パラジウム価格、最高値でも金超え
更新日:2019年12月14日(土)
パラジウムの価格は12日、史上初めて1900ドルを超えて1930ドルまで上昇しました。高値では一時1945ドルまで急騰。13日には一時1958ドルまで急騰し、1905ドル付近に。
9月以降、金との価格差を拡大し続けたパラジウムは遂に、2011年9月に記録した金の過去最高値1923.7ドルを上回りました。
12日時点でパラジウムと金との価格差は458.1ドルまで拡大し、13日時点での金とプラチナとの価格差552.4ドルにあと100ドルと迫る急拡大ぶり。
当然ながら、この2つの数字を合わせると約1000ドル。これが現状のパラジウムとプラチナとの価格差になります。今やパラジウム価格はプラチナの2倍以上。
パラジウム価格がここまで急騰した背景には、プラチナを排ガス触媒として使用するディーゼル車の需要が後退し、パラジウムを排ガス触媒として使用するガソリン車の需要が拡大しているのに対して、供給量は限定的であり、供給不足懸念が生じやすいことも挙げられます。
なお、
世界全体でのプラチナ産出量が2018年に190トンだったのに対し、パラジウムは210トンと若干多い程度。
産出国はプラチナが南アフリカ70%とロシア10%で世界の8割を占めるのに対し、パラジウムは南ア30%とロシア40%で世界の7割を占める状況。
プラチナにおいても、パラジウムにおいても重要な供給国となっている南アフリカでは、たびたび電力不足で停電せざる負えなくなることが深刻な社会問題となっています。
この12月にも大雨と洪水の影響で計画停電となり、複数の主要鉱山が操業停止となっていることが供給懸念につながり、パラジウムとプラチナ価格急騰の背景となっています。
今年春頃にも同様の理由で価格急騰となる場面もありましたが、今回の停電は近年では最も深刻な状況、との見方もあるようです。
ちなみに、プラチナ価格の過去最高値は2008年3月の2290ドル。急騰が続くパラジウム価格も現時点ではまだ遠く及ばない水準です。この時も電力不足が要因となっていました。
ただし、当時は2000ドルをはさんでの乱高下状態は数カ月続き、リーマンショックとなった秋に急落局面を迎えることになりました。
今回も南アの電力不足が劇的に改善される見込みが極めて低い状況からは、底打ちしたとの見方もある世界景気後退懸念の再燃などがなければ、しばらくはパラジウムとプラチナの価格上昇が続く可能性も否定はできず、そうなれば比較的早期にパラジウム価格はプラチナの過去最高値をも超えて行くような状況にも、ならないとも限りません。
13日のNY金相場は+8.9ドル、0.6%の反発。米中貿易交渉第1段階合意と英総選挙での保守党勝利見通しを受けて前日NY引け後に1460ドル台半ばまで下落したのがこの日の安値。事実確認後の買い戻しとなっての反発基調、NY午後には1480ドル台を回復。トランプ米大統領の「現行の関税率引き下げも含まれるとの報道は間違い」発言などもサポート材料にもなった反面、12日には音無しの構えだった中国サイドからも第1段階合意が正式発表され、米国からの輸入拡大なども表明。また、英総選挙結果では保守党が過半数326を大幅に上回る365議席を獲得する大勝となってひとまず不透明感は払拭。米中協議進展をアピールするトランプ大統領にとってのマイナス材料としてはこの日、米下院司法委員会で弾劾訴追決議案が可決されたこと。最終的には上院での否決が確実視されるはずで致命傷には至らないものの、下院本会議で可決されれば史上3人めの「弾劾訴追された大統領」という不名誉な称号を背負って来年の大統領選に臨まなければならないことに。これも米株伸び悩みの背景の一つにもなった様子で材料出尽くしとともにリスクオンムードを半減。
20日移動平均線(1470.5)に支えられて反発した格好のNY金は保ち合い上限となっている1480ドル台まででいったん上値を押さえられた形。今後はクリスマスモード突入で市場閑散となることも予想され、ちょっとしたきっかけで大きく動き出すような場面も。1480ドル台の上限を超えると1520ドルが上値目標に、1450-60ドルのサポートを割れると1420ドルが下値目安に。
重要イベント通過で場合によっては大きく水準を切り下げる可能性も警戒されたものの、終わって見れば週間ベースで+16.1ドル、1.1%の反発で切り抜けた状態。週間上昇率1%超は9月半ば以来、12週ぶり。
NYプラチナは-16ドル、1.69%の大幅安となって4日ぶりの反落。前日NY引け後の950ドル再トライがこの日の高値となって軟調推移の展開に。時間外には930ドル付近まで下げてNY朝には940ドル台半ばまで反発も、米株の軟調局面にも連れる形で戻り売り、NY午後には一時930ドル割れ。上値目標960ドル近辺に対しては12日高値951.4ドルまで、少し届かずに失速。2日連続950ドル台にはワンタッチ、3日連続950ドル前後で上値を押さえられた状態にもなり、この950ドル付近が目先の抵抗水準に。あらためてこの水準を突破できれば9月末高値水準960ドル台までが次の上値目標に。
週間ベースでは+29.9ドル、3.33%の反発。7週ぶりの大幅高。
ドル円は20銭弱のドル安円高で反落。英総選挙の出口調査結果と開票の進行とともにジリ高推移となったポンド円にも追随、欧州時間に109円70銭台まで上昇したのがこの日の高値となり、NY時間には調整の展開に。米中協議の第1段階合意に関しては、トランプ大統領の関税に関する一部否定発言を受けて109円30銭台まで急落も、その後中国側の第1段階合意の声明発表を好感して109円60銭まで急反発。しかし、米下院司法委員会のトランプ大統領弾劾訴追案可決を受けて戻り売り、一時109円20銭近辺まで下落。米11月小売売上高も市場予想を下回る低調な結果となったこともマイナス材料にはなったものの、結果的には複数の政治絡みの不透明感が払拭されてのリスクオンでも109円60銭台の抵抗水準を超え切れずに失速した形にも。流れとしてはドル高円安方向へと進みやすい状況へと好転した感も、108円40銭台から109円60銭台までのレンジで仕切り直し。上抜けトライに成功すれば今年高値圏112円台前半を試しに行く可能性も。
週間ベースでは+75銭、0.69%の反発。
※参考:
金プラチナ相場とドル円 NY市場12/13終値とチャート
2019年12月14日(土)時点の相場
国内金:5,624 円 12/13(金)
▲4(
0.07%)
国内プラチナ:3,583 円 12/13(金)
▲42(
1.19%)
NY金:1,481.2 ドル 12/13(金)
▲8.9(
0.60%)
NYプラチナ:928.8 ドル 12/13(金)
▼16.0(
1.69%)
ドル円:109.33 円 12/13(金)
▼0.17(
0.16%)
12/13(金)のその他主要マーケット指標
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