みと、重要イベント前の警戒感からも金の方向感喪失状態が継続中。本日のG7から始まる一連の政治ショーと米欧金融政策イベントで上下に振られる展開となり、1週間後には上下どちらかに大きく水準が切り替わっているという状態にも。1300ドルを起点とすると、トレンド発生方向への当面の変動幅は40-50ドル程度と予想。

NYプラチナ・日足チャート 2018/5/3 - 6/7NYプラチナ相場は0.8%の反落。910ドル台の高値からレンジ下限となる900ドルまで軟調推移となり、900ドル割れの場面では底堅さも見られるものの前日上昇分を打ち消してのレンジ内推移に終始。900ドルを起点とすると、今後のトレンド発生方向への当面の変動幅は60-70ドル程度に達する可能性も。

ドル円・日足チャート 2018/5/4 - 6/7ドル円は0.44%のドル安円高となって5日ぶりの反落。6月に入ってドル安円安のリスク選好的な流れとなり、ドル円は米10年債利回りの反発基調にもサポートされて反発基調が続いていた状態から、この日は金利上昇一服と新興国通貨などが売られてリスク回避的な動きとなって円高に。ビッグイベントを前にしてようやく警戒感も高まってきた様子も。ドル円は200日移動平均線(110.19)に蓋をされた形となり、まずはG7の動向を見極めてからの上値トライ再開か、調整局面再開か。貿易関連での米欧対立の構図が予想以上に強まらなければ200日線再トライへ。突破できれば111円台後半も意識されそうな展開にも。ただし後続イベントへの警戒感が下押し要因にも。
※参考:金プラチナ相場とドル円 NY市場6/7終値とチャート

8日の国内金価格は0.39%安となり5日ぶりの反落。やはり重要イベント前の段階で4920円の抵抗水準を突破することはできずに失速。5月上旬から続いた下落トレンドはいったん終了した可能性もあるものの、目先はイベントドリブンの展開で大きく振られることも予想される局面に。差し当たり週末のG7の動向と米朝会談に向けての事前報道などが週明けの市場動向に大きく影響を及ぼすことにも。4920円の抵抗水準突破で上昇トレンド形成へと向かえば5000円の大台再トライが当面の目標水準に。4860円台の安値を下回ると下落基調再加速の展開で目標水準は今年安値圏となる4790円近辺へ。
週間ベースでは+27円(0.55%)となって4週ぶりの反発。

プラチナ価格は0.96%の大幅安となって3日ぶりの反落。金と同様に重要な節目水準に跳ね返されての急反落はタイミング的にはやむなし。反発基調の勢いは失速したものの流れはまだ継続中との見方も出来、きっかけさえあれば上値再トライの展開にも。3440円の節目を突破できれば3月半ばの水準3540円台辺りまでが上値目標水準に。ただし、3990円台を割り込んだ場合には下値トライ再開となり、予想可能な下値目安は2016年安値3334円、さらにこれを下回るような展開にも。
週間ベースでは-2円(0.06%)で小幅続落。
※参考:金プラチナ国内価格6/8とチャート

2018年06月08日(金)時点の相場
国内金:4,899 円 6/8(金) ▼19(0.39%)
国内プラチナ:3,406 円 6/8(金) ▼33(0.96%)
NY金:1,303.0 ドル 6/7(木) ▲1.6(0.12%)
NYプラチナ:900.3 ドル 6/7(木) ▼7.3(0.80%)
ドル円:109.68 円 6/7(木) ▼0.48(0.44%)
→6/7(木)のその他主要マーケット指標

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